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大人のためのエンタメ vol.1 : 学校では教えてくれないたった1つの事

もうあの時のように楽しめないテレビやアニメ、ゲーム。
仕方ない、僕たちはもう大人になってしまい
日頃直面する問題はもっと現実的で
ヒーローも魔法もないことに気づいてしまった

そんな大人たち「だからこそ」楽しめる
大人のためのエンタメ特集(ゲーム多め)です

学校では決して学ばない、一番大事な真実

大人になってから、「いや!こういう事はマジ学校で教えといてよ!」て事はよくある。「フレミングの左手の法則より絶対こっちの方使うし!」みたいな。そういう事はいい年した大人になって、半端にプライドとか高くなってきた辺りで直面して、うろたえて、わかったふりとか一回くらいしつつ、諦めて、こっそり学び直す。もうちょっと素直な子供時代に教えといてよ、て思いながら。
お金の事、人との会話の仕方、仕事の選び方、めんどくさい人に絡まれたらどう対処するか、などなど。

その中でも僕が一番、子供のうちに教えておいて欲しかったのは「世の中には正解がない問題の方が圧倒的に多い」という事。
テストしてマルバツがつく事が、いかに楽かって事。
正解がなんだったのかわからないまま、その結果だけ背負わされて、よくわからないまま前に進むのが、大人になってからの人生なんだって事。

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「こんな時、あなたならどうしますか?」

まるで「白熱教室」のマイケル・サンデルかの如く、難問を問いかけてくるゲームがある。本来気楽に楽しめてストレス解消をしてくれるはずの「ゲーム」とかいうやつが、よりによって、かなり辛く、現実的で、難解な問題を突きつけてくるのだ。

このゲーム「Frostpunk」を遊んだ事のある人はかなり少ないと思う。日本ではかなりマニアックな「パソコンで遊ぶゲーム」通称PCゲームで、全く知られていないポーランドの会社が製作している。

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このゲームは、暗く、重い絵と音楽で始まる。
絶え間ない吹雪。
地の果てまで雪に覆われた世界。しかしここは北極でもシベリアでもない。
1886年のイギリス。ただし、氷点下の。
全世界が「火山の冬」によって雪で覆われてしまっている。
農作物も動物もほぼ死滅し、生き残った人々も絶望の淵に。

ある場所を目指してロンドンから旅立った一団がある。彼らが求めたのは「ジェネレーター」当時の最先端科学で作られた巨大発熱機だ。
何人もの犠牲の末、一団はそこに辿り着く。
熱を確保すれば、生きていく希望はある。

あなたはこの集団のリーダーという立場になった。
氷と雪に閉ざされた狭い世界。食事は限られ、明日どうなるかもわからない不安を抱える集団生活。あなたは、熱源という唯一絶対の資産を正しく使いながら、不満や争いが沈め、生きながらえる為に適切な労働を指示しなくてはいけない。それが、あなたの役目なのだ。

しかし、彼らは「心身ともに疲弊」しており
「明日生きられるかわからない不安」に苛まれており
「燃料や食料が限りある」状況に苛立っており
「あなたが本当に正しいリーダーか」不信を持っている

それがこのゲームであなたがする事です。。。
これ、ゲーム??

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「ポストアポカリプス(Post-apocalypse)」と呼ばれる「もし◯◯によって世界が滅んだら」の設定は、大人向けゲームでは非常に多い。これは現状に不満な心理が持つ「リセット願望」と関係があるが、それはまた別の話。とにかく、ポストアポカリプス物はゲームには最適な舞台なのだ。

問われるリーダーの資質

とにかくこのゲームの苦しさは「正解のない判断を迫られる」事に尽きる。

その最初に迫られる選択肢の一つが「子供達を働かせるかどうか」だ。

10−18歳頃の子供達に、極寒の地にて木や石炭を拾わせたり、建物を立てたりする役目を「一人前の大人として」働かせるかどうか。「何言ってるんだそんなの!」と思う方。あなたの答えが明確なのは、あなたが「それでも生きていける」環境にあるからだ。
何人もの犠牲の上に熱源にたどり着いた80人の集団。その内子供は25人。大きな数だ。しなければいけない事は多い。全員の命を左右する熱源の維持、住居や設備の建築、資源や食料を集める。残念ながら、大人だけでは必死に働いても明らかに足りない。このままでは何十日と経たずに、全員が飢え死にか凍え死ぬ運命にある。
さて、もう一度聞きます。子供達を、働かせますか?

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どうしても子供達を働かせたくない人には選択肢が用意されている。それが「残業の指示」だ。元々8時から18時までの10時間働くルールを、6時から20時までの14時間労働にする事もできる。だが当然人々の不満はたまり、寒い中の長時間労働により次々と大人達は病気にかかっていく。とても長期的に維持できるものではない。

僕も悩んだ末に子供達を働かせる選択をした。そこには「安全な作業に限る」と言う但し書きがあったからだ。これを選択すると、大人に加えて「子供」の数が労働者として追加される。子供は主に木や石炭と行った資源を拾う作業に従事する。工場で働いたり、危険な狩りに行くことはできない。

慣れ、という罠

一旦バランスの良い選択肢を選んだかのように思えたその10日後、状況が変わる。「ある事情(後述)」により、さらに多くの資源が必要になり、その状況下であなたはある集団から「子供をもう一人前と考えて、危険な作業も含む仕事をさせたらどうか?」と言う提案を受ける。残念ながらその提案には一理があり、確実に食料や建設が間に合わない状況は明らかだ。ここでもあなたは「どちらも選べる」。選べるが、資源的状況、そして人々の期待は、確実に提案を受ける事にある。大人達の精神状態も既に限界にあるのだ。
「これまで通り安全な仕事のみ」を選ぶと、人々の不満は高まり、労働力不足は改善されない。と言っても「危険な作業をさせる」を選ばせると、大人達に加えて子供達も、病気にかかっていく。

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この選択肢を用意した人間は憎らしい程に人の心理を理解しており、わざと選択を2回させるように作っている。最初から「子供に危険な労働をさせますか?」と言う選択肢だけにすると、もちろん選ぶ人は少ない。ところが最初の選択は「全く労働をさせませんか?それとも安全な事だけさせますか?」だ。安全なと言う「言い訳」が後者を選ばせてしまい、その後にまた「安全なものだけにしますか?危険な作業ももうできるんじゃないですか?」と迫ってくる。一度「子供も労働力だ」と言う選択をしたあなたは、2回目の選択を「より選びやすく」なっているのだ。これは現実で政治でもよく使われている手だ。消費税導入のプロセス、とかね。

更にあなたを問い詰める選択肢の数々

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1、回復の見込みの薄い重病人の為に専用の施設を用意するか、しないか

用意すると、別の建物を立て重病人を収容し「病院のベッドをあける」事ができる。病人が収容しきれない状況では助かるが、それはつまり「彼らを見捨てる」為の小屋を作るという事だ。この専用施設では「食料が通常の人間の半分しか配られない」為、食料対策にもなる。あなたの良心が「実益」と言う悪魔に囁かれる瞬間だ。

2、食料に混ぜ物をするか

食料は常に限りがある。時には「どう考えても人数分合わない」と言う状況に陥る。その時に迫られる選択。混ぜ物をすれば食料が2倍になり、人数分足りる事になる。ただし、その「混ぜ物」とは食料でない。恐ろしくまずいだけでなく、栄養などあったものではない。長期的には病人を増やす事になるが、食料が足りなければ、その前に死人がでる事もある。
目の前の問題の為に、長期的なリスクを取れるのか?

3、死者の墓を立てて葬式をするか、雪穴に放り込むか

残念ながらどう上手にプレーしても、あなたの集団では死者が出る。もちろん集団に与える影響は大きく、人々には不安と悲しみが襲いかかる。立派なお墓を立ててきちんと葬式をする事によってその傷を和らげる事はできるが、「そもそも生きる為に必死な中、そんな事をしている余裕はない。」と声を上げるものも。
人間としての尊厳が、現実と天秤にかけられる。選ぶのはあなた次第だ。

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4、自殺希望者の願いを叶えるか

これまた恐ろしい状況だが、ある労働者が凍傷により片足が壊疽(えそ)してしまう。対処する方法は「足の切断」だが、彼は絶望的な状況により「足を切るくらいな死にたい」と暴れ出す。彼の意思を尊重するか、押さえつけて足を切るかも、あなたが選ぶ事だ。因みにこの選択はどちらを選んでもゲームの進行には大きく関わる事はない。事はない、のに、こんな場面を用意して選択を突きつけてくる開発者の神経。。。あなたの人生何があった!!

5、そして、更に究極の難題があなたに降りかかる、、、

次の章にて

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