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〜ないでください・〜なくてもいいです 意味・使い方 【例文付き】 <それ、お酒です。a.飲まないでください b.飲まなくてもいいです>

今回は「〜ないでください」「〜なくてもいいです」についてまとめようと思います。


〜ないでください

【形】V(ない形)+でください

【意味】Vをしないことを依頼(指示)する丁寧な表現。ただし、強制力は強いため何らかの根拠やルールが使用の背景にあることが多い。

☞言葉の持つ機能が「依頼(お願い)」「指示」「命令」のどれになるかは話し手と聞き手の関係、伝え方(言い方)などの影響を常に受けます。

それでも、文型自体が持つニュアンスが明確に伝わりやすい例文を作れるようにしたいなと思っています。(毎回すごく悩みますが、、、、、)
禁止表現については国際交流基金のHPでとてもわかりやすくまとめられていたので載せておきたいと思います。

禁止表現 [「日本語教育通信 文法を楽しく「表現意図 -指示・命令・禁止-」より抜粋]

a. ここでタバコを吸うな。         b. ここでタバコを吸わない。
c. ここでタバコを吸わないでください。 d. ここでタバコを吸わないこと。
e. ここでタバコを吸ってはいけない。     f. ここでタバコを吸わないように。
g. 禁煙!

 aは禁止の命令表現です。動詞の辞書形に禁止を表す終助詞「な」を付けた形です。簡潔で、かなり強い言い方です。bのように単に動詞のナイ形を使って禁止を表す場合もあります。aよりは柔らかく、説得するような言い方になっています。
 cはabより丁寧な言い方になりますが、言い方が丁寧なだけで、決め付けた強い表現になることが多いです。文書・看板など書かれたものでは、dの「~(ない)こと」がよく用いられます。これは口頭では現れません。eは「~てはいけない」の形で、禁止を表します。aと同じくらいの強さがあります。
 fは禁止の指示、または命令として使われています。gのように名詞だけを出す名詞止めも表示や注意書きなどによく使われます。「立(ち)入(り)禁止」「駐車禁止」「使用禁止」などがあります。名詞止めの中の、「禁(止)」が禁止の意味を表しています。名詞止めでは、話し言葉では後ろに「です」や「だ」が付くことが多いです。

国際交流基金「日本語教育通信 文法を楽しく「表現意図 -指示・命令・禁止-」」https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/teach/tsushin/grammar/201603.html(2024/07/05閲覧)

【例文】
・ここでは写真を撮らないでください。(図書館)(温泉)
・ここでは泳がないでください。(温泉)
・ここに車を止めないでください。(家の前)
・それはお酒です!飲まないでください。
・これは学校の教科書なので、書かないでください。

【教えるポイント】

イラストを見て「〜ないでください」が言えるように形の練習→意味理解の練習→運用の練習とステップを踏みながら進めていきます。

①ない形の練習

<Ⅲグループ>
します→しない
来ます→来ない

<Ⅱグループ> V【語幹】+ない
止めます→止めない
ねます→ねない
Vマス →Vマス+ない

<Ⅰグループ> V【語幹】+【あ段】ない
とります→とらない
泳ぎます→泳がない
飲みます→飲まない
Vマス (V【い段】マス)→V【あ段】ない

②意味理解の練習
イラストを見て適切なセリフを選ぶ・「ないでください」を使って答える。

*「〜てください」なのか「〜ないでください」なのか状況を理解した上で選ぶ問題も入れてみたいと思っています。

寒いですから窓を[②開けないでください]
暑いですからエアコンを[①つけてください]

③運用の練習
まず、学校のマナーとしてしてはいけないことを学生に聞いて板書します。
出てこなかった場合は「〜ます。いいですか?」と講師から聞きます。

❶のようなルール表を配ってまずは個人で学校のマナーを「ないでください」の形に作り直してもらいます。(もし、よくできるクラスなら❷を配って最初から考えさせてもいいかもしれません。)

そして、グループワークで大きめに印刷した❷に自分達が大切だと思うルールを入れてオリジナルの「学校のルール」作りをしてもらいます。


〜なくてもいいです

【形】V(ない形:な)+くてもいい

【意味】Vをする必要性がないことを表す。してもいい・しなくてもいい、選択権が相手にあることを示している。

また、「今日」「学校で」など時間や場所を表す副詞と一緒に使われる場合は、Vをする必要性はそのまま残り、「てもいい・なくてもいい」という選択は副詞の内容にかかる。

・この課題はしなくてもいい。
 →課題を[する・しない]選択権がある
・この課題は今日しなくてもいい。
 →課題を[今日する・今日以外の日にする]選択権がある・・・・課題自体をしなくてもよいわけではない

【例文】
・(飲み会で)お酒が苦手な人はお酒を飲まなくてもいいです。
・(学校で)
  A:先生、今日の宿題は今週中に出さなければいけませんか
                    (きゃいけませんか)。
  講師:いいえ、今週中に出さなくてもいいです。 
     来週の木曜日までにだしてください。
・(市役所で)
 A:ここに名前と住所を書いてください。
 B:電話番号も書きますか。
 A:電話番号は書かなくてもいいですよ。

【教えるポイント】

例文を考えていて、してもいいし、しなくてもいいという「必要はない・選択権がある」は絵や例文で伝えにくいと感じました。おそらく、「なければならない」などの「必要がある・選択権がない」意味を持つ文型を導入に利用しつつ進めるのがいいと思います。

例)
明日が漢字の課題の締切日で「明日課題を出さなければならない」
作文の課題について、
S:作文の課題も明日出さなければいけませんか?
T:いいえ、明日出さなくてもいいです。

また、実際の使用に関して、
「〜なくてもいい」は単独で使うことはあまりなく、「〜なければなりませんか?」「〜た方がいいですか?」といった必要性に関する質問や「なければいけない」と感じている相手の反応に対して「〜なくてもいいですよ。」は使われているように思います。

(緊張している様子のAに対して)
B:そんなに緊張しなくてもいいんですよ。

A:打ち合わせの際には、そちらにお伺いしましょうか?
B:いえ、わざわざお越しいただかなくても結構ですよ。オンラインで実施しましょう。

学習者にもよりますが、どちらかというと許可や伺いの言葉をよく使うことが多い気がします。
そのためにも、まずは自分が許可を求めた際に「〜なければいけない」のか「〜なくてもいい」のか、相手の判断を聞き分けられるようになる必要があると思います。

最後にインフォメーションギャップを用いたクラス内での活動を紹介したいと思います。
<設定>
日本語の授業の最後で課題と来週のイベントに関するお知らせがありました。AさんとBさんはそれぞれメモを取りました。
しかし、Bさんはメモを水で濡らしてしまい、ところどころ読めません。
Aさんに質問してメモの内容を聞き出しましょう。Aさんは「〜なければなりません」「〜なくてもいいです」を使って答えましょう。

例)
・4課の漢字は何をしなければなりませんか?ーノートに書かなければなりません
・て形のプリントはいつまでに出さなければなりませんか?/て形のプリントは来週の○曜日に出さなければなりませんか?
・○点の人はどうしますか?
1~8点の人は来週の月曜日に再テストを受ければなりません。
9・10点の人は再テストを受けなくてもいいです。
・お金を払わなけれ/浴衣を持ってこなければなりませんか

実は自分で作ってみて、もしかしたら学習者には難しいような気がしています、、、
授業までにすこし修正しつつ、学習者の様子も見つつ難易度を調整しようと思います🌱

この記事は以上になります。
最後までお読みくださりありがとうございました🌱

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