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【2024最新】ロキノン系とは? 90年代〜2010年代の代表的バンドを一覧でまとめ

邦ロックを聴き出した中学生〜大学生の皆さんが1回は調べるワードが「ロキノン系とは」だろう。ロキノン系って、まぁ幅が広くて、超絶よく分からん。

そもそもハードロックとかパンクとか、そんな括りじゃないのが問題で、ロキノン系とは「ROCKIN'ON JAPANという雑誌に取り上げられがちなアーティスト」なのだ。つまりまぁロキノン系の定義は株式会社ロッキング・オンの手のひらの上なのである。そしてこの現象が今や恐ろしいことになっている。何が恐ろしいのかは後述しよう。

さて、こんな曖昧なジャンルわけが成立していいのか、とここ10年くらい甚だ疑問なわけだが、今ではすっかり共通言語になっているわけだ。

しかもロック人口の多くの方々が なんとなく で使っている言葉と化している。これはかなり怖いことで、もはやロッキング・オンに出ていないバンドすら「ロキノン系」と括られることも珍しくない。

「ロキノン系」「ロキノン厨」の用法

まずは「ロキノン」の使い方からご紹介しよう。

「最近、Sound Cloudでこんなバンド見つけたんだけど、若いんだよね。20歳前後でさ〜」
「あ〜、聴いたわ。ロキノン系だよね〜。来年あたり地方のフェス呼ばれそうだわ」

「いや、髭ダンは至高よ? もう一桁ビートの時代終わったから」
「ちょっと線が細すぎるんよなぁ。アジカンとかテナーの時代が懐かしすぎるわ」
「ロキノン厨乙wwww」

とまぁ、こんな感じで使う。最近では「ROCKIN'ON JAPANに取り上げられるか否か」ではなく「夏フェスに出ているか否か」という線引きもロキノンの定義に入っていることに注目したい。

これは株式会社ロッキング・オンが2000年から「ROCK IN JAPAN」という国産夏フェスを開催しているからであろう。会場の1つであるWING TENTにはまだ蚊の羽音くらいしか知名度のないバンドが余裕で招待される。

ここに出ると、否応なしにロキノン系という刻印が押されるわけだ。これはもう旧イスラムの奴隷制度に近い。

ロキノン系の定義とは

バンド一覧に移る前にあらためてロキノン系を定義しておきたい。ロキノン定義としては以下の2点となる。どちらかを満たせばロキノン系に認定される。

・バンドかつ雑誌・ROCKIN' ON JAPANに登場すること
・バンドかつ音楽フェス・ROCK IN JAPANに出演すること

ではどのようなバンドが株式会社ロッキング・オンの目に止まるかを考えてみよう。ROCKIN'ON JAPANの創始者であり音楽ライターでもある渋谷陽一さんは、そもそもパンキッシュでエネルギッシュな方であり、昔は辛口評論家として有名だった。

渋谷さんが評価をする対象とは「攻めているか・守っているか」という点であり、時代を先立っているバンドはちゃんと評価をするものの、いわゆる売れ線で保守的なバンドはけちょんけちょんな評価を下す。これは完全なるカウンターカルチャーで、まさにベンチャー誌といわれる所以だった。

彼は2021年1月現在、まだ株式会社ロッキング・オンの社長席に座っており、雑誌にも彼のカルチャーは染み付いていることだろう。定義としては先述した2点だが、前提として以下の要素がないと株式会社ロッキング・オンのメディアには出られない。

バンドかつ、保守的ではなく、先進性があり、変化を続けていること。

といいつつ、どんでんがえすようで悪いが、ここ10年ほどのROCKIN' ON JAPANには、ミスチルとかバックナンバーとか、超メジャーで保守的なアーティストが掲載されているのも事実だ。ついには2年前ほどからROCK IN JAPANにはwackをはじめとするアイドルがラインナップされるようになった。

いつのまにか、ROCKIN' ON JAPANは、邦音楽のメインストリームを司るようになったのである。

となると、いよいよ「ロキノン系」って、よくわからん言葉でしょう。これが冒頭に書いた恐ろしい現象の正体だ。ロッキング・オン自体がブレると、永遠に横にジャンルが広がるのである。ついには邦ロック=ロキノン系という図式が成り立つかもしれない。

しかしある程度まだ、ロキノンの核は残されている。あくまで2000年代に使われていたロキノン系の原型は以下の3点が含まれるのは確信している。

・ロックを基調としているもののハードコアさはあまりない
・8ビートや4ビートを多用した勢いと若さのあるサウンド
・スマートなオシャレさというよりは味のあるダサさを感じる

【1990〜2020】年代ごとにロキノン系バンドを一覧にしてみた

ROCKIN'ON JAPANが創刊されたのは1986年だ。同誌には毎回、相当な数の記事が載る。しかもほぼインタビューなのが特徴で「2万字インタビュー」という文化を築いたのも、この雑誌である。

ではそんな文化のなかにいた1990年〜2010年代のいわゆるロキノン系バンドを一覧(五十音順)で紹介しよう。

1990年代のロキノン系バンド

・eastern youth
・エレファントカシマシ
・ギターウルフ
・くるり
・Kemuri
・ザ・コレクターズ
・サニー・デイ・サービス
・SUPERCAR
・ズボンズ
・怒髪天
・トライセラトップス
・Dragon Ash
・ナンバーガール
・ザ・ハイロウズ
・HUSKING BEE
・BACK DROP BOMB
・Hysteric Blue
・the pillows
・フィッシュマンズ
・フラワーカンパニーズ
・BLANCKEY JET CITY
・BOOM BOOM SATELLITES
・ボアダムス
・真心ブラザーズ
・THEE MICHELLE GUN ELEPHANT
・ゆらゆら帝国

2000年代のロキノン系バンド

・ART-SCHOOL
・藍坊主
・ASIAN KUNG-FU GENERATION
・AJICO
・ACIDMAN
・ASPARAGUS
・アナログフィッシュ
・アンダーグラフ
・THE イナズマ戦隊
・嘘つきバービー
・ELLEGARDEN
・OGRE YOU ASHOLE
・8otto
・音速ライン
・ガガガSP
・9mm Parabellum Bullet
・銀杏BOYZ
・グループ魂
・ザ・クロマニヨンズ
・GOING UNDER GROUND
・GOING STEADY
・GO!GO!7188
・サンボマスター
・the chef cooks me
・SHAKALABBITS
・シュノーケル
・少年カミカゼ
・Syrup16g
・SUPER BEAVER
・School Food Punishment
・ストレイテナー
・相対性理論
・曽我部恵一BAND
・downy
・チャットモンチー
・チリヌルヲワカ
・椿屋四重奏
・10-FEET
・DOES
・TRIPLANE
・NICO TOUCHES THE WALLS
・The NOVEMBERS
・The Birthday
・THE BACK HORN
・the band apart
・BEAT CRUSADERS
・HiGE
・フジファブリック
・THE PREDATORS
・Base Ball Bear
・THE BAWDIES
・POLYSICS
・マキシマムザホルモン
・RIZE
・凛として時雨
・LOST IN TIME
・ROSSO
・ROTTENGRAFFTY
・ONE OK ROCK

2010年代のロキノン系バンド

・ircle
・赤い公園
・雨のパレード
・アルカラ
・[Alexandros]
・andymori
・androp
・indigo la end
・WEAVER
・打首獄門同好会
・Age Factory
・eco system
・OverTheDogs
・THE ORAL CIGARETTES
・おいしくるメロンパン
・OKAMOTO'S
・踊ってばかりの国
・オワリカラ
・KANA-BOON
・カラスは真っ白
・感覚ピエロ
・KEYTALK
・きのこ帝国
・キュウソネコカミ
・空想委員会
・グッドモーニングアメリカ
・黒木渚
・ココロオークション
・サイダーガール
・SAKANAMON
・The SALOBERS
・SHISHAMO
・SISTER JET
・cinema staff
・真空ホロウ
・神聖かまってちゃん
・SuiseNoboaz
・THE STARBEMS
・TheSpringSummer
・sumika
・SEBASTIAN X
・東京カランコロン
・ドラマチックアラスカ
・tricot
・Droog
・鳴る銅鑼
・ニガミ17才
・ねごと
・the HIATUS
・パスピエ
・バズマザーズ
・バックドロップシンデレラ
・Halo at 四畳半
・Hello Sleepwalkers
・People In The Box
・THE PINBALLS
・ふくろうず
・Brian The Sun
・FLiP
・BLUE ENCOUNT
・フレデリック
・plenty
・the peggies
・PELICAN FUNCLUB
・The BONEZ
・ポルカドットスティングレイ
・WHITE ASH
・マカロニえんぴつ
・MAN WITH A MISSION
・モーモールルギャバン
・MONOEYES
・UNISON SQUARE GARDEN
・ゆれる
・yonige
・夜の本気ダンス
・ラックライフ
・THE ラブ人間
・リーガルリリー
・LILI LIMIT
・0.8秒と衝撃。
・N’夙川BOYS

ロキノン系はダサい? いやいや国産バンドの最後の意地だ

ついにロキノン系はダサいといわれるようになったようだ。というのも少しわかる。今やすでに時代はEDMであり、楽器はだんだんと使われなくなってきている。

今や海外産のダンスビートが日本の音楽シーンを席巻しており、売れ線のバンドですらシティポップブームから16ビートを用いた楽曲になっている。勢いのある楽曲にのせてエレキギターをかき鳴らす!とかもうない。時代はロックじゃない。少し小洒落たポップスだ。

ひとえに時代だろう。しかしこの流れはまさに渋谷陽一が海外の洋ロックを日本に持ち込み、カウンターカルチャーからメインストリームになったのと同じだ。海外のヒップホップサウンドやらEDMサウンドが、時間をかけていままさにメインストリームになったわけだ。

ロキノン系はだんだんと古くなってきているのだ。

だが、1991年生まれの私としてはまさに青春真っただなかをともにした仲であり、古さを感じながらもたまに聴いてしまう。そして何より、令和のバンドが海外のサウンドを積極的に取り入れるなかで、ロキノン系は「最後の国産バンド」ともいえる。まさに国産バンド最後の意地なのだ。

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