ルーツレゲエの名盤10選:バンド編 (後半の7枚)
↑前の記事はこちら
Israel Viberation / Same Song
こちらは、ルーツ・レゲエの代表的なコーラスグループであるイスラエル・バイブレーションのデビューアルバム。
メンバーの3人は全員が小児性麻痺による身体障害者で、幼い頃に通っていたキリスト教系のリハビリ施設で出会ったというユニークな逸話を持っています。
最大の特徴はユラユラと揺れる声色が印象的なコーラスワークで、オリジナリティの高さはレゲエ界随一。
長い下積み時代の艱難辛苦を全く感じさせないユルユルな作風も魅力のひとつで、聴いているうちにフワフワとした心地よい浮遊感に包まれること請け合いです。
Black Uhuru / Red
ルーツレゲエに都会っぽい洗練されたテイストを取り入れ一大旋風を巻き起こしたブラック・ウフルのセカンドアルバム。
このアルバムの最大の魅力はメンバーの爽快なコーラスワークもさることながら、リズム・セクション(ベースとドラム)の演奏を担当しているSly & Robbieのタイトでソリッドな音作り。
「白人の耳にもしっかり届くように」と従来のレゲエのピッチを早めてロックっぽさも足した本作には、レゲエ界最強のリズムセクションコンビと称されるSly & the Robbieの高い技術とセンスがぎっしり詰め込まれています。
ドラムやベースをやっている方にも是非聴いていただきたい一枚です。
Abbysinians / Satta Massagana
レゲエの原点に立ち戻る正統派サウンドと骨太なメッセージ性が特徴的なAbbysiniansのデビューアルバム。
タイトル曲の「Satta Massagana」はレゲエシーンにおいてラスタファリニズム(ジャマイカのアフリカ回帰を謳う思想)を最もストレートに発信した楽曲のひとつとして知られていて、後続のミュージシャンたちに与えた影響は計り知れません。
彼らのスタジオアルバムはこれを含めて合計3作しかないんですが、どれもレゲエのスピリットを見事に体現した優れたアルバムなので、全部聴いてほしいというのが正直なところ。
レゲエシーンにはたくさんの素晴らしいコーラスグループがいますが、あえてNo.1を選ぶとしたら自分的には彼らかなと思います。
The Congos / Heart of the Congos
ルーツレゲエの代表的トリオグループCongosが発表した傑作アルバム。
プロデュースはリー・ペリーで、Max Romeoの「War Inna Babylon」と並び彼が手がけたアルバムの中で最も知名度の高い作品です。
ジャマイカ本土に古くから伝わる土着音楽「ナイヤビンギ」のテイストがギュッと閉じ込められた濃い目のエスプレッソのような一枚。
「Fisherman」は昔ながらの猟法で漁獲をする漁師の生き様を高らかに歌った曲で、日本でいえば美輪明宏の「ヨイトマケの唄」的なポジションかもしれません(勝手な推察ですがw)
ちなみに彼らは下の世代のミュージシャンとも積極的にアルバムを共作をしており、特にアメリカのレゲエバンドGroundationとの親交が深いです。(Israel VibrationとAbbysiniansも時々Groundationとコラボしてます)
Toots & the Maytals / Funky Kingston
こちらもスカ・レゲエリスナーなら誰もが知ってる王道にして定番の一枚。
実は「レゲエ」という言葉は、トゥーツ・アンド・メイタルズが1968年に発表した「Do the Raggay」という曲から生まれています。
レゲエがジャマイカ発祥の音楽として爆発的な勢いで世界中に広まったのは70年代からですが、それよりも前の50年代はアメリカのR&Bをそのままトレースしたようなグループが多数存在していました。
それから60年代に入ってR&Bにジャマイカ特有のスピーディーなビート感を加えたスカが流行し、スカグループが数多く登場。
トゥーツ・アンド・メイタルズが登場したのはスカ文化が隆盛を迎えてからやや年月が経過した60年代後半で、彼らの活躍によって、スカよりもさらにボーカルやコーラスにスポットを当てた新ジャンル「レゲエ」の根幹が作られたんです。
ファンク、R&B、ソウルなどアメリカの音楽をベースにジャマイカならではのカラっとした陽気な世界観が展開されており、ジェームス・ブラウンやジョージ・ワシントンみたいなファンクシンガーが好きな方にはドストライクなはず。
Black Roots / Black Roots
ブラック・ルーツは、主にジャマイカ系移民のメンバーによって1979年にイギリス・ブリストルで結成された8人組のレゲエバンド。
ファーストアルバムの「Black Roots」は1983年、セカンドアルバム「On the Front Line」は1984年に発表され、リバーブやディレイなどの空間系エフェクトを多用した両作は、90年代にデビューしたUKダブのアーティスト群に多大な影響を与えました。
8人編成ならではの重厚なサウンドとイギリスらしいクールな空気感•メロディが特徴。
自分が聴いてきたルーツレゲエのアルバムのなかでは一番音圧が強くてへヴィーな音づくり。ヘッドホンを着用して爆音で聴くとそりゃもう最高です。
Culture / Two Sevens Clash
ルーツレゲエの隆盛期終盤である1970年代後半に発表されたコーラス・グループCultureの傑作ファーストアルバム。
UKパンクシーンに絶大な影響を与えたことでも知られ、あのパンクバンドThe Clashの名前の由来になったという説もあります。
このバンドの登場を境にスカとレゲエのサウンドがイギリスのパンクと合流し始め、やがて時代を超えてニューウェーブへと進化しアメリカ西海岸に渡ります。
その流れからアメリカ全土でスカコアブームが起き、それがやがて日本に入ってきて、00年代の青春パンク・メロコアムーブメント(ハイ•スタンダードやゴーイング•ステディなど)に繋がります。
なので、日本の青春パンクのルーツを辿っていくと、最終的にはこの作品に行き着くというわけですね。パンク好きの方にも是非聞いていただきたい一枚です。
というわけで随分長丁場になってしまいましたがいかがでしたでしょうか? 最後まで読んでくださりどうもありがとうございます😊
シンガー編は、また気が向いた時にでものんびり書きます。
それでは今日はこのへんで。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?