てらおかなつみ展@ondo gallery&products レビュー
12/6〜12/24まで、清澄白河のondo gallery&productsで開催されている「てらおかなつみ展」に滑りこんできました。
てらおかなつみさんは、可愛らしいワンちゃんの絵でおなじみのイラストレーターです。
淡い色づかいと、綿毛のような白いワンコが魅力的で、若い女性を中心に人気が高まっています。
ガールズバンドのねごとさんや、シンガーの吉澤嘉代子さんからも支持を受けており、グッズデザインも担当しているそうです。
今回の展示に合わせて、イラストレーターになってからの、5年間の足跡をまとめた画集を発売しました。
ワンちゃんだけではない、豊かなバリエーション
メインはワンちゃんをモチーフにしたイラストです。心から癒されること間違いありません。
走る、眠る、食べる……。力の抜けたあたたかで可愛らしい、てらおかさんのオリジナリティを存分に楽しめます。
またフィンランド旅行での思い出の品や、お仕事の様子を描いた作品も飾られていました。
おやつ代わりにしていたというバナナや、ムーミンのマグカップ、少し細長いリンゴなどが、あたたかなタッチで描かれています。
犬の絵と同様の、のんびりかつゆったりとしたシンプルな線です。リラックス&リラックス。「余裕を持つことの大切さ」を思い出させてくれます。
時間がゆっくりと過ぎる、安全な空間
在廊していた約30分のあいだ、私はぼんやりと「今だけは死なないだろうな」と考えていました。安心感を超える「安全」が、満ちあふれていたのです。
基本的に、生き物はいつ死んでもおかしくありません。線路に落ちるかもしれないし、脳の血管が詰まるかもしれない。でも、この建物にいる間は、生きられるだろうなと感じました。
てらおかさんの作品から、強烈な生命力がほとばしっていたわけではありません。むしろ穏やかで丸い線が、生きることを許す、雄大な空気を作っていたのでしょう。
またondo gallery&products の古い木造づくりが、作品たちの魅力をアシストしていました。梁や屋根の呼吸を感じる、"生きている建物"でした。
結果、会場には本当にゆるやかな時間が流れていて、気持ちがよかったのです。のんびりとぬるま湯に使っているような、空気に溶けていく感覚。普段はなかなか、味わえるものではありません。
私がうろうろしている間に、数人の方が入ってこられました。印象的だったのは、数人の方が微笑んでいたこと。てらおかさんの淡い色使いや、ワンちゃんの表情に安らぎを得たのでしょう。
そして、若者からご高齢の方もまでが、にこやかに写真を撮っていたこと。てらおかさんの作品の「自然さ」を物語っているようでした。
てらおかなつみ展、とにかく幸福な空間です。師走に追われて、脱力を忘れている方に、ぜひ足を運んでほしい……といっても、展示は12/24までなのです。ちょいとお知らせが遅かったけど、彼女の個展は戌年が終わっても続くはず。
猪突猛進……というより、きっといのししを優しく撫でながらお散歩するような展示になるのでしょう。
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