講演とインタビューの違い
ちょっと、前の話なのですが、学校の先生から「講演」と「インタビュー」の違いについて聞かれました。
聞き書きの教育効果についての話をする流れの中で、取材して話を聞くって、講演を聞くのと何が違うんですか?と聞かれたことがあります。その質問の背景までお聞きできませんでしたが、講演の方が一気に大勢の学生が話を聞けるのでは、ということかもしれません。
改めて考えてみました。
一番の違いは、講演が話し手が主導権を持ち一方的なのに対し、インタビュー(特に聞き書きのような非構造化インタビュー)は相互(構築)的だということです。
講演は話し手が話してくれます。何もアクションをしなくても。事前に学校であれば教員側からこんな話をしてほしいというやりとりはあっても、学生の立場からすれば、一方通行です。
それに対し、インタビューは対話です。聞かないと応えてくれません。自分で引き出さないといけないのです。つまり主体的にならざるを得ない。そして構造そのものが対話的です。まさに「主体的・対話的」な学びなわけです。インタビューを含めた聞き書き学習を勧める理由が、主体的・対話的にならざるを得ない構造だということがあげられます。
また、相互構築的であるということは、そこで生成される内容が事前に予測することはできない偶発的であるという点も特徴です。聞き手の質問によって、話し手の話すことは変わるため、同じ人に話を聞いても聞ける内容、学びは異なります。これも講演との違いで、聞き手の個性が出る、探究的な学びとも親和性が高いと考えています。
講演とインタビューの違いについて整理してみました。
余談となりますが、講演慣れしている、主張したいことがある人にインタビューをするのは結構難しいです。聞かれた質問に答えるというより、どんな質問に対しても、自分が話慣れているテンプレートで話すので、それはインタビュアーのスキルが問われますし、個人的にはおもしろくない(笑)ですし、上記の学びの観点からしても、講演に近しいものになってしまうでしょう。
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