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【西村賢太の死】破滅的私小説家は日本から居なくなった

西村賢太さんが亡くなって、
現存する私小説家は
日本に居なくなってしまいました。
54歳、あまりに若い。

西村賢太さんは、
先日まで普通に働いていたのに、
急にタクシーで不調を訴え、
病院に着いた頃には
心肺停止で、死が確認されたそう。
ちょっと謎や疑問が残りますね。

ところで、他の私小説作家は
どんな死に方をしたんだろう? 

伝統的な私小説家といえば、
葛西善蔵。41歳で死亡。
すさんだ生活の中、家族とも
離れ離れとなり、
肺病で他界。1928年。

西村賢太が師匠と仰いだ
藤澤清造は、東京芝公園の
六角堂内で凍死体で発見。
30代で精神病となり、
入退院を繰り返しながら、
他界。43歳でした。

破滅的私小説作家の
代表・嘉村磯多、36歳。
東京の居候宅で、結核で他界。

「ギリシア牧野」と呼ばれた
牧野信一は、神経衰弱や痔など
多くの病を抱えての執筆生活。
生家の納屋で自殺。
享年39。1936年。

戦前の私小説家で
ぱっと名前が出る人たちです。

1920〜30年代は、
どこを見ても、
戦争や貧困、不況などが
暮らしを浸していた時代です。

生き辛さを前面に押し出す
私小説家たちはみんな、
若くして病気などで
短い生涯を閉じていますね。

まるで、西村賢太さんは、
死に方まで、こうした戦前の
破滅的な私小説家をどこかで
手本にしていたかのようで…涙。

今後、日本に
私小説家がまた出てくるのかしら?
ユーチューバーやお笑い芸人で
一度は成功しながら、
すさんだ中年を生きる人びとが
そうした破滅的な作家に
なっていくのかもしれません。

生き辛さは、これから
ますます増えていきさえすれ、
無くなることはないのですから。

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