精神覚醒走女のオオサキ ACT.19「サクラの妹」

 この作品はフィクションであろ、登場する出来事や人物は架空のもので実在しません。
 
 公道での自動車レースを題材にしておりますが、実際には犯罪行為なので真似をしないようにしてください。なお、この作品はそれを助長しません。
(道交法で禁止されており、もし破ってしまった場合は罰金及び懲役、その両方が課せられる場合もあります)

 あと、この作品の影響で車に興味を持って頂くことは構いませんが、実際に運転する際は事件事故を起こさないように交通ルールを守り、安全運転を頂くようお願い致します。

 フィクションと架空の区別が付く人のみ観覧をしてください。区別が付かない人は観覧しなくてもいいです。
 
 もし事故を起こした時や迷惑運転は自己責任です。作者は保証しません。

 特殊能力要素や同性愛要素などが含まれるので苦手な方は注意するように。 

 ――4月15日の水曜日深夜、赤城山ダウンヒルスタート地点の駐車場。

 青いジャケットに茶髪で長身の女性・雨原芽来夜。
 緑髪ポニーテールの少女・葛西ヒマワリ。
 オレンジ髪のツインテール少女・葛西モミジの3人がいる。

 3人のいる駐車場にある3台のクルマがやってきた。

 黒のZN6型86。
 V36型スカイラインクーペ
 G’s仕様のマークX。

 これらのクルマには共通しているものは「EarthWindFire」のステッカーが貼られていることだ。

 窓越しのドライバーを見て、雨原たちの心に戦慄が走り、3人のドライバーが降りる。
 
 3人組のリーダー・谷村は軽いノリで、仁王立ちする雨原に話しかけた。

「よ、久しぶりだな! 赤城最速でDUSTWAY最速の雨原さんよ!」

「お前たちになにしに来たんだ?」

「理由は簡単ッス!」

 堀内も割り込んで言う。

 続いて矢沢。

「バトルを挑みに来たのよ!」

 3人の挑戦状だ。

「バトルかあ! 売ってやるぜ! 勝手に抜けたお前たちに負けないからな! オレのSW20の立ち上がりでやっつけてやる!」

 好戦的にヒマワリは言う。
 さらにモミジも応戦し、
 
「勝手に脱退したことは後で後悔させてやるよ。ボクとヒマワリ、サクラ姉ちゃんと雨原さんらと共に」

 それらに雨原も続き、

「売られたバトル買うぜ。時間は今度の土曜日、18日の11時の日程でお願いするよ」

 挑戦状を受け取ったのだった。
 指定するEarthWindFireは納得し、日程と段取りを覚え、バトルを行うことを認めた。
 
「土曜日11時、覚えておくよ。約束の日にはここに必ず来るよ!」

「いいぜ。その時はあたしたちが潰そうとしたことを後悔させてやるからな!」

 谷村は挑発的な言葉にカウンター口撃を仕掛ける。

「後悔させるって? 無駄だよ、あたしたちは車もパワーアップして、腕も良くなったからな! おまえたちをやっつけてやるよ! 後悔するのはこっちのほうだぜ!」

 威勢良く反撃するも、雨原はその口撃には簡単に倒れない。

「いや後悔するのはお前こそだ! あたしはしばらくの間バトルでは本気出していないけど負けていないし、モミジとヒマワリはサクラの仇を取るために必死なんだ。返り討ちにしてやるからな!」

「返り討ちにするなら、やれるもんならやってみな! じゃあな!」

 これの以上の議論は無意味と悟った谷村はZN6に乗って帰っていく。
 堀内、矢沢もこれに続いた。

「あのチンピラ女、3人とも倒しておきたいぜ。なァー雨原姉ちゃんとモミジ!」

 それに対して、モミジが冷静に返答した。

「よくないね、そういのうの。パワーアップしたとか、腕が上手くなったと言っても、ボクたちには勝てないよ。あいつらにはオーラを感じない。走り屋としての、覚醒技超人の奴も。ボクら覚醒技超人をナメている」

 双子の姉妹にある脳と口には3人に対する不満しか残っていない。
 ただし埋まっている闘志は灼熱の溶岩のように熱い。

「ウェヒヒ、あたしたちに勝てると思ってるのか、谷村! DUSTWAYは潰させないぜ!」

 雨原もその気持ちだった。
 真正面からEarthWindFireからの進撃を防ぐつもりで迎えってやると、策を立てる。

 バトルが決まった瞬間からその日まで時は進んでいく。

 ――そして日が過ぎて交流戦当日である4月18日の朝になった。
 朝の6時の葛西Speedにある家。

 黒髪の女性で店のオーナー、ウメが仏壇にお参りしていた。
 
 仏壇には、17年前に胃がんにより28歳の若さで亡くなった自動車カメラマンの葛西希(かさい・のぞみ)こと彼女の夫で3姉妹の父親が祀られている。

「希……あんたが死んで18年になるわね。あんたが亡くなったとき、私はヒマワリとモミジを身籠っていたのよ。私の産んだ子供たちは3人とも大きくなり、今は車を運転して腕のいい走り屋になったわ――希、天国から遠くで子供たちを見守っているかな……」

 夫が眠る仏壇とお話したのだった。

 彼の死で彼女は車を運転できなくなるほどショックを受けた。
 だが、心の中で希の言葉を聞くと立ち直り、乗れるようになった。

 7時なると娘たちも降りてきて朝ごはんを食べ始める。
 今日行われる予定のバトルについて家族全員で話し始める。

「かーちゃん、今日バトル当日だよな」

「今日は当日だ。今夜11時には赤城頂上へ集合って雨原さんが言っていたな。お母さん、あいつらのことどう思う……? オーラを見えないから覚醒技超人ではないし、楽勝だと考えているけど」

「モミジの言う通り、覚醒技超人ではないあいつらは弱い奴らよ。しかし、弱いからって油断はやめといたほうがいいわ。負けたらチームを潰してしまうかもしれないのよ。さらには大崎翔子も見に来るかもしれないから挑んできて!」

 こう答えると同時に、激励のメッセージを送る。
 
「あいつら……ホントにDUSTWAYを潰せると思っているのか……?」

「そうだぜ、サクラ姉ちゃん。相手はナメすぎだぜ」

「EarthWindFire、あいつらこそ100人目の敗者になるようだね」

 覚醒技超人ではないために、実力に疑問を感じた3人組に対して、モミジはそう予測した。
 午前9時、Isezaki市にある東武伊勢崎駅。
 
 おれはここでワンエイティと共に待っていた。

 実はおれ、今日クマさんたちからある誘いがあったからだ。

 2台のクルマが来る。
 オレンジのC33型ローレルと黄色いHCR32型スカイラインだ

「来た!」

 東武伊勢崎駅へやってきた2台はおれの元へ来ると停車して、クルマに乗車している人たちが降りた。

 C33からクマさん、HCR32からタカさんと川さんが降りる。

「来ましたよ! サキさん、早く来たんですか!」

「ホント速く来ちゃったよ、クマさん。あと、どうして川さんだけ車持ってきていないの?」

 そう考えるとたしかに。

「川畑さんは方向音痴だから。和食さいとうに来ることあるけど、地図あっても迷子になるんだよ。さらには家の中や店の中といった建物の中でも迷うほどだから、方向音痴な彼女のためにくにちゃんは乗せてきたんだ」

 方向音痴っぷりはバトルにも現れ、コースの図を覚えることが苦手としている。
 これが原因でおれに破れた。

「もう、くに! そんなこと言わんでええ! 料理するわ!」

 欠点を言われた川畑は呆れる。
 やれやれ。

 準備を整え……。

「じゃあ出発しようか」

 その瞬間、空から落ちた糞がC33につく!

「あ!」

 それにクマさんが怒り出す!

「な、なにをするだー! ゆるさん! このでれすげ(福島弁で「バカ野郎」)!」

「どうしたの?」

「C33に鳥の糞が付いたんだァ~、おらの立派なクルマに糞を付げたべ、ちくしょうめ!」

 愛車を傷付けたことを許せないのは分かるよ。

「これぐらいだと大丈夫だよ。改めて出発しよう。帰って洗車すれば治るから」

 そう言って落ち着かせる。

 改めて――それぞれの車に乗り込み出発した。
 車を持ってきていない川さんにはおれのワンエイティの助手席に座らせた。

 東武伊勢崎駅を出て出発。
 3台はIsezaki市内を走る。

 おれのワンエイティを先頭に、クマさんのC33、タカさんのHCR32が走る
 まず、目的地はボーリング場だ。

「川さん道案内をしないほうがいいよ。迷うから」

「料理するわ!(通訳:川畑の言葉で畜生!)」

 どうやら、おれに方向音痴をネタにされてしまったらしい。

 そんなこともありながら、ボーリング場に着いた。
 ワンエイティからおれと川さん、C33からクマさん、HCR32からタカさんが降りる。

「じゃあボーリング場の中へ入ろう!」

 エントリーしてそれぞれのボールを持つ。
 順番はおれが最初で、それからクマさん、川さん、タカさんの順になった。

 ゲームが始まるとおれはいきなり高得点を出し、一方プラズマ3人娘はガーターだったり1本しか倒せなかったりと得点はあまり取れていないようだ。

 おれリードのまま、9本目に突入する。
 投げたボールは右側に鋭く転がっていく!

「行くよッ! ストライク狙う! イケイケイケイケイケイケイケイケェー!」

 技を使うときと同じ掛け声をしながら投げる!

 しかし! 

「が、ガーター!?」

 ボールは右の溝に入った!
 ガーターだったのでストライクを狙えなかった。

 次は2本目に突入し、ボールをまた投げる。
 7本倒れた。

「あっ、惜しかった!」

 スペアにならなかった。

「次はわだすの番だべ!」

 クマさんのほうはストライクを出した。

「やったべ!」

 それには飛ぶように喜んだ!

 続いて川さん、タカさんも投げる。
 どちらもスペア、ストライクにならなかったが、なかなかの得点を出した。
 タカさんの番が終わると結果発表を見る。

 おれが1位だった。

「優勝はサキちゃんだね!」

「サギさん、おめでとう!」

「いえいえ、ありがとう」

 負けた3人も凄かったよ……。

 勝負を終えたあとはボーリング場を出て、4人はそれぞれのクルマに乗る。
 川さんはさっき同様、おれのワンエイティの助手席へ乗せた。
 出発開始だ。

「次、どこ行く?」

「う~ん、もうすぐお昼だからIsezakiを出て赤城にある和食さいとうに行こうかな?」

 そう言えば、ボーリングしたらお腹空いてきたね。

 12時、和食さいとうに着く。

「同時にワンエイティになぜかRB26DETTを積んでいるのか、くにちゃん聞きたいな」

「わだすも聞きたいです!
 同時に智さんとの出会いも!」

 いきなりそんなことを聞かれた。

「分かった。
 ワンエイティにRB26搭載、智姉さんとの出会いは同じ話なんだ」

 話すと長くなるけどね……。

「なるほど、智さんは忙しいご両親の代わりに世話をしたんですか」

「そうだよ」

 次にRB26を搭載した理由について語る

「ワンエイティはお札1つぐらいで買えるほど安かったけど、エンジンが入っていなかった。そんな可哀想な車に智姉さんが持ってきたRB26を載せたんだ」

 他にもワンエイティの派手なカラーリングは前のオーナーがかつて所属していたチームのカラーリングだったらしい。

「へぇ、サギさんの買ったワンエイティってエンジンがねぇからとっても安かったんだべ!?」

「具体的には5000円かな?」

「くにちゃんがHCR32を買った時より安い!」

「うちがA31を買った時は74万円やったけ」

 あまりにも安さに驚かせてしまった。
 けど、エンジンの価格はとても高かったと思うよ。 
 

 ――同じころ、Maebashiのあるレストランにて。
 DUSTWAYの雨原と葛西3姉妹がいる。
 今夜のバトルの打ち合わせをしているようだ。

「今夜はヒマワリとモミジで行くぜ。あの2人でも十分倒せるほど弱い奴だ。しかも2人の覚醒技はとても強力だよ」

「たしかに強力だ……モミジの方は相手の技を見抜くことができる……ヒマワリの方は能力ダウン無効で熱ダレでも走ることができるようだな……」

 もしオオサキがこの2人と戦ったら苦しくなるかもしれない――。

「モミジを2回走らせた後はヒマワリと交代させる、いいな?」

 モミジのある欠点を知っているからだ……。
 これは今夜のバトルではなく、最近有名なあの走り屋とのバトルで現れるだろう……。

 おれたちは和食さいとうを出て赤城山ダウンヒルスタート地点の駐車場に集まった。

 ここでクマさんはこんなことを尋ねる。

「サキさん、良がっだらわだすの車を運転してみねーか?」

「クマさんのC33? 運転してみたいな――ワンエイティとの違いが見てみたいし」

 別のクルマを知れば、運転に役立つかもしれないね。 

「本当ですか! ワンエイティより古い車ですがいいですか?」

「ワンエイティも十分古い車だよ、と言っても同じ時期に作られた車だし――」

 共に1989年に登場しているけどね。

「熊久保さんのC33の運転するところ見てみたいな」

「サキはんのC33の運転楽しみやね」

 あとの2人も身体が跳ねるほどワクワクしている。
 おれはC33の運転席、クマさんは助手席に座る。

「くにちゃんたちはR32で追いかけるね!」

「うちはHCR32の助手席に座るで」

「よし、出発だよ。ワンエイティは留守してよね」

「行っぐっべー!」

 おれはクマさんのC33のアクセルを踏んでスタートした。

 右コーナー。
 おれはハンドルをあまり曲げすぎず、丁寧に曲げることで素早くC33をコーナリングをさせていく。
 ブレーキングで荷重を調整し、内側のガードレールにぶつかりそうな勢いで攻めていく。

「速え! やっぱおらのほうがきかない運転だっただァ~!」

 おれの丁寧なハンドルさばきを見て、クマさんはそう感じる。

 コーナリングでC33は後ろの小鳥遊HCR32との距離を離していく。

 最初の難所、ゆるい右コーナーの後のU字へ入る。
 高い加速を維持しながら減速し、次の左ではドリフトで突っ込む!
 
「イケイケイケイケイケイケイケェー!」

 技を使うように叫んで攻める!

 おれが運転するC33の突っ込みはクマさんの突っ込みより勢いがあった。
 車のハンドルを曲げることってコーナーのキッカケ作りにしかすぎず、最小限にハンドルを曲げることで車を速くコーナリングできるのだ。

「サキさんの運転、速いっぺ……学生ドリフト甲子園前年度優勝者であるわだすの運転より速いだァ~!」

「ついて行けないよッ! こっちはくにちゃんの能力で70kg・m以上のトルクがあるのに!」

「くに、C33でも速いってゆうことは……サキはんは別の車を運転しても速いってゆうことやで!」

 おれの運転するC33はタカさんのHCR32をもう1回距離を離す。

 あまりにも速さにプラズマ3人娘を驚かせてしまった。
 その後もおれの運転するC33は赤城を下っていくのだった――。

 赤城ダウンヒルゴール地点の駐車場。

 到着した2台のクルマが停止し、それぞれから乗っていた人たちが下りる。

「いやあ、上手がったべ。おらより上手えだ~!」

「サキはんは13歳から車を運転しとるからなあ、そりゃ速いで」

「くにちゃんの運転では追いつけなかったよ」

「他のクルマを運転しても速いと分かったで」

「いやいや、智姉さんのクルマはおれの腕は運転できないよ」

 前におれは「智姉さんのR35を運転したことがある」と言っていたけど……。

 次にクマさんは今夜起きるイベントのことについて話す。

「今夜DUSTWAY対EarthWindFireの交流戦あるが、見に行くべ?」

 とても気になるイベントだねえ。

「出来れば見たいね。智姉さんと一緒に見に行きたいよ」

 気になるあまり、速攻に決めた!

「今回のバトルはEarthWindFireの奴が弱すぎてつまらねーかもしれねーが、このバトルでのDUSTWAYは雨原芽来夜と葛西サクラでもない走り屋を投入すっべ!」

 情報をクマさんは持ってきたようだ。

 今夜のバトルではある走り屋が、おれに人一倍興味を持っていることをまだ知らない……。

 そしてバトルの時間、夜11時前になる。

「智姉さん、行きましょう」

 今夜行われるバトルへの観戦に行くために、和食さいとうを出る。

 おれはワンエイティ、智姉さんはR35に乗り込み、出発する。

 赤城山ダウンヒルスタート地点の駐車場。近くのギャラリーポイントに到着する。

 バトルへの時間は近くなっていく。

 スタート地点には雨原とFD、サクラとJZA80、そして妹たちのクルマであるSW20とアルテッツァがあった。

「来たぞ! EarthWindFireだ!」

 その3台がスタート地点に到着すると、クルマからドライバーが降りる。
 3人は降りてすぐに雨原を挑発した。

「雨原! 負けたら走り屋引退しな! 赤城最速はあたしがやらせてもらうぜ」

「そうッス!
 赤城最速はこの谷村ッス!」

「負けたものは出ていくといいわ!」

 これらの挑発に雨原は……。

「勝てるもんなら勝ってみな! 裏切り者!」

 と返し、売られた喧嘩を買った。

「ちっ! 強気になりやがって……もしバトルが始まったら、あたしのニューZN6の力を見せてやるよ!」

 雨原の言葉を聞いた谷村は口の中で苦虫を噛み潰したような表情を見せる。

「速く挑発をやめて裏切ったことを反省しろよ! ルール説明を聞いて落ち着け、ルールは3対3、先に全員倒した方の勝ちだ。交代は可能だが、今回負けた走り屋とは交代できないぜ。最初はモミジで行かせる」

「あたしのほうは堀内で行くぜ」

「葛西サクラの妹なんか負けないッス!」

 トップバッターの2人はスタートラインへ並ぶ。
 モミジのアルテッツァが左側、堀内のV36が右側だ。

 スタートラインでモミジはギャラリーラインを睨むように見つめていた。

「大崎……翔子――」

 おれの名前を突然呟いた……⁉
 どう考えているのかな……⁉
 まさか……?

 そんなことはほっといて、バトルが始まる!

「それじゃあカウント始めるぞッ!」

 スターターは雨原がやるようだ。
 2台はマフラーの咆哮を奏でる!

 赤城山からのお知らせです。
 まもなく競技車両がスタートいたします。
 危ないですからガードレールの内側までお下がりください。
 
 葛西モミジ(SXE10)
 VS
 堀内(CPV36)

「5、4、3、2、1! GO!」
 
 雨原の指が全て折れると、2台は走り出す!

 DUSTWAYの走り屋はチームのプライドと覚醒技の力を見せつけ、熱いバトルはこのチームの全勝に終わったのだった――。

 交流戦が終わり、おれと智姉さんは帰ってくる。
 家へ戻ると、すぐ売れ残った食材を使って明日の朝ご飯の準備をして、赤城ココアを飲みながら今日のことを話した。

「バトルはすべてDUSTWAYの勝利に終わったな」

「堀内のV36はアルテッツァのブレーキフェイントですぐ失速。マークXは突然の熱ダレ。ZN6はサクラの妹であるヒマワリのSW20の加速で離されて敗北しました。ちなみにEarthWindFireは過去におれを怒らせた走り屋だったようです」

 敗北したEarthWindFireの3人は土下座して「もう赤城へこない」と退散していった。

「そうだったのか。あいつらお前を怒らせた走り屋か」

「車の見た目は違いますけど、ドライバーを見たらどうやら、16歳であることをなめておれを怒らせた走り屋でした」

 その話はACT.3を参照にしてほしい。

(アルテッツァのドライバー、おれを見たな……)

 堀内と矢沢を倒した走り屋――葛西モミジ。
 この走り屋とはおれと今度戦うかもしれない……。

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