文野潤也(旧筆名:ぶんのすけ)

酒が入るとよくしゃべり、筆も軽やかに様々な物語を出力しますが、飲みすぎると寝てしまいま…

文野潤也(旧筆名:ぶんのすけ)

酒が入るとよくしゃべり、筆も軽やかに様々な物語を出力しますが、飲みすぎると寝てしまいます。 2021年2月に勤続30年のサラリーマン生活に別れを告げ、東京から愛媛県松山市に移住。「執筆に専念」という自分との闘いに身を投じました。

最近の記事

美醜について

先日、昼休みにメシを食いに外に出たところ、勤務先の同僚の若者2人が歩いているのを見かけた。 一人は私が常々「キレイな人だなぁ、彼氏もいないということだが、なんともったいない・・・」と思っている女性であり、もう一人は私が常々「うわ!なんという男前だろうか。私を含めて爽やか系イケメン揃いの我が社ではあるが、独身者の中では今はコイツが一番だな」と思い、仕事で話しかけられたりする度、なんでかドキドキしたりしていた男である。 そんな2人が楽しそうに談笑しながら連れ立って歩くのを見て

    • ブッダ暗殺未遂事件簿

      「金剛経」は、ブッダことお釈迦様が主人公となって一席ぶちまくるストーリー展開で、一般の人がお経に対して抱いている構成と、近いといえば近い。(「ご高説承りモード」であるという意味で) ところが「維摩経」となると、これは出家もしていないオッサンが主人公である。 しかも、そのオッサンは老人で金持ちで企業経営者で、家族もちで物知りで弁舌巧みであり、神をもしのぐ超能力を駆使しつつも、「病気」なのだという。 さらに「無門関」に至っては、「仏を殺せ!」と連呼してやまない乱暴者た

      • 御茶ノ水駅プチ紀行@2013年盛夏

        久し振りに御茶ノ水駅で降りる用事があったので、周辺を散策。 聖橋から眺めるこの季節のこの景色は、私の最も好むところである。 左は昌平坂、右はJR御茶ノ水駅ホームで、地下鉄丸の内線が横切る。 かなり年季のいった御茶ノ水駅駅舎。 振り返って水道橋方面を望む。 橋の下では何やらまた工事が始まっているようだ。 昌平坂越しに湯島聖堂を望む。 森深くて聖堂は見えないが・・・ 聖橋南詰東側にひっそりと立つ「太田姫神社」の跡。 社は既に総武線拡張に伴って駿河台下に移転しているわけ

        • 光通話の真実

          仏十大弟子の最長老の名でもあった「カッサパ(迦葉)」は、「光を飲み込んだ」という意味なのだという。 ながらく、「そんなもの飲み込んでどないすんねん!」と鼻で笑っていたのだが、世界を滅ぼす劫火が発生した際の避難場所に指定されている第二禅天に位置する「光音天」では、皆「音声ではなく光で会話する」という話を思い出し、さらに「仏の口は金色」、いやむしろ「全身金色」であるなどという話も思い出し、これまた漸く悟った。 ここで言うところの「光通話」や「金口」とは、決してホタルみたいに光

          回向文

          爽やかに晴れ渡る秋の日、妻方の祖父の50回忌に参加してきた。 どこかの寺でやるのかと思いきや、会場はホテルであり、既にお斎のセッティング済みの宴会場の前方に小さな祭壇を設けてあるのがなかなか現代風で斬新だなぁ、などと思っているとお坊さんが入場してきた。 「お坊さん」と書いたが、一般的な坊主のイメージとはかなり違い、グレーのスーツに身を包んだどこかの会社の重役といった感じの老紳士であり、頭も剃髪しておらず立派なロマンスグレー。 袈裟の襟元を模した帯を両肩に掛け、威儀を正し

          舎利考 ~誇張と真実

          仏教典を読んでいると、しばしばパラノーマル・アクティビティとしか表現のしようがないようなムチャな表現に出くわす。 特に高僧の臨終の瞬間の描写は激烈を極めており、「ゴータマ・ブッダが亡くなった瞬間、沙羅双樹の花は一斉に落ち、地面がデコボコと上下した」などというのに始まり、「80m以上垂直に跳びあがった挙句に上空でコナゴナに砕け散った」とか、「身体から自然に焔が吹き出して人体のみを焼き尽くした」とか、「死後一週間以上経過しているにもかかわらず、呼びかけ続けたら起き上がって普通に

          シルクロード

          浄土三部経のひとつ(というか、メイン?)である「無量寿経」の漢訳文の冒頭には、「曹魏天竺三蔵康僧鎧訳」と翻訳者のクレジットが記されている。 これはつまり、「曹操が建国した魏の国で、西方渡来の康僧鎧という坊さんが訳しました」という意味なのであるが、この「康」とは「康居国」の略であり、すなわち楼蘭より遥かに西のシルクロード国家である「サマルカンド」の出身であることを表している。 そして「僧鎧」とは意訳であり、本名は「サンガバルマン」なのである。 地図で調べてみたのだが、サマ