見出し画像

【2022訃報】他界した西村賢太よ、まだ早かったよ…

今年2022年に旅立った作家は
どんな人がいたんだろう?

ネットで探せば、
一覧表が出てきます。
あ、これをまとめたリストを
作ったりすれば、記事になるかな?
と思ったり、
でも、作家名や簡単なプロフィールを
並べるだけなら、面白くないですね。
全員を網羅できるようにするだけに
なりそうで、、。

でも、今年はどんな人が他界したのか、
わかりたい。
やってみますか。

去年の話で恐縮ですが、
去年11月は、とうとう、
という作家がいなくなりました。
99才。
瀬戸内寂聴。
たしか、もう少しで100才に
なろうとしていて、
ご本人もマスコミもそれが
達成されるだろうと感じてたので
訃報が流れた時はショックでした。

とはいえ、おそらく、
新聞社も文芸雑誌も
瀬戸内寂聴さん逝去の時に
慌てぬよう、紹介原稿や、
特集記事をなんとなく、
先に支度してたに違いない。

昔、まだ瀬戸内晴美という
作家名で作品を書いたり、
雑誌やテレビに出ていた頃。
足を組んで、座っていた晴美さんが
黒柳徹子と対談してる、
そんな雑誌のカラーページを
見たことがあります。

なんて、あからさまに色っぽい
女性なんだろう?と思った。
それは、エロさではなかった。
本物の色っぽさでした。
こりゃ、作家仲間も、
夢中になっても仕方ないかあ。

訃報が流れた時、私の会社では
瀬戸内寂聴さんと付き合いはないものの、
文芸界独特の作法があるようで、
お別れ会はするのかしないのか、
花はいくらのを出すか
香典はいくらにするか、
他社とも連絡を取りつつ、
慌ただしくなったので、
よく記憶に残っていました。

今年2022に旅立った人で印象的なのは、
西村賢太さんが一番大きい。
西村さんは、私にとっては、
腐れ縁のような作家でした。
たまに、ふらっと読みたくなる、
欲望と絶望と嫉妬を晒けだす人。
あの世界観に酔いたくなるんです。

でも、それで良い訳がなく、
読み終わったら封印したくなる。
そんな時は、ブックオフに行き、
売りはらってしまいます。
部屋にはなくなります。

ところが、やはり、たまに
あの世界観を読みたくなる。
たいてい、夜です。
でも、近所の本屋に、
西村さんの本はあまりなく、
翌日、都心で買い漁る。
その繰り返しでした。
多少は、西村さんの酒代には
貢献してたかなあ?(笑)。

なぜかたまに読みたくなる世界。
あれは不思議な味でした。
タテマエとしては、
私小説は創作ではないと思いながら、
やはり、ついつい引き込まれる、
汚れ、すさんだ、しかし逞しい世界。

西村賢太さんがいなくなった今、
彼みたいな破滅主義の私小説作家は
だれがあとを引き継ぐんだろう?
それが気になります。

ちなみに、
西村賢太全集なんて出ないでしょうね。
「そんなこと言うんならお前がやれよ」
と言われるかもしれません。
でも、あんなにハニカミ屋の
西村さんのことだから、
「全集やりたいんてすが」と
企画を申すためには、
遺族に会いに行く必要があるのですが、
西村さんから「俺で全集?
バカ言ってんじゃないよ」と私を
一笑に付す西村さんが想像できる。
内心、まんざらではないくせに。

それにしても、
瀬戸内寂聴と、西村賢太、
「わたし」を書こう、刻もうとする、
とても現代的な作家だったことは
わたし語りの時代としては
象徴的な気もしますね。

今年に亡くなった人で、
西村賢太さんが珍しく、 
現代作家で私淑していた、 
石原慎太郎さんがいる。

石原さんは、
晩年は作家だったというより
政治に忙しかったから、
作品として名作を書いたかは
私にはよくわかりません。
何らかの世界観を築こうと 
もがいた気配は残っているんですが。
結局、大学生ながら芥川賞をとった
『太陽の季節』のハレンチさが
世間に波紋を呼んだことくらいか。
1955年に発表された『太陽の季節』は
それまでは、
戦前を生き延びた社会の大人が多数派と
思われてたところへ、
若い世代ががっつりと登場した
かけ声のように、社会を震撼させました。
石原慎太郎は
政治家としては完全な保守でしたが、
作家としては、今ある社会に
何らかの形でびっくりさせてやれと
という一面がありました。
成功したかどうかはわかりませんが。

他、西村京太郎さん、神坂次郎さん、
渡辺京二さんたちが
今年、お亡くなりになりました。
合唱。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?