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【マンガ化】売れてる書籍をマンガ化しても、必ずしもヒットしない訳は?

漫画の編集部にいた頃。
よく管理職の上司や営業やら、
現場の編集ではない人がよく
提案してくるのが、
「マンガでわかる○○○」企画。
あるいは、ベストセラー青春小説の
マンガ化。コミカライズ。
この売れてる書籍をマンガにしたら
どうだ?という企画。

正直、95%は失敗します(笑)。
売れているミステリーや青春小説を
マンガにしたら必ず売れるか
というと、それは違いますよね。

ミステリー小説や恋愛小説の持つ
間合いや緊張感と、
マンガが持つ間合いや緊張感、
更にドラマトゥルギーは、
全然文法が違う言語を翻訳する
ようなものだから。

大ヒットした少女漫画を
実写映画化して、
当たる場合もあれば、
当たらない場合もあるのと
同じですね。
活字、マンガ、映画、
それぞれが持つ「文法」が
あります。

書籍をマンガ化する場合、
相当に原作を読み込み、
しかも一旦、頭から
スポッと原作を忘れ去り、
自分にとって印象深かった
人物や世界を組み立てなおす
くらいの覚悟が要ります。

もう何回も、マンガ化企画で
失敗?も成功?もしました。
だから、安易に上司や営業の
口車に乗って、
マンガ化する仕事はいやですね。

でも、本屋さんには
そうしたヒット書籍の
マンガ化が後を絶たない(笑)。

女性向けの自己啓発本、
本当の自分らしさに気づく系。
そのマンガ化は売れないようです。
女性が本来の自分自身に戻る?
自分の生き方に目覚めるというのは、
作り事めいたマンガ化では
切迫感がでないのですね。
作り事っぽくなるから。
原作にあったデリケートな
繊細さが表現できないから。

ところが、ビジネス系の
特に20代30代40代の
男性向けのビジネス書や
自己啓発のマンガ化本は
わりとよく売れています。

男性向けの自己啓発は
わりと直球な内容で
どちらかというと、
言葉通りにしたら
どんどん成長できました、
という話は、どんどん
上達するスポーツ漫画、
スポ根マンガと
構造が同じなんですね。
逆境、成長、そして勝利。
少年ジャンプのようだ、笑。
これらは漫画でやるほうが
一層伝わりますね。

まあ、現場で
オリジナルの漫画を作りたい
と考えて働いてる
マンガ編集者としては、
ゼロから作りたいから。

まあ、ヒットしてる
書籍の原作に頼っても、
オリジナルでマンガを
作っていっても、
ヒットするかどうかは
同じくらい難しいんですが、
ヒット原作を頼って
しかも当たらなかった場合、
屈辱的に苦しいので、
できれば、頼らないで
やっていくのが理想でしたね。

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