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【うつと私】「食べること」が再び好きになった

小学生低学年ぐらいのころ、食べることが好きだった。
ホンジャマカの石塚さんの出るグルメ番組が好きで、
「こんな風においしいもの食べて私もリポーターやってみたいなぁ」
なんて思っていた。

幼いころから、肥満とはいかないまでも、ぽっちゃり体質だった私。
小学校4年生になってくると、自分の見た目が気になりだした。
母親から
「体が丸くなってきたよね」
なんてよく言われていたし。
友人から足が太いと陰口をたたかれたこともある。
なんとなく「ダイエット」という言葉も耳にするようになった。
鏡で見る自分の顔が、異常に醜く感じるようになった。

それから、なんだかご飯を美味しいと思わなくなった。
とりあえず食べなきゃ。
出されたら食べる。
食べたくないけど食べる。
食べることが、いつのまにか楽しくなくなった。


母親が少しずつ料理をめんどくさがるようになり、土日の夜なんかは自分で作るようになった。
父親は出張で家を空けたり、私は部活で帰りが遅くなったりして、家族みんなでご飯を食べることがほとんどなくなった。
部活から帰っても、母親はテレビを見続け、私はラップのされたおかずを、レンジで温めて一人で食べていた。
家でのごはんは、孤独だった。

うつによって食欲もなくなり、高校3年生のときは、栄養ドリンクとソイジョイ一本で一日を終えることもよくあった。
拒食症とまではいかないが、自分で口に手を突っ込んで、吐こうとしたこともあるぐらい、食べることに嫌悪があった時期もあった。


本格的に、その時から、「食べることが義務になった」のだと思う。
うつになったこともあり、
「どうにかこうにか生命維持のために食べないといけないんだ」
そんな風に思っていた。

大学を休んで、自分の体と向き合ったとき、「食事」についてかなり考えた。
食べるもの、食べる時間、誰と食べるか、どうやって食べるか…
その時に、私は「食事」に対する、たくさんの思い込みがあることに気が付いた。

例えば、ご飯はいつも炊き立てで食べたいから冷凍しちゃいけない、とか。
毎日味噌汁を作らなきゃいけない、とか。
食材はまとめて新鮮なものを買ったほうがいい。
調味料はたくさんそろえなきゃ。
食べたらすぐ食器洗いしなきゃ。
これを食べるべき、あれを食べなきゃ、この時間は食べちゃダメ。

料理の苦手な母親をみて、それを反面教師にしていたのだと思う。
たくさんの「こうあるべき」に縛られて、食事をしていた。
それに気が付いて、だからこそご飯が楽しくないことに気が付いた。


だから、そういった思い込みに気づくと同時に、それを手放すようにした。

作るのめんどくさいならコンビニでもいいや。
ご飯はまとめて炊いて冷凍しちゃえば楽だ。
カット野菜や既製品もどんどん使っちゃえ。
調味料ってじっさい塩、砂糖、しょうゆがあればなんとかなる気がする。
てかめんつゆと白だしがつよい。
食器洗いは朝すればいいや。
食べたいものを素直に食べよう。
無理はしない。

そうして、「食べること」に対するマインドを、少しずつ変えるようにした。


その結果、一年の休学期間で、なぜか54㎏から47㎏と、体重が落ちた。
ずっと太り気味だったのに、今では人に「スリム」だと呼ばれるほどになった。
体重が落ちたのに、食べる量は増えた。
特に無理な運動をしたり、吐いたりしているわけでもない。
食べたいものを食べている。
食べることが楽しくなった。
それだけで、体の調子がよくなった。

食べることは生きることだ。
毎日の自分を作ることだと思う。
それから毎日が楽しいし、ご飯が日々の活力となっている。





毎日のコーヒー代に。