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なわばり争いをいかにして回避するか

前作2稿では、社会におけるなわばりり争いとその現状を、動物学的な見地から分析しました。本稿では、更に進んでよりよいコミュニティ形成のために、どうすればよいかという方向性を考察したいと思います。

人の社会には上司というものがいる

当たり前のことですが、牛小屋には上司がいません。上司がすぐれていれば、なわばり争いは回避され、円滑な経済活動が粛々と行われることになります。上司の役割は、「この仕事は◎◎さん」「この机の片づけは△△さん」と縄張りを切り分けることです。
筆者は半年ほどスーパーの総菜部門で揚げ物を担当したことがあります。この惣菜部門のマネージャーが優秀な方で、スタッフのシフトを見事に切り分けしていました。仲の良くない人同士を一緒にしないという配慮でシフトを決めていたのです。

上司さえ公平で頭がよければ、縄張り争いは回避できます。最終的に「ここは経済活動の場で、あなた方が権力争いをする場はありません」と公言すればよいのです。しかし、最近はこうしたこともできない上司が多くなっていると思います。では、職場でなわばり闘争を起こさないために、優秀な上司はどんなことをしているのでしょうか?

真っ白の子牛は珍しい

優秀な上司はどうしているか

その1:頻繁に行うミーティングと役割の確認
その2;職場ではマナーを守らせるという断固たる意志表明
その3:職員同士の融和策も行う

こういう方法を日々行っています。時々ではありません、日々です!

こうした対策をほぼ毎日行うことで、エサを取りうメスの集団を、社会人の集団に変えてていきます。若いメスは割ということをきき、御しやすいのですが40過ぎると変な成功体験があるせいでしょうが、いうことを聞かないメスが多くなるように思います。上司の意向をそっちのけで場を仕切ります。

牛の世界にだって権力争いはある

最悪のケース

上司がしっかりしていればいい。それはよくわかったと思います。
しっかりしない上司だと、職場は最悪です。一番よくないのは、上司(たいてい男性)が二番手(たいてい女性)に職場の仕切りを丸投げしているケースです。これはコールセンターでも、家畜保健所でも、大学の研究室でも、スーパーでも同じです。職場にいる人間の教育レベルと全く関係なしに、二番手女性がカオスを引き起こします。二番手におもねる奴・対立する奴、いろいろです。権力があいまいな二番手のおばちゃんがボスになるので、それを覆そうとするメスが出てきたり、派閥が生じたりします。
肝心のトップ(マネ^ジャー、大学教授・保健所の課長)は二番手に仕事を丸投げして楽をしています。なんだかよくわからない権力をもつ二番手のおばちゃんが偉そうにしているので、カオスが生じるのです。

牛にだってなわばりはある

トップは自らの義務を果たせ

もしこうした事態を回避しないなら、トップはみずから職場の教育や評価をすべきです。その点、先日まで研究生をしていた水産大の古下教授は素晴らしかったです。簡単な培地の作り方まで自ら時間を取って教えられるのです。おかげで飛躍的に技術が向上しました。

研究室にありがちな「院生の◎◎さんに教えてもらって」というのはありませんでした。学生も、研究生も、バイトさんもすべて教授に直結しているのです。ほとんどの大学は、授業以外で教授や准教授がでてこないの、m上級生や院生に教えてもらうしかありません。正しいことをつたえているのか?という疑問もありますし、妙こうした人たちがな権力を持ってしまうというデメリットもあります。
同じことがスーパーのアルバイトでも起こっていました。いろいろな業界を見た結論として
「権力なきものへの権力譲渡はなわばりの温床」

ということです。

余談ですが、牛にもなわばりがあります。つなぎ式だとあまり問題はありませんが、フリーストールだと、妙に痩せている牛がいます。この原因は「食い負け」です。

似内惠(獣医師・似内産業動物診療所院長))
(この原稿の著作権は筆者に帰属します。無断転載を禁じます。)


似内のプロフィール
https://editor.note.com/notes/n1278cf05c52d/edit/
オールアバウト「動物病院」コラム

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