如月

色々書く

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2023年のベストアルバム たち(遅すぎ)

今更感。適当にいきます。良い音楽が多すぎる。とても選びきれない。 Beach Fossils「Bunny」 初っ端から1位。まごうことなき1位。元々captured tracksというレーベルに所属していて、DIIV、wild nothing、craft spells、マックデマルコ、the lemon twigsなど、USインディーの名レーベルとして名が知られている。 今作は、「ほんまに2023年?」といいたくなるような洗練されたインディーロックを見せており、ニューウ

    • 日記2024/6/25

      今、自由になったと感じている。 会社の傀儡ではあるものの、社宅という仮住まいを手にし、長らく続いた実家生活からサヨナラバイバイして、ひとりになった。 それも距離的に歩いて帰れる距離ではなく、予定をしっかり立てて電車で帰らないといけない距離。 なんて素晴らしい。うっとりしてしまう。 この陸海空をどうやっても、四肢をばたつかせても帰れない距離、非常に厳格で艶かしい制限、夜あるていると地面が見にくくて、蛙が鳴いている。信号機の点滅と、アスファルトの照り返し、散歩する住民のライ

      • 青春の終わり

        羊文学の「ドラマ」という曲が好きで、よく聴いている。平熱と微熱をない混ぜにしたような声質、徐々に沸き立っていく音像、といいところはいっぱいあって、それぞれが不可分に絡み合って形をなしているのだが、何より歌詞が一番耳に届く。 冒頭、ギターと共に語られるこの歌詞が耳にこびりついた。特別な言い回しでもなんでもないのだが、前述した声質と音像によって非常に想像がかきたてられた。 この曲は、彼女らの1stフルアルバム「若者たちへ」に収録されている楽曲で、タイトルといい、1stアルバム

        • このカバーがすごい!(名曲カバー10選)

          開幕から余談だが、昨今の音楽では、サンプリングやオマージュによって過去の名曲が再利用、再評価されることが頻繁に見受けられる。アーティストの許諾を得ない場合はトラブルにつながることもあったり、飽和な音楽市場の中で行われる再生産により「パクリ」と揶揄されることもあり、肯定的な面だけではないのが現状だ。 さて、本記事ではそのサンプリングやオマージュの前段階、もしくはもう一つ進んだ段階ともいえる「カバー」についての記事だ。 余りにも我々が昨今聴取する音楽では当たり前の文化(10〜

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        2023年のベストアルバム たち(遅すぎ)

          ある動画について

          序文 YouTube。我々にとってごく当たり前となったSNSの代表だが、一つの疑問が頭に舞い降りた。 「YouTubeで一番すごい動画って何だろう」  ものすごく漠然としていて、どうでもいい疑問だが許してほしい。本当にどうでもいい。ふと思ったのだから仕方がない。もちろん、これは再生数や高評価、急上昇ランキングのような指標に左右されない問題である。私個人の主観的な指標による。  そこからいくつかの動画を思い浮かべた。ジャンルも量も広大で多岐にわたる。とりあえず好きな動画だ

          ある動画について

          蛍光色の若者

          レコードや古書や四角い建造物や抽象画や 鋭い視線や各々に待ち受ける思いがけない末路や時計や電子機器や神々について語る人々の思念がそのまま埋まっていれば良い 私はそこに根を張り じっと待つ 空気が振動するのも忘れるほど 透き通った養分を蓄える 青空に手を伸ばし 太陽に短い言葉を述べる 忘れかけた天使や母への想いは 青黒い海に沈めてきた 恥しい! 濡れた両手でかの女の肌に触れる どくだみの花のような 白い二の腕をじっと見つめて 私はそこで動かなくなる 身に覚えのない土地で

          蛍光色の若者

          色々と無知だけど、すきな作品について書く#1〜石原吉郎「竹の槍」〜

          詩についてもそこまで含蓄がなく、石原吉郎さん自体を深く知っているわけではないが、個人的にすごくすきな「竹の槍」という詩について書く。 まず、この詩を知ったきっかけについて。 高校時代によく聴いていた音楽にサカナクションがあり、他のバンドとはどこか違う歌詞がすきだった。文学的というのは邦ロックバンドによく使われる有り体な表現だが、一曲一曲に合った音にハマる歌詞を書いているなと思っていた。(好きな歌詞についてもまた書くかもしれない)ふと山口一郎の歌詞の起源はどこにあるのだろうと

          色々と無知だけど、すきな作品について書く#1〜石原吉郎「竹の槍」〜

          雑記#1

          年が終わろうとしている。 またしても何も成し遂げられなかった。  毎年何らかの気概を持って一年に立ち向かうのだが、あえなく敗れるのが恒例となっている。それは、他でもない自分自身の能力の無さに起因するし、どうしようもない孤軍奮闘をによって醜態を晒すことによって帰結する。コロナ禍がもうすぐ4年に至る。振り返るのも野暮な年月である。丁度自分のモチベーションを発揮するタイミングであったはずの期間を無為に過ごし、ありあまったモチベーションが下降するのとは反比例して、感染者数は増加傾向

          友人に連れられて、高木さんの劇場版を見に行った。それについての雑記。

           友人から「高木さんの劇場版見に行かない?」と誘われ見に行った。自分はある程度それがどういう話かは前々から知ってたものの(西片がとにかく高木さんにからかわれ続ける)、そのアニメ自体をじっくり見たことはなかったので、興味本位で見に行った。どうせこういう風な内容なのだろうと期待ぜずにたかを括っていたが、面白いと感じた部分があったので、書いていく。(以下ネタバレあり) 映画全体の概要  この映画、もといこの作品については「西片がとにかく高木さんからかわれ、翻弄され続けるのみ」と

          友人に連れられて、高木さんの劇場版を見に行った。それについての雑記。

          ある男の日記

          昼間に食べたポップコーンのかけらが歯の隙間から取れた。取れたのはベッドで明日に備えてもう寝ようと思っていたときで、かけらが歯に挟まったのはその日の夕方のことだろうと思う。ポップコーンを食べていたのはA町の比較的広い映画館だ。恋人の綾と一緒に映画に行き、そこでポップコーンを買ったのだった。 ポップコーンのかけらが歯に挟まっていた理由はおおよそ予想がついた。ひとつは、そのポップコーンの量が思いの外多く、とても1人で食べ切れる量ではなかったこと。綾にも少し食べてもらったが、ほとんど

          ある男の日記

          鈍行

          目的地に向かって走る鈍行の中で、私はこんなことを考えた。 鈍行はレールに沿って動く。しかし、動力源である電気は電線に沿ったパンタグラフから供給していて、見方を変えれば電線に吊り下げられているようにも見える。敷いてあるレールは補助であり、パンタグラフが主役なのだ。 景色が一瞬にして変わった。窓の外からは緑がよく映えていた。 ついつい思考に体が乗っ取られてしまう。どうしても目的地に着くことよりも今考えていることが優先されてしまう。居眠りから覚めたように思考の終焉は突然で、時

          極端

          真山は逃げていた。仕事から、家から、この世に存在するあらゆる事象から逃げていた。2本の足を使い、出来るだけあらゆる物から距離を離していた。木を見かければ木から逃げ、ビルを見かければビルから逃げた。ビルから逃げてもまた別のビルが迫ってくるのでそのビルからも逃げた。 背広を着ていた真山は長い時間走っていた疲労から酷く汗をかいていた。「喉が渇いたな」突然、風に乗った水の塊が顔を覆った。真山はなんとか水を飲み込んだ。「いつもこうだ」 あらゆる物から逃げ続けた真山の周りには何もなかっ

          昼寝

          頬が痒い。が、掻いてはいけない。掻いたらせっなくの眠気がどこかへ行ってしまう。今、うつ伏せで昼寝を試みている。今、右膝の虫刺されが痒くなってきた。今、と思うたび今は過ぎ去っていく。パラパラ漫画のように意識が移り変わる。ベランダから無数の蝉が熱心にラブコールをしている。蝉の街コンだ、と思う。静けさや私に染み入る蝉の声。眠気を纏った体の上からさらに蝉の声が全身を包む。次第に騒々しい蝉の声にもだんだん慣れていき、安心感を覚えるようになっていく。時間が早く流れている気がする。次第に頭

          シンエヴァ感想

           90年代のテレビシリーズや旧劇を全く見ずに序、破、Qをさらっと見て挑んだシン・エヴァンゲリオン。最初は全ての話を網羅した上で見に行こうと思っていたのだが、心の準備ができていないまま友人に連れられ見に行った。 結果的には、劇場で見るチャンスを逃してしまわないか不安だったので見に行けてラッキーだったと言える。 感想 一言で表すなら「人気のある長編漫画が出すファンブックのような映画」だった。ファンブックというのは、20巻以上コミックスを出した漫画が新規ファン獲得&古参ファン待望

          シンエヴァ感想

          秘密基地

          自宅近くの公園の真隣にある坂道を下って横断歩道を渡り、お辞儀した桜の木の向こうにそれはある。ちょっと目を凝らさないとあるかどうかわからない隠れ家的カフェだ。桜のほかに様々な植物が繁茂していて、お客を迎えるアイアンアーチには蔦がこれ以上無いくらいまとわりついている。 比較的人通りの多い横断歩道の近くに位置しているにも関わらず、周辺のあらゆる角度からはカフェ全体を視認することがとても難しい。さらに、店の周りをコンクリートの塀が囲んでおり、様々な植物が店の頭上を覆い隠しているのだか

          秘密基地

          記憶について

          小学校の時、学校の図書館にある伝記漫画を全て読んだ。ある程度の偉人のことは知り得たと謎の達成感があった。なんとなく、他の子らよりは知識があるのではないかという根拠のない自信もあった。しかし、今にしてみればそれは紛い物で、私はそれほど知識のある人間ではなかった。伝記漫画を読んだことによって得た知識も全てなくなった。頭の隅に断片となって転がっているだけで、トリビアの泉程度の知識である。 さて、ここまでの話は私の経験に基づく話である。記憶というものは残酷なもので時が経てばすり減っ

          記憶について