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【書評】2つの思考と2つのスキルで問題解決のプロになる「問題解決プロフェッショナル」齋藤嘉則著

先日会社の総務部から「オフィスで害虫による被害が発生しています。引き出しにお菓子などがあると害虫が来る原因になります。出張のお土産など、余計な習慣は無くしていきましょう。」というメールが来ました。

思わぬ着地点に、メールを読みながら「そこ!?」とツッコミを入れてしまいました…笑

日々仕事をしていると、大なり小なり毎日のように何かしら問題が発生します。むしろ仕事 = 問題を解決することといってもいいかもしれません。

本日ご紹介するのは、コンサルタントの齋藤嘉則さんによる著書「問題解決プロフェッショナル」です。

この本は問題解決の著書でも名著中の名著であり、山口周さんも必ず読むべきビジネス書として名前を挙げています。

本書には、問題解決に必要な思考とスキル、考え方のステップが具体例を交えて紹介されています。

皆さんも本書を読み、オフィスに害虫が出ないようにしましょう。

問題解決に必要な「2つの思考 + 2つの技術 + 1つのプロセス」

本書では、問題解決に必要なスキルを以下の「2つの思考 + 2つの技術 + 1つのプロセス」と定義しています。

2つの思考
・ゼロベース思考
・仮説思考

2つのスキル
・MECE
・ロジックツリー

1つのプロセス
・ソリューションシステム

それぞれどのようなものかを説明します。

2つの思考

ゼロベース思考

私たちが何か物事を考えたり行動する際、常に何かしらの制約を受けています。

「今まであのやり方で成功してきたから、同じやり方を踏襲しよう」「これはうちの会社には向いてないから、上司がGOサインを出さないだろう」など…。

ゼロベース思考とは、そんな「既成の枠」を取り外して物事を考える事です。そのためには

・自分の狭い枠の中で否定に走らない
・顧客にとっての価値を考える

の2点が重要です。

何かの解決策やアイデアを考える時、自分の枠内だけで物事を考えると、本来出てくるはずだったアイデアが自分の嗜好の壁に阻まれ出てこなくなってしまいます。

上図のように、規制の枠内だけで物事を考えてしまうと、本当の原因や課題などを見落とし、効果の低い打ち手しか思いつかないというてしまうリスクがあります。

また、顧客視点に立って物事を考えることで、自部門や上司の目など既成のタガから抜け出して思考を広げることが出来ます。

例えばケンタッキーの新メニューを考える際、「うちはチキンの会社だから」という制約があるとアイデアの幅はチキンに限られてしまいます。しかし、顧客にとってケンタッキーは必ずしもチキンを食べる為だけのお店ではないかもしれません。

顧客にとっての価値が「ちょっとしたお祝いに、手軽にパーティー気分を味わいたい」だった場合、ピザやスイーツなどを検討のスコープに入れることが出来るかもしれません。

仮説思考

2つ目の仮説思考は、常にその時々での結論を出しながら考えるという事です。

仮説が無ければ調べたい情報は無限に出てきてしまい、いくら時間があっても欲しい情報にたどり着けないという事態に陥ってしまいます。

「決断」という言葉は断つもの決めるという意味で、仮説思考によって何をやらないかを明らかにし、最短で結論に向かうことが出来るようになります。

例えば新製品の案がA~Eまで5案あった場合、仮説なしに全てのお客さんの好みを聞こうとすると10通りの検証をしなければなりません。

しかしA案が受け入れられるのではないか?という仮説があればA案 vs その他という検証を行い、A案が本当に最も受け入れられるかを確かめることが出来ます。

情報も無いのに最初から結論付けるなんて無理だと思うかもしれませんが、仮説を持つ事で、仮説が外れた場合にもそれが新たな発見につながるというメリットがあります。

山中伸弥教授の言葉にも以下のようなものがあります。

「仮説が外れることなんてよくあることです。失敗するからこそ「なぜ」という疑問が生まれる。その原因を探って再チャレンジすることで新しい扉が開くんです。」

仮説思考をもってトライ&エラーを繰り返すことで、最短で解決策の練度を上げることが可能になります。

2つのスキル

MECE

MECEとは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字をとった言葉で、漏れなくダブりなくという意味を表す言葉です。

何故MECEがそこまで重要かというと、モレ = 機会の損失, ダブり = 非効率につながり、損失や失敗につながってしまうからです。

例えば会社の利益を上げる方法として、「売上を上げる」という方法だけで考えたとします。ただ、実際に利益を増やすには売上を上げるだけでなく、「コストを下げる」事によっても達成可能です。

つまり、「コストを下げる」という視点がモレているせいで利益を上げる機会を損失していることになります。

また、「売上を上げる」と「単価を上げる」を上げた場合、2つはダブってしまっています。そうなると、売上を上げる方法を考える時間と、単価を上げる方法を考える時間が重複してしまい、時間を無駄遣いしてしまっていることになります。

そのため、まずは事象をMECEに分け、そこから優先順位をつけることで最も効果的なアクションを選択できるようになります。

ロジックツリー

MECEに考えるために有用なのが、ロジックツリーです。

アイデア出しや原因・解決策の探索に使うことが出来るのですが、箇条書きに対して以下の3つのメリットがあります。

・漏れやダブりをチェックできる
・原因や解決策を具体的に落とし込める
・各内容の因果関係を明らかに出来る

「考えが浅い/深い」とよく言いますが、この浅い/深いはロジックツリーで考えると理解しやすいです。

例えば「痩せる」をツリーで分解することにより、「摂取カロリーを減らす」→「食事のカロリーを減らす」→「間食のカロリーを減らす」→「お菓子をナッツに変える」という風に、アクションを深めることが出来ます。

ソリューション・システム

ここまで読んでいただき、皆さんも業務でこの2つの思考と2つのスキルを使ってみたいと思ったのではないでしょうか。

最後に、これらを駆使して問題解決を行う際に役立つ「ソリューション・システム」をというプロセスをご紹介します。

ソリューションシステムは以下の3つのステップに分けられます。

1.課題の設定
2.解決策の仮説
3.解決策の検証・評価

ここでのポイントは、まず最初に課題をきちんと見つけ、定義することです。

最初の課題がしっかり定まっていない無いと、いつまでも自分の目指すゴールにたどり着けません。自分がどこに着きたいのか分からずに歩き始める人はいませんが、ビジネスではそれをやってしまう人が結構多くいます。

とりあえず会議を開催したり、取るべきアクションが分からないまま調査を実施してしまったり…

ソリューションシステムを使って問題解決を図るために、筆者は下図の「ソリューションシステムシート」というツールを紹介しています。

Excelなどに左から課題→解決策→検証・評価を記載していくことで、ロジックツリーの構造を保ちながら課題から解決策までを一気通貫に考えることが出来ます。

このシートを活用すれば、的を外さないようにしながら効率的に課題解決に向かう事が可能です。

まとめ

僕の担当する消費者リサーチは、まさにビジネス上の課題を解決するために行われます。

リサーチ担当がリサーチだけをやっていると、ただの定型業務になってしまいがちです。

リサーチを依頼されるに至った背景と課題は何か。このリサーチで何を明らかにしたいのか。どんな打ち手が想定されるのか。等の意識を持ちながらリサーチの企画・設計を行う事で、より有益な調査が出来ると思っています。

皆さんもこの本を読んで、僕と一緒に「会社で問題解決といえばこの人!」と言われるようなプロフェッショナルを目指しましょう!

Twitterもやっているので、ぜひフォローお願いします!

それでは!

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