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【文学】大江健三郎が死んだ。

大江健三郎が死んだ。
老衰で死んだ。

戦後日本文学に現れた
エリートボーイが死んだ。

いつになっても、文学青年然
としていた大江が死んだ。

あまりに若いのに、
デビュー以来、クオリティの高い作品を
刊行したせいで、
多くの文学青年が自信を失った、
天才・大江が死んだ。

中上健次など下の世代に
文学的、文体的影響を与えた
大江が死んだ。 
大江的な文体から逃れることに
中上健次らは十数年もかかった。

よくライバル視された開高健は
リアルであろうとし、 
大江さんは壮大であろうとした。

政治的なメッセージを 
オナニーで表現した、
過激派の大江が死んだ。
 
その息子・光さんが生まれ、
新しい文学的使命に取り組んだ
大江が死んだ。

大江健三郎の言葉で
頭がいっぱいだった20代。
「個人的な体験」や
「万延元年のフットボール」で
ジンジンと火照った頭を、
真夜中の冷たい街で冷ました。
歩けば歩くほど、大江さんの
言葉は頭いっぱいになっていた。

大江の「ヒロシマ・ノート」に
すっかり影響を受けて、
私もヒロシマの原爆資料館や
記念施設を練り歩いた、
「ヒロシマ・ノート」を
また読み返したくなった。

何作品も読んだはずなのに、
やはりデビュー時代の
「飼育」や「死者の奢り」の
瑞々しさは、最大の収穫だった。

伊坂幸太郎が絶賛する
「同時代ゲーム」は
これまた難解でしたが、
伊坂さんが誉めるんだから、
頑張って読んだけど、
まだ読了はしたことはまだない(汗)。

「憲法九条を守る会」の顔だった
大江が死んだ。これから
憲法はどうなるんだろうか?

もし、若い人から、
大江作品でいちばん読みやすい本を
一冊、紹介してほしいと
言われたら何をオススメしようか?

今から65年前に芥川賞をとった
「飼育」でしょうか。
それとも、
「万延元年のフットボール」か。

大江健三郎が現れなかったら、
戦後文学はそうとうに
ちがう景色になったでしょう。
大江のいる文学は華がありました。

決して、ノーベル文学賞は
大江文学にはあまり意味を
もたらさなかった。
 
大江文学は、後期に
老人たちをテーマとした。
老人もの3部作は
これからもっと読まれるでしょう。
「取り替え子」
「憂い顔の童子」
「さようなら、私の本よ」。
 
大江健三郎は、晩年ほど
予想以上に、反逆者でした。
予想以上に、アナーキストでした。
大江は、文学青年のまま死んだんだね。

 

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