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北米留学のコスト対卒業後の給与について

こんにちは。アメリカのGoogleでソフトウェアエンジニアをしているJustinといいます。今回はカナダの学部留学を経てアメリカに就職する道と、もう一つの道である大学または大学院からアメリカに留学してそのまま就職する道について、費用対効果(卒業後の給与)の面で比較をしようと思います。

留学といえばまず気になるのが費用ではないでしょうか?近年の円安により、留学費用は年々高騰しています。結果から書くと、費用対効果でいうと大学院留学から現地就職の方が有利であると僕は思います。また、どの地域に留学に行くかということが大きな要因ではないかと思います。就職難易度という面で見ても、ソフトウェアエンジニアとしてIT業界に就職するのであればやはり大学院を出ていた方が有利になるのではないでしょうか。

日本に住む学生さんやこれから留学、または大学院を考えている方への参考になればいいなと思います。

カナダのマギル大学に学部留学をした場合


マギル大学近郊部 / モントリオール

カナダはアメリカに比べると昔は少し安いイメージでしたが、最近はそうでもありません。これはカナダのマギル大学のここ4年の理学部への学部留学の1年の学費です。1 カナダドル (CAD) 113円で計算すると以下のようになります。[link] 

  • 2021年: 57,066.39 CAD (~650万円)

  • 2022年: 58,724.19 CAD (~670万円)

  • 2023年: 61,493.79 CAD (~700万円)

  • 2024年: 64,401.69 CAD (~730万円)

理学部(Faculty of Sccience)への学費はここ4年で約80万円上昇しています。これは寮費や食費を含まないので、ざっと見てどれだけ切り詰めても年間900万円前後は必要になってくる計算です。ちなみに、2013年の学部留学費用は30,654 CAD (~350万円)でした [link]。学費はここ10年で2.7倍となっており、近年の留学生への学費の上昇は凄まじいものがあります。これを大部分は4年で卒業するので、3,500万円前後が学費と生活費を含めて必要になってきます。

卒業した後にカナダやアメリカに残るにはこの4年間の間で就職先を探さなければいけません。マギル大学の経営学部の卒業生のデータによると、B. Commerce(商学位)卒業生の80%が職を得ており、カナダの企業や国際的な企業が就職先の多くを占めます。また、卒業後の平均給料が60,621$と報告されています。[link] 経営学部の学費は理学部よりも高く、2024年では1年の学費が70,975CAD(~800万円)となっているので、単純に学費対給料で計算すると4年分の学費を稼ぐのに5年間の給料が必要という計算になってきます。(税引前)

カリフォルニア大学バークレー校に学部・修士留学をした場合


カリフォルニア大学バークレー校

名門であるUCバークレーに修士で留学した場合のコストも比較のために書こうと思います。Sofiによると1年間の修士課程の学費と保険費は合計して36,352 USD(~570万円)となっています。これに家賃を上乗せすると約800万円年間で最低限必要となる計算になります。UCバークレーのあるサンフランシスコエリアは家賃が高いことで有名です。

UCバークレーの大学院/ビジネススクールであるHaas School of Businessの2023-24年度の授業料は124,041 [link](~2000万円)となっており、その上に食費と家賃が乗っかってくるので1年で約2500万円は必要になってくるのではないでしょうか。

一概にマギル大学をUCバークレーを比較するのは難しいですが、UC Berkeleyの商学部の学部の卒業生の平均給与は76,660 USD (1,200万円)、大学院のビジネススクールであるHaasの場合は160,600 USD (2,500万円)となっています。[link]

同様に学費に対しての給与の比率の計算をすると、UCバークレーの商学部を卒業した場合、学部4年分の学費を稼ぐのに約2年間働く必要があることになります。(税引き前)また、Haasの場合は約1.7年間働けば大学院2年分の学費に相当する計算になります。

これらの情報を踏まえてみると、やはり大学院留学の方が学費が2年間しかかからない有利さが影響して、数字の上では有利に見えます。また、企業側からしても修士号と学士号を持った人材がいれば、修士号を持っている人を選ぶケースが多いのではないのかと思います。ですが、2年間の中で仕事を探す難しさとその心理的な負荷を考慮する必要があるかもしれません。

また、今回はあえてUC Berkeleyというシリコンバレーに近い名門校を比較の対象として選びました。その理由としては、行く学校の地域の産業というのが卒業後の給与に大きく影響を与えると思うからです。モントリオールとシリコンバレーではやはり卒業後の平均給与に差が生まれてしまいます。これを踏まえて、これから留学を考えている方にとってアメリカ・カナダのどこで留学をするのか、というのは卒業後に北米で就職をしたのであれば非常に大きな要因になると僕は思います。

終わりに

いかがでしたでしょうか?今回はカナダのマギル大学に学部留学する際の費用と、アメリカのUCバークレーに学部留学及び大学院留学する際の費用と卒業後の給与を比較しました。一概に比較するのは難しいですが、大まかに見て、やはりカリフォルニアベイエリアの卒業後の給与の高さがカナダ留学対給与の比率の低さを際立たせたと思います。

他にも費用対効果が比較的高いコミュニティカレッジから編入する方法や、(私感では)究極のチャレンジであるPh.D.からの就職という道もあります。これらについては、私が自分自身で経験したわけではないのであくまで私の理解という観点になりますが、今度記事を書こうと思います。

留学はどの大学に行くかというのはとても大事ですが、どの地域の大学に行くということは同じくらい大切だと個人的には思います。自分の思い描いている卒業後の進路に合致する地域と学校があればそれが1番いいと思いますが、それを探すのはなかなか難しいかもしれません。もしこれから留学しようと考えている方が留学先について悩んでいるのであれば、微力ながらこの記事がその悩みの助けになれればと思います。

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