PENTAGON 8と9の間で
8月の終わりと9月の始めにPENTAGONがそれぞれ新曲をリリースしました。
日本で6枚目となるミニアルバム「PADO」とNSMGとの企画でデジタル配信された「Love is Pain」です。
この2作は個人的にとても意義深い作品だったなと思います。
2016年10月10日にデビューをしたPENTAOGNは、今年のその日までに事務所と再契約をするかどうかのラインに立っています。同期で早期再契約をするグループもいる中で、9月16日現在今もその去就について公式発表はありません。
現在グループから離れて中国での個人活動を活発化させているイェナンや、卒業間際の日本の女子アイドルばりにビジュアルが仕上がり意味深な言葉を吐露していたこともあるヨウォンなんかが、無駄に深読みするネガティブオタクの不安をあおってくる中、先月のコンサートで「僕がみなさんと一緒にいると約束します。PENTAGONとUNIVERSEを守るためになんでもします!」と頼もしく言ってくれたジノの言葉もあったり。
それでもはっきりとした今後の明言がされないまま、宙ぶらりんになっているここ数か月の気持ちにこの2作はとても胸に刺さってくる作品でした。
ミニアルバム「PADO」のリード曲PADOはメンバーのキノによる作詞作曲作品。PADOとは韓国語で波を意味する言葉で、キノいわく滴が落ちておこす波動にインスピレーションを得たそうです。
これぞロマンチシズムの塊カン・ヒョングの感性。作る曲みんなオタクの琴線にささりすぎる出来です。
MVはHAPPINESSを思わせる、暑い季節の中でリラックスしたムードのメンバーを映しています。でもソロカットの表情がいちいち物悲しさを感じさせるメンバーもいてオタクの心しんどくさせてきます。
曲についてですが、このミニアルバムでは一貫して「離れられない愛の歓び」について表現しているように思えます。
ジノ作のBillie Jeanを除いた曲の制作をしているキノは、自作曲ではこれまで別れの痛みなどに美を見出す傾向があるのかなと私は考えています。
しかし今回の作品では全編に渡り、散っていく様に美を感じる内容ではなく、二人が一つに溶け合う愛、背を向けてもメビウスの輪のように廻り巡り合う愛、一つの言葉に永遠を込めた愛、離れても必ず戻ってきて愛してしまう感情をポジティブに謳っています。
私は勝手に深読みしちゃうオタク(2度目)なので、再契約というセンシティブな時期にこうした別れ難い、永遠を意味するラブソングを伝えてくれたことが、キノなりのユニボスへのこれまでの感謝と未来への約束なのかなと思い込みたくなりました。
全世界に聴いてほしい名盤。品切れ起こしてるのまじ辛すぎる。布教用にもっと買わせてほしいです。
一方、Love is Painは原曲が中国の歌手・秦海清の「不如 Bu Ru」を韓国語に再解釈した作品です。ラップのリリックはウソクが作っているので、PENTAGONの色も肉付けされています。
この曲はフイを除く8人体制での楽曲となっています。メンバーの髪型から推測するに、Feelin' Likeに最初のレコーディングがあってMVの撮影はホンソクを除き今年だったのかな?と考えられる長期の製作期間が取られています。
レコーディング風景を映したMVでは、今は中国で離れたところにいるイェナンもメンバーとともにいるようなカット割りをされているので、9人のPENTAGONを待ち望んでいるファンの心をたまらなくさせてきます。
この曲はPADOとは違い、愛を理解してくれなかった相手との別れで「恋をしなければ良かった」と思う傷ついた気持ちを、美しい夕焼けのような思い出と共に振り返りつつ、忘れようともがく悲哀の世界観になっています。追加されたラップでは原曲の直接的な表現を抽象的な描写に置き換えつつ歌っていて、ウソクの感性が出ていて素敵だと思いました。
あくまでカバーソングなのでここに大きくPENTAGONの意図が汲まれているわけではありません。しかし別れの痛みについて切々と訴えかけてくるこの曲を聴いていると、様々なグループの状態について思いを馳せたくなります。
例えばもうすぐ兵役に行く私の推しのシノンや、コンサートで涙を堪えきれなかったユウトやヨウォンの様子、最初は家庭の事情で帰国したのにグループから離脱したまま個人活動が活発化したイェナン…
更にイェナンは先日インスタを開設したのに全くメンバーや事務所の言及もなく、こちらも状況の悪さを流石に察せざるをえない状況で、来月で契約満了のメンバーが出てくるグループの今後だとか。
グループアイドルの人生は長く続けられるほうが稀…というのはオタク人生を通して薄々理解していますし、オタクのずっと皆で一緒にいてほしい!なんて欲でアイドルの人生に責任を取ることができないことも頭ではわかっています。
でも私あきらめの悪いオタクなので、というかPENTAGONの曲が普通にめっちゃ大好きなので、PENTAGONの歌と人生を共にしたいんですよね。
PENTAGONと一緒に年を重ねて、もっと美しく磨かれていく彼らの自作の楽曲や歌声を聴き続けたい…ですので今のこのふわふわした状況が辛すぎる。
昨秋、初めて彼らのコンサートを生で見ることができたときは5人体制で、思いがけず今年8人体制のPENTAGONまで見ることができて、その歌声の多様さや厚みに私本当に感動しました。
パートに切り替わるたびに「声良すぎでは?」となるメンバーばかりだし、身長差のあるメンバーが同じ振り付けで揃って見せてくれた時の爽快感は最高でした。
あと一人。
9人が揃った時はきっともっと素晴らしいステージを見せてくれるんだろうなと思いを馳せて、それがきっともう現実的に難しんだろうなということに気づくととても心が苦しくなります。
私が唯一会えていないイェナンの歌声は、パワーボーカルのジノフイとは違った繊細さの塊の歌声の持ち主です。彼の声がPENTAGONの中にあると、その良い意味で抜けたトーンが曲を落としてくるアクセントになる使い方があって代わりのない声質だと思います。
そんな彼の歌声をLove is Painで再びPENTAGONとして聴くことができたこと。これが置き土産のようになるのかもしれないけれど、やはりPENTAGONの大切なピースだったことを私は絶対に忘れないと思います。
また他のメンバーの美しく厚い歌声。色んな感情が溢れてもなお輝いていた表情。先月コンサートで会えたのにもう恋しくなって、でも来月のことを思うと不安でたまらなくなります。
PENTAGONが夏の終わりにファンに終わらない愛の歌を贈ってくれたこと、秋の始まりに忘れることなどできない恋しさを報せてくれたこと。この私の中にある感傷をどうか払拭してくれる良き報せが来ることを願います。