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「成功循環モデル」から考える心理的安全な場の作り方

「会社に、行きたくない・・・」

何か原因の分からない閉塞感。重たい空気。活気が感じられない。

そういったことを感じたことはないでしょうか?

今回、生産性も高く、居心地のよい場を作るためプロセスや要素を通じて、具体的にどんなことを意識すべきかということを紹介しています。

組織やコミュニティで悩みを感じている方や、よりよいチームを作っていきたいと思う方に読んでいただだけると嬉しいです。


結果を求めるのではなく関係性から始める。

ダニエル・キムの「成功循環モデル」とは?

コミュニティや組織のデザインを始める時に大切なのが、順序と目的です。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)組織学習センター創始者のダニエル・キム氏が提唱した「成功循環モデル」は、上手くいく組織と失敗する組織のメカニズムを循環する形でシンプルに表しています。

はじめに「結果の質」を高めようとすると、人間関係を悪化させていくとされています。それが、「思考の質」を低下させ、必然的に「行動の質」が落ち、当然結果も出ないという悪循環に陥ってしまいます。

そこを「関係の質」を上げることを目的にスタートさせると、同じサイクルの順序で最終的に結果も関係も向上するという好循環が生まれます。

マイナスのサイクル
①メンバーに結果ばかり求める
②関係性が悪くなる
③思考が委縮し、視野が狭くなる
④前向きな行動が生まれにくくなる
⑤良い結果が出にくくなる


プラスのサイクル
①メンバー間で良好な関係を築く
②メンバーの思考が前向きになる
③新しい行動をする意欲が生まれる
④良い結果が出やすくなる
⑤メンバー間の関係がさらによくなる

「関係の質」の高め方

生産性の高いチームを作るには?

2012年に行われた、プロジェクト・アリストテレスという、グーグルによる生産性改革プロジェクトによって、「高い成果を生むチーム」が持つ生億因子が発見されました。

そこで、5つのチームの成功因子が発表されたのですが、特に重要視されたのが、「心理的安全性」でした。

「心理的安全性」とは心理学用語で「チームメイトなどまわりの評価に怯えることなく、自分の意見や想いを発信するために必要となる要素」のことです。

評価や人間関係にリスクを感じないチームこそ生産性が高いということです。

心理的安全性を阻害する要因

心理的安全性を阻害するのは、「無知・無能・否定・邪魔に対する不安」であり、他者から評価されることへの意識が原点になっています。

自分の悪いところを出してしまったら出世できない、周りからダメなやつだと思われるなど不安が常にあるため「素のままの自分をさらけ出すべきではない」と考え、行動しています。

しかし、この当たり前の行動が生産性を下げています。

一方で、メンバーへの無知や無能への不安を感じさせないように、過度に人間関係に気を遣ってしまうと、次は「空気を読みあう場」として、否定や邪魔への不安が生まれてきます。

きつすぎず、ぬるま湯でもない。乾いた場でも、湿った場でもない、メンバー多様な意見を出し合い、価値を生み出せる「本音で共創する場」が必要です。

心理的安全な場とは?

心理的に安全な場を作ることは、言うのは簡単ですが、行うのは難しいです。

・本音は言わない方がよい。
・そもそも職場で話す機会が少ない
・扱いの難しい人がいる

では、どのような安全な場を作ればいいのでしょうか?
関係性の構築フェーズと、価値創造のフェーズの2つに分け、紹介します。

・関係性の構築:自然にふるまう
ありのままの自分をさらけ出します。
自分の感覚や感情を尊重し、自分の本音を恐れなく話せる状態にしていきます。

何かをしていて、自分がどんな感情を抱いているのか。
周りの期待に応え、偽っている部分はないか?日々の生活の中で、自分の感情に気づいていきます。

・関係性の構築:他者を尊重する
他者を利益のための道具としてみるのではなく、「異なる価値観を持つ、対等な人間」として向き合う姿勢を持ちます。

「私は〇〇だと思いました。」という Iメッセージで話すことを心がけると効果的です。

関係性の構築:本音で話せる間柄になる
相手の気持ちを想像して、できるだけオープンに自己開示をします。

「私はこれ苦手なんです。」
弱みをさらけ出すことで相手も、自然と自分のことを話してくれるようになります。

・価値の創造:価値創造へ意識を向ける
チーム内の人間関係から、顧客の価値創造へ意識を変えていきます。
組織のパーパスを実現するために、多様な意見を組み合わせ、健全な第三案を生み出すための環境を整えていきます。

価値の創造:建設的な第三案を想像する
感情に任せるのではなく、相手の意思決定のステップを想像しましょう。
人から反論されたときに、相手の発言の背景を意識する習慣をつけておくと、信頼関係の構築や、心理的に安全な場づくりにプラスになります。

具体的には、「推論のはしご」というツールを使い、現実の認識と行動までステップを可視化するのが効果的です。

https://onl.bz/yfFvL9r

・価値の創造:場に安心を生む
「あなたはここにいて安全だ」というシグナルを送り続けましょう。
帰属シグナルがを発信するメンバーが多いほど、安全な場になっていきます。

直接的な言葉ではなく、前のめりな姿勢、笑顔でいる、傾聴をする、質問をするという小さなメッセージを送り続けることで心理的安全性を高めていきます。

まとめ

生産的で居心地のよい組織やコミュニティを作るためには、「関係性の質」を高めていくことが大切になっていきます。

「関係性の質」を高めることは、価値観や立場が違う中で実現することは、非常に難しいと思います。
関係性を失ってしまった状態であれば、なおさらです。

しかし、人は話せば分かりあえることも多いです。手間と時間をかけて、一歩ずつ行動をしていくことが必要です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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