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精神覚醒ノ肥後虎 ACT.18「コペン軍団」


 あらすじ

 順位を17位に上げた虎美は生徒会書記・大内胤子のギャランGTOと遭遇する。
 胤子の能力は強力なものであり、虎美は苦戦を強いられる。
 しかし胤子の技の特徴を見つけ、それを利用して彼女を追い抜く。
 虎美は順位を12位まで上げていく。


 順位を順調を上げ、私が13位で、森本さんが14位だ。
 トランシーバーを使い、虎美の事で話す。

「虎美、どうしているのかしら?」

「わしらより先に走っとるばってん……」

 このトランシーバーは10m以上離れていると使えないようになっている。
 離れた位置にいる虎美の様子を聞くことはできない。


 一方、うちは3台のコペンのブロックに苦戦していた。

「1台でも抜かんと……」

「相手が抜きにかかっている! 抜かさないで! <フォーメーション・ダブル>でブロック!」

「リトル・フォーメーション流<フォーメーション・ダブル>」

 ローブとエクスプレイが連携してブロックしてきた。
 
「くそゥ……」
 
 ナイスな連携さ……。
 
 仕方ない、うちは1台だけ抜く作戦は諦めた。

「技を使うか」

 バトルは八仙山荘近くのU字右ヘアピンに入る。
 うちは風のような萌葱色のオーラば纏い、技を使う体制に入る。

「肥後虎ノ矛流<真空烈速>! 虎虎虎虎虎虎ァー!」

 勢いのあるドリフトで攻める!
 今度こそだと思ったけど。
 コペン3台はスリーワイドに並んだ。

「今度は大きく見せるよ!
 リトル・フォーメーション流<フォーメーション・ビッグ>!」

「リトル・フォーメーション流<フォーメーション・ビッグ>!」

 3台のコペンは茶色いなオーラを纏い、姿を巨大化させる。
 コペンの姿は3台が道路ピッタリ入るほどの大きさになった。
 
「大きくなった……?」

 巨大化したコペンの前に出られず、<真空烈速>を使った追い抜きは失敗する。
 どうすれば前に出られるのか!?

「小さか癖に中々のブロックばい……」

 前に出られないから、頭を抱えながら別の抜き方を考えることにした。

 突き当たりの左ヘアピン。下り坂に入り、FFで軽量なコペンの加速が速くなる。

 突き当たりの右低速ヘアピンと左低速ヘアピンを複合したS字ヘアピンに入る。
 
 道幅は広くなっとる。
 左側は草むらとなっていた。

「ここの地形ば利用すれば」

 草むらをインカットして、エクスプレイば追い抜く。

「抜かれても怯まないで……今度は<フォーメーション・スリー>で! リトル・フォーメーション流<フォーメーション・スリー>!」

「リトル・フォーメーション流<フォーメーション・スリー>!」

 3台のコペンは茶色いオーラに包まれる。
 前にセロ、右にローブ、後ろにエクスプレイがエクリプスを囲む。

「どうだ……? 出られないよ……!」

「くっ……脱出方法はなか……?」

 一方、ケンメリに乗る生徒会長の菊池はどんどん順位をあげていき、最後の1台を追い抜く。
 菊池はトップに立った。
 後ろには副会長の山中のSA22Cが走る。

「1位になったばい。
 自動車部はどこにおるんか?」

「ルリ子たち、先にゴールすっばい」

 ワンツーでトップとなった菊池と山中はそのまま2周目に入るのだった。

 
 うちは囲んできたコペン軍団に苦戦しとった。
 レースは全開区間ば終えて、S字ヘアピンに入る。

「一か八かたい」

 後ろのエクスプレイに対して、黒い左脚でブレーキを踏み込む。
 
「うわァ」

 エクリプスの突然のブレーキに、エクスプレイのドライバーは驚いた顔をした。
 
 後ろから聞き覚えのあるエンジン音がする。

「もう1台ぐらい来ている!」

「エクリプスの音じゃあない」

「飯田ちゃんのSVXとひさちゃんのファミリアの音たい!」

「苦戦しているわね、虎美」

「わしらがやってきたばい」

 これで3vs3、互角になった。

「これが最後の切り札<ラスト・フォーメーション>で行く! 絶対に崩さないで! リトル・フォーメーション流<ラスト・フォーメーション>!」

「リトル・フォーメーション流<ラスト・フォーメーション>!」

 前にセロ、左にローブ、右にエクスプレイがエクリプスば囲む。
 しかし3vs3になったけん、無意味ばい。
 
 さらにうちは技ば使っていく。
 エクリプスは水色のオーラを纏う。

「肥後虎ノ矛流<クリスタル・ブレイク>」

 エクリプスは左側にいるローブば柵に押さえつける。
 押さえつけられた影響でタイヤは凍り出す。
 クルマの軍団から外れた挙げ句、スピンしてしまう。

 仲間を1台失ったコペン軍団は連携が取れなくなる。

「抜かせるか!」

「チャンスたい!」

 リーダーのセロはブロックしようとしたばってん、小さかな車体ではブロックできず、うちら自動車部3台の追い抜きば許してもた。

「参ったよ……降参だよ。私たち3人じゃなければ何も出来ないからね」

 リーダーであるセロ乗りは追い抜いたうちらを称える。
 これでうちは9位、飯田ちゃんが10位、ひさちゃんが11位と順位を上げた。

 後も順位を上げていき、うちが3位、飯田ちゃんが4位、ひさちゃんが5位となった。
 あと2人ばい。

 順位ば上げたうちらは2周目に入るんやった。
 前にあるクルマの光が見える。
 山中副会長のSA22Cだ。

「ルリ子、待っとったばい。前に出さなんばい2位を渡さんばい」

「抜かせて貰いますよ、副会長」

 今度の相手は彼女だ。
 強敵になることを覚悟している。

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