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精神覚醒ノ肥後虎 ACT.17 「大内胤子」

 あらすじ

 阿蘇乙姫にて、麻生北高校の学園ナイターレースが始まった。
 かつてひさ子からカツアゲしようとしたランティス乗りは彼女に対して妨害行為をする。
 ひさ子を守るために覚はレースを二の次に、彼にバトルを挑むことにした。
 妨害を回避し、さらには自慢の必殺技まで回避する。
 挙げ句にランティス乗りはコースアウトして、リタイアしたのだった。

 高速右ヘアピンと低速右ヘアピンの複合したS字を抜けると、高速区間へ入る。
 エクリプスの4WDのトラクションとハイパワーに任せて、前を走る大内書記のギャランGTOを追い抜こうとした。

 ばってん……!

「いつもより遅く感じるばい……パワーが下がっとるとよ」

 何と、今回のレースにおけるエクリプスの馬力は下げらていた。
 今の370馬力ぐらいだ。
 沙羅さん、なぜ下げたのだろうか?

「私を抜こうとは無駄とよ! 悪戯なる精神流<心の電磁波>!」

 前にいるギャランGTOは、雷のような黄色いオーラに包まれる。
 うちの頭に放ち、軽い電撃を浴びせる。

「うわッ! 底抜けに痺れるばい!」

 さらに、書記は再び<心の電磁波>を使用してうちを痺れさせた。
 技って1度使うとしばらく使えないはず……。

「うちの覚醒技は精神攻撃や補助技は2回連続で使えるばい」

 彼女の能力だったのか。
 反則な能力だ。

 2回連続で電磁波を受けたうちのエクリプスは減速してしまい、ギャランGTOの追い抜きに失敗した。
 さらに……。

「痺れとる……」

 うちは精神麻痺状態になってもた。
 しばらく、ドライバーのコンディションと車の性能が低下する状態異常ばい。
 常に人馬一体で走る覚醒技超人にとっては痛か。

 ギャランGTOとの差はみるみる離される。

 複合S字ヘアピンに入ると高速区間は終わる。
 こっから短い直線を挟んで、左中速へ入る。
 直後に突き当たりの右ヘアピン、ここをうちはサイドブレーキドリフトで突破する。
 
 こん後、ギャランGTOは風のような萌葱色のオーラに包まれた。

「こっから加速していくばい! 悪戯なる精神流<涼しか追い風>!」

 ギャランGTOは風に押されたかのように、速くなった。
 風に押されたような速さでうちを引き離していく。

 突き当たりの右ヘアピン直後の左中速ヘアピン、ギャランGTOはまたオーラに包まれる。
 今度は透明なオーラたい。

「悪戯なる精神流<猫の手>」

 技を放った途端、オーラの色は萌葱色になる。

「<真空烈速>!」

 凄まじい速さのドリフトして攻めた!

「こん技……うちの技たい」

 技を奪うのも反則だ!
 この後も左中速が来る。

 ヘアピンで萌葱色のオーラを発生させる。

「こっちはオリジナルの技で攻めたる!
 肥後虎ノ矛流<真空烈速>!」

 こちらも凄まじいドリフトで攻めていく。

「虎虎虎虎虎虎ー!」

 技を使って攻めることで、ギャランGTOとの距離を縮める。

「中々ついてくるたいね
 また使うばい!」

 突き当たりの左低速ヘアピン。
 書記はギャランGTOに透明なオーラを包ませ、それは萌葱色に変化した。

「悪戯なる精神流<猫の手>……<真空烈速>!」
 
 また使ってきたか、うちの技を!
 しかし、オリジナルより迫力がなかと感じるばい。
 うちは閃いた。

「オリジナルより威力が弱か……!」
 
 これが逆転のチャンスに繋がるのだった。

 <涼しか追い風>の効果と<真空烈速>ば使ったこつで、大内書記とうちとの差は再び広がった。
 
 また突き当たりヘアピン、今度は右たい。
 大内書記はグリップ走行、うちはサイドブレーキドリフトで攻める。
 こん時、うちの身体から麻痺が抜けて、元のコンディションへ戻った。

 同時に15位の車、赤のFD2型シビックタイプRば追い抜き、順位が上がる。

「へぇ……へぇ……」

 技を使いすぎて大内書記は焦りだした。
 それに必要な気力はやる気に直結する。

 大内書記の<涼しか追い風>の効果が切れ、ギャランGTOの速さが元に戻った……。

 左高速ヘアピンば抜けると短い全開区間に入る。
 ここでギャランGTOは透明なオーラを纏う!

「絶対行かせんばい! 悪戯なる精神流<威張りの蛇行運転>!」

 左右交互にふらついた走りばしだした。

「く……イラつく走りばい……!」

 走りを眺めると、クラクションを鳴らしたくなる。
 しかし、レースだからそうはいかない。
 相手を苛立たせて精神ダメージを与える技だ

「へぇへぇ……次で技ば使えば、加藤さんを引き離せるばい。加藤さんは<威張りの蛇行運転>でイラついとる所やし……」

 バトルは全開区間が終わって、左中速ヘアピンに入る。
 ギャランGTOは再び透明なオーラに包まれ、鉄のように固い銀色へ変化した。

「悪戯なる精神流<猫の手>……<片鎌槍>!」

 今度は別の技を使った
 槍を振るうようなドリフトで攻めていく。

「うちも使うばい……! 肥後虎ノ矛流<片鎌槍>」

 コピーにオリジナルが負けるわけにいかない!
 うちも槍を振るうようなドリフトをエクリプスにさせる。
 2つの<片鎌槍>が激突していく!

 後ろが前を追い越した……!

「なんなん!?」

 コピーはオリジナルに勝てなかったようだ。

 高速の右ヘアピンが来る。
 ギャランGTOを引き離す。

「うちの負けやね……ばってん、会長と副会長は速かよ……頑張って……」

 先ば走っていくうちに大内書記はエールを送った
 後ろに赤いSVXと緑のファミリアが来る。
 うちとの戦いで気力ば消費したため技を使う余裕はなく、2台に抜かれてしまった。

 うちは徐々に順位ば上げ、12位となった。
 しかし、思いもよらない壁が来る……。

 前に3台のダイハツ・コペン(2代目)が走っとった。
 狭い道を3台で塞ぐかの如く、左から赤のコペンエクスプレイ、青のコペンセロ、黒のコペンローブが並んどる。

「軽自動車相手なら楽勝ばい!」

 うちは甘かった。

「抜かさない!
 フォーメーション1!」

 3台は同じタイミングでブレーキランプが点灯する。
 立派な連携プレイで道を塞ぎ、うちもブレーキを踏んでしまう。
 追い抜きを許さなかった。

 軽自動車のような車体の小さな車はブロックに向かず、抜かれやすい。
 しかし、3台のフォーメーションで補っている。
 しかもここは道が狭く、軽自動車のブロックとは相性が良か。

 小さなクルマの癖に中々だ!

 3台が壁になっていて、前に出られない。
 どうしたら抜ける……? 

 助けて、飯田ちゃんとひさちゃん。

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