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【メディア】どうした!「朝日新聞」のミス・テリー <#1>

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「朝日新聞」愛読歴60年からの苦言とエール

このところ、朝日新聞の記事に文字づかいの誤りが目につきます。
 
それも、イージー・ミス、ケアレス・ミスのたぐいで、ちょっと気をつければ防げるはずのものばかりです。
 
朝日新聞といえば、一流大学を出たエリート記者をそろえ、「ニューヨークタイムス」など世界の“クウォリティ・ペーパー”に伍す、と自他ともに認ずる<高級紙>のはずです。
 
その朝日新聞社内にいったい何が起きているのか。
 
今、世界が<独裁と強権の戦争の時代>へと突入し、国内では「権力監視」がいっそう叫ばれるなか、全国紙では毎日新聞、地方紙では東京・西日本・琉球新報・沖縄タイムスなどを除き、他の新聞社が保守(=自民党広報紙)へと軒並み傾斜していくなか、リベラル全国紙としての朝日新聞の使命は増していると思います。
 
だからこそ、小学4年のころから朝日新聞の愛読歴60年有余、しっかりしろとあえて苦言を呈すとともに、もっと頑張れとエールをおくりたいと考えました。

朝日新聞のケーススタディ~<誤字1>

ここで、このブログをお読みいただいている方に、朝日新聞記事の間違いさがし(*)クイズを出題したいと思います。
(*)糸井重里さんの著書に『言いまつがい』(新潮文庫)という傑作本がありますので、ご参考までに。
 
次の記事は、今年の9月15日に朝日新聞の地方版に掲載されたものですが、一箇所だけ用字用語に誤りがあります。
 
さて、どこでしょうか。
 
☞☞☞文字が小さくて読みにくいと思われますので、拡大してお読みください。


(2022年9月15日付朝日新聞より)

上の記事の間違いさがしのヒントは、冒頭の大見出しにあります。
 
実は、小生、文字の誤りに気づかず、すーっと読みすごしてしまったのですが、翌16日に同じ地方版の末尾に<訂正とおわび>が掲載されて、初めて誤りを知りました。
 
それが、次の囲み記事です。


(2022年9月16日付朝日新聞より)

この<訂正とおわび>を読めば、なあんだ、「行事」じゃなく「行司」か、そんなの小学生だって分かるじゃないか、と思うのですが、どっこい、あんがい気づかないものです。
 
でも、プロ集団の彼ら、とりわけ天下の朝日新聞に、なぜこんなミスが起きてしまったのか。

“鬼の校閲”に、見落としがあったのか

推察するに、こうだったのではないでしょうか。
 
まず、記事を書いた(おそらくベテランの大相撲担当)記者は、紙面を読むかぎり、本文に「行司」と誤りなく記し、正しい原稿を東京本社に送稿したはずです。
 
ところが、東京本社に控える整理部が、原稿の字・行数などを調整し、最後に、見出し(大・中・小)を付ける段階で、「行司」と書くべきところを誤って「行事」と書いてしまい、そのまま印刷工場に送ってしまった……。
 
でも、本文+見出しの記事全体をチェックするはずの校閲部は、時間の余裕がないとかの理由で、原稿から印刷までのプロセスに介在しなかったのでしょうか。
 
そんなことは絶対にないと断言できます。
 
学校の先輩が朝日新聞社に入社して、地方まわりを経験したのち、東京本社に“凱旋”したとき、聞かせてくれた話を以下に記します。
 
――朝日新聞社の校閲部と言えば、往年は“鬼のセクション”と恐れられ、<原稿校閲>の段階で一文一句を厳しく精査し、紙面整理のレイアウト(組版)が終わって刷り出しの段階でも<校正>に見落としがないかをチェックし、(新聞社間の報道協定により)午前零時に印刷工場に<下版>され、印刷したのちトラック輸送され、午前3時ころには駅売りスタンドや販売店を通して各家庭に配布される――。
 
その分刻みのストレス満載の話を聞いたとき、記事に<誤字>もなく、毎日毎日、朝と夕に新聞がよく出せるものだなと感心したものです。
(記事に誤りがあっても、どの新聞社も訂正など出さないという風潮が当時はありましたが)
 
さて、新聞記者の<働き方改革>については次回以降にゆずるとして、9月15日付朝日新聞の<大相撲連載記事>の誤字ミス・テリーは、記事を書いた記者に責任はなく、記事を整理する担当者が、おそらくパソコンの単純な誤変換に気づかず、校閲・校正担当者もそれを見落としたまま、印刷頒布されてしまった――。
 
要するに、見出しをつけた整理部もミスをしたが、そのミスを校閲部も見逃してしまうというダブル・ミスが、事の真相ではないでしょうか。
 
しかし、これは、朝日新聞社にとって、とても恥ずかしいことです。


(朝日)

なぜなら、朝日新聞社は昔から『朝日新聞の用語の手引』(*)を出していて、類書は数多いけれど、朝日の『手引』がいちばん広く読まれ、内容には定評があり、日本語の用字用語において模範であったはずだからです。
 
(*類書)読売新聞社は『読売新聞用字用語の手引』、共同通信社は『記者ハンドブック』を刊行している。
 
今回は、大相撲の地方版連載記事についての<誤字>レポートで、さして問題にもならなかったようですが、ロシアによるウクライナ侵略戦争という国際面の記事に<誤字>があったとすれば、<誤報>ではないにせよ、さすがに、どうした!朝日新聞、と叫ばずにはいられませんでした。
 
(次号につづく)

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