見出し画像

コミュニケーションって難しい?楽しい?

こんにちは、JVCエルサレム事務所の木村です。日本も本格的な梅雨のシーズンを迎えているようですが、こちらは連日「快晴」の天気で最高気温も30℃前後と早くも夏の陽気です。日本の夏と違って湿度が低いので日陰や建物内は涼しいのですが、外は直射日光が突き刺さる感じです。

そんな陽気の時、表紙のように「エアコン」と書かれていたらどんな状況を想像しますか?
「暑いのでエアコンのスイッチを入れて欲しい状況」? それとも、
「エアコンが効きすぎて寒いからスイッチをオフにして欲しい状況」でしょうか?

東エルサレム、シルワン・アットゥーリ地区にあるAWC事務所

「エアコン!」と言われてもどういう状況を想像するか、人によっても置かれている状況によっても異なると思います。

今日はそんなコミュニケーションにまつわる話として、パートナー団体(AWC=Al Thouri Silwan Women's Center)の事務所で行われた女性向けの「Negotiation Skill(交渉術)」に関する研修の様子をお届けします。

コミュニケーションギャップについて説明する講師

研修講師のサウサンさんは、JICAの研修でも講師を務めたことのある方で、来日経験もあるとのこと(日本人の謙虚さがとても印象に残っているとか)。参加者を包み込むような温かさがあり、はじめましてにも関わらず、参加者も積極的に質問をしていました。

年頃の子どもたちとのコミュニケーションに悩むお母さんも多く、「どうしたら子どもたちの気持ちをわかってあげられるか」「相手の怒りを鎮める声のかけ方について知りたい」と研修で学びたいことを話してくれました。

コミュニケーションギャップに関するアクティビティ

まずは、「ミラー(鏡)」というアクティビティに挑戦。2人が背中合わせに座り、他の人たちはそれを取り囲むように座ります。ピンクのスカーフを被っている女性(アヤットさん)は講師から渡された紙に書かれた絵を見て、それを言葉で説明します。また、絵をみながらアヤットさんは、それを見た自分の感情についても語ります。それを聞いた他の人たちは、彼女の説明に沿って絵を描いていきます。みなさんの中でも同じようなアクティビティを経験したことのある人もいるかもしれませんね。

渡されたのはこんな絵でした

次にアヤットさんが背中あわせになっている女性から、いろいろな質問を受けます。その質問に答えながら、アヤットさんはさらに絵や自身の感情の描写を続けます。
ひと段落した後、「アヤットさんが持っている絵」と「みんなが書いた絵」を見比べてみました。想像の通り、それぞれに異なる絵の出来上がりです!

もとの絵と自分たちの絵を見比べてみる参加者たち

描写とそれを理解することの違いの他、質問されたことによる描写への影響など、自分と他人の認識の違いだけでなく、自分の中でも他人の影響を受けて変わることなどをアクティビティを通じて参加者は理解したようです。
「他人について知ることは賢いことであり、自身を知ることは本当に聡明なことである」という言葉をサウサン講師が紹介してくれました。

講師の話に真剣に聞き入る参加者

その他にも、「自分を表現すること」や講師自身での日本での体験を交えて「文化による表現方法の違い」などの話もありましたが、私が一番興味を持ったのは、「(主に)男女によるコミュニケーションの違い」でした。

あくまでも「傾向」としての話ですが、男性はより「論理的なコミュニケーションの仕方」を好む傾向があり、話をする際は1つの話題に集中したい。一方、女性は「フィーリングを重視したコミュニケーション」をとる傾向があり、複数の話題を同時並行で話をしても大丈夫なようです。

そこでよくある男女カップルの会話のパターン。いろんな話題を早口で話す女性に対し、相手の男性は話半分に「ふんふん」と聞いているような聞いていないような、、、この時男性は、早口で話す女性のことを「感情を表に出したいのだな=大事なことを伝えたいわけではない」と受取り、大したことではないのだから聞かなくてもいいや、と無意識にスイッチオフになるようです。逆に、ゆっくりひとつのことについて話をすれば、「大事な話をしているのだな」と耳を傾けてくれるとか。

参加者の一人アラーさん(右)とJVCの現地スタッフ・アヤット(左)

参加者のひとり、アラーさんに感想を聞いてみました。アラーさんは5人の子どものお母さん。普段は足の悪いお義母さんの介護をしているそうですが、メーキャップを学びたくてこの研修を希望したそうです。研修のある日はお義母さんの介護でやらなければらないことを朝には済ませて来るのだとか。

研修で学んだスキルを活かして、友人やまわりの人たちにメーキャップをしてあげて、得た収入は子どもたちの教育費にあてたい、と将来の計画を語ってくれたアラーさん。コミュニケーションは難しいところもあるけど、今日学んだことは将来、ビジネスをするうえでも役立つことまちがいなしです!


JVCのパレスチナ事業では、現地に暮らす人びとの意思を応援する形での支援を行なっています。また、パレスチナの問題を日本社会にも伝えることで、一人ひとりが取り組むための橋渡し役を担うことも試みています。 サポートしていただいた分は全額、JVCのパレスチナ事業に寄付いたします。