2019年10月の記事一覧
ひかり(ウィンターズ・テイル)
さよなら光
りんごは赤
夜がわたしを迎えにくる
絵本を持つ手がぽとりと落ちる
おやすみを言いそびれて
夢の中でまた眠る
昼間思い出せなかった画家の名前が
りんごの皮をむくみたいにするりと口から出る
夜が伸びていく
どちらかの足はまだ冷たくて
冷めたコーヒーを飲み干す人
お茶を淹れなおす人
蛍光灯の下、作業を続ける人の上にも
昇る月
欠けてゆく月
さよなら光
夜はりんご
下弦の月
かじりかけの
無題 (191019 詩)
それは恵みと呼ばれることもあった
これは愛だと言われても
受け入れられない愛もあり
拒まれた愛は濁流となって
軌道をはずれてゆく
愛の対象物までをも押し流して