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大人のエンタメ:争いの本質は、正義という自己欺瞞、、、なのか?

みなさんこんにちは
コーチのじゅんです。
コーチングとかいう凄そうな事をやっておりますが
実際は日々愚かさや
傲慢で欲深い自分と相対している毎日です。


争いが起こった人間関係や
まとまらないチームへのお医者さん的存在
COEDASの代表と、
ゲーム会社Pixel Unitedの日本GMもやっています。

大人のエンタメシリーズとは

色々な経験と知識を得た
大人になった今だからこそわかる
エンターテイメントの裏に隠された
奥深いテーマを掘っていくシリーズです。

今回3回目か4回目になりました。
実は前から紹介したい作品はたくさんあったのですが
仕事やなんやらでずっと塩漬けにしておりました。
何より、このエンタメシリーズ、
特に人気があるわけでもなく
完全な自己満足
である事が
なかなか筆が進まなかった理由でもあります。
望まれない事をするというのも、複雑な気持ち。

というわけで、
今回はこの「望まれない事を勝手にする」という
自己満足という欺瞞

をテーマにいたゲームを紹介します。
ちょっとややこしそうですが、
ついてきてください。

叫び声も、届かない

今回紹介するのは
「Far Cry」
フランスUbisoftが誇る大人気シリーズです
現在6まで出ており、
特に3以降は新作が出る度に評判になり
ストーリーが異常なまでの賛否両論を巻き起こすも
全く反省する事なく、
新作になればなるほど
どうかしているキャラと物語が現れます。
100億円以上の売上が約束され
開発費も数十億は軽くかけているタイトルで
全く客に迎合しないこの強気スタイルは
日本の会社ではけしてできない狂気です。

ちなみにこのUbisoft、フランスの会社です。やっぱりね。
芸術や個人の表現を大事にするお国柄。
道徳やポリコレなどどうでもいいのです。

とにかく、、、ひねくれている。

明らかにキリストモチーフのビジュアル

さて、今回特に取り上げたいのは
Far Cry5です。
完全にネタバレしますが、
もう何年も前の作品なので
許してください。
これまでプレーしていないという事はこれからもしないでしょうきっと。

舞台は「ほぼ」現代のアメリカ。
あなたは米軍特殊部隊の一員で、
ある田舎街で勢力を急激に拡大しているカルト教団の本部に行きます。
その拡大と終末的思想により、「危険なカルト」と判断され
教祖を軽微な罪により逮捕しようというものです。

あなたは仲間数人と共にヘリコプターで現地へ向かい、
国家権力と法律を盾に信徒が取り囲む中
教祖であるジョセフを逮捕しようとします。
さて、教祖の前にたどり着き
リーダーである上司があなたに促します。
「彼に手錠をかけろ」と。
教祖は抑揚のない声で言います
「時にはただ立ち去る方が、最善の策だ」と。

あなたはボタンを一つ押すだけで
彼を逮捕する事ができます。

「時には、ただ去ることが最善だ」

彼を連行してヘリコプターに戻ろうとすると
教祖の逮捕に興奮した信徒が暴れ出し暴徒化します。
ヘリコプターの出発にも抵抗し大勢がぶらさがった挙句
ヘリコプターは正しく飛び立てずに墜落。
仲間は捕まり
ジョセフは「神のご加護」により生存します。
あなたは命からがら信徒から逃げ出し
この街に残るわずかな「まともな市民」と共に抵抗を始めます。

こんなストーリーで始まり
まっすぐ進んでも30時間、
いろいろやるとその倍はかかりながら
あなたはこの街をカルト教団から取り戻そうと紛争します。

所属元の軍隊に連絡したら一発で解決なんじゃないの?

という疑問をなぜか一切持たないまま、
電話が通じない的な言い訳一つで
他の街に逃げてそこから電話するなどの対抗策は一切せずに
自力でゲリラ的に教団の信徒と戦い、何百人を銃で撃ち殺し
数人の市民を救いながら教団を追い詰めていきます。
この辺りのご都合主義は、
まあハリウッド映画とかでもあるので目をつぶりましょう。
一番ヤバいのはそこじゃない。(↓見たい方は、オープニングどうぞ)

さて、教祖ジョセフのカリスマ的な終末思想
「世界はもうすぐ核に滅ぼされる」
によって現代のルール完全無視。
自分達で社会を作り、神の救いを得るために活動。
実際は麻薬や催眠、暴力によって操られている部分も多いという
まさしくカルトです。

ゲーム自体は面白い

ヒーローになりたい

最強の軍隊を持つアメリカ国家権力に頼らず、
一人で立ち向かう主人公はまさにヒーロー的。
次々と教団幹部を倒し
街の地域を市民の手に戻す行為に「まさに正義の主人公」
幹部を倒すたびに
「お前は本当に正しい事をしていると思っているのか?」
「こんな事をしても変わらない。世界は滅びる」
などという捨て台詞を聞きますが、
所詮カルト教団の言う事です。気にしてはいけません。

さあ、あなたは何十時間ものプレーをした挙句
遂に最後の教祖ジョセフにたどり着きます。
彼は
「自分達の理想を追っているだけだ。君らにそれを邪魔する権利はない」
「自分が暴れて正義ぶりたいだけだろう?君こそ欺瞞だ」
「黙ってこのまま去ってくれないか?」
などと戯言をほざきますが、聞いてはいけません。

最後は教祖を追い詰めるのですが、
エンディングにおいて、
主人公と、プレイしている我々はある事実を知ることになります。
彼は「終末を予言していた」のではなく
「人為的に起こすつもりだった」
という事に。
彼は核兵器を裏で開発しており、
いずれにしてもこの世界、少なくとも彼にとって世界であるアメリカを
核で滅ぼそうとしていました。

この世界が争いにまみれているのは「君」が悪い。君とは?

結果、このゲーム、
「どうプレーしてたとしても最後は核によって世界は滅ぶ」
というバッドエンドを迎えます。

因みに、少しだけましなエンディングですと
教祖からの「これ以上争いはやめよう」
という説得に同意した主人公は
そのまま元の仲間3人を連れて軍隊に戻ろうとするが、
以前かけられた催眠のトリガーが発動して、
主人公自身が仲間を全員撃ち殺す

というエンディングも迎える事ができます。
ええ、最悪ですね。

最悪なんです。

このゲーム、途中で散々良い事をしたり、命救ったり
英雄っぽい事していたとしても、
最後は核で必ず滅びます。
なんてゲームを遊ばせるんだ!!

冒頭、主人公が手錠をかけようとする時に
教祖は言うのです。

「時に、ただ去る方が良い事もある」

このゲーム、そして開発者がゲーム市場最も性格が悪くひんまがっている理由がここにあります。
このゲームで最も「ましな」結末にする方法は
たった一つ。

ゲーム開始5分にして、最初にあなたがする行動
「ボタンを押して教祖を逮捕する」という時に
「ボタンを押さないで1分間待つ」事によって「教祖を逮捕しない」
事です。

そうする事で、教団はこれまで通り。
主人公たちは仕事を放棄して帰路につき
ゲームは即終了。
ゲームを全く遊ばない事によって
唯一誰も死なずに、世界も滅びない
という結末を見る事ができます。

なんだそりゃあああああああ!!!!!

と思うのも無理はない。
このゲームがシリーズを通して発しているメッセージは
「平和な道もあったのに、君が余計な事するから、人がたくさん死んだんだよ」
もしくは
「こんなゲーム、やらなければ良かったのに」
です。

最悪でしょ?
どう考えても100-200人が2-3年かけて作り上げたゲームの結論が
「こんなゲームするなよ」なんです。
おいおいと。さすが皮肉と悲観の国フランス(偏見)

毎回新作が出る度に
賛否両論と
「登場人物が皆頭おかしい」といレビューで荒れますが
それでもまた新作が出ればやってしまうのです。
何度やっても、同じような気持ちになるのに。

もうお約束

実際この1つ前の「FarCry4」も
敵のボスに「ここで少し待っていてくれ」
と言われてゲームが始まります。
叫び声が聞こえるので見に行くと、そこから怒涛の展開で
人を殺し合う大規模闘争(本来のゲーム)へ。
一方、その場で何もせず、15分以上待つと、
人がほとんど死なずに終わる「真のエンディング」
を見る事ができます。毎回同じパターンなのよ。

毎回「外から来た君が余計な事をするから、事態は悪化した」
「ヒーローぶって銃で人を撃ち殺したいだけなんだろう?」
という、最悪のメッセージをつきつけ続けるUbisoft。

まじなんなん。

6は遊んでないが、「真のエンド」はやっぱりあるみたい

さて、
本日は我が国では広島の日であり、
来週は終戦記念日を迎えますが、
「その傲慢な正義感が争いを生んでいる」という
ジョセフのメッセージは、どこまで的を得たものなのでしょうか。
ロシアの戦争と
ウクライナ国営ガス会社役員を息子に持つ
バイデン就任後に始まった事と
一体何か関係があったのでしょうか?

どう思うかは、あなた次第です。

じゅんでした。

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