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不眠症

瞳に囚われたる女神像
言葉を拒み無垢を得て
望み望まれ死に生ける

疾風の風に置いた石
浅瀬の凪に老いた苔

辺りを壁で囲いては
自由を求める不幸に気付き

他人の影に重ねては
怯えて微笑む不毛の嘘吐き

いつかの詭弁を語れば遠く
霞んだ夜空を見下して

静かな湖面は鏡の如く
澄んで私を見返した

歪な仮面は私の孤独
隠れた涙見透かせば

溢れた何か落ちた池
嗚咽に波が押し寄せる

宙に溶くは白い霧
頬を流るは熱の跡

揺らぐ虚像は瞼を閉じて
走る鼓動に手を当てた

闇に抱かれて悔いた日に
病払えと伸びた指

この目を摘みとり火を灯せ
この身を燃やして陽よ昇れ

来る主の沈黙全を成し
去る私の盲目一となる

地を這う夢無に帰せば
人は眠れど悪夢に歩く

さすれば浮世は誰が夢か


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