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【マネジメントタイプとマーケティングタイプ、そしてリーダー…… チームの桃太郎理論】

マネジメントが得意な人、マーケティングが得意な人、そしてリーダー。
この3者の違い

かれこれ20年ほど前に、かつての職場で「マーケティングの神様」神田昌典さんから学んだ事です。

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最高の商品を作る。 最高のスタッフに育てる。 最高の売り場にする。 最高の仕組みにする。

マネジメント(管理)は「最高づくり」

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でも、すべてが最高になっても売上は上がる訳ではなくて、もう一つの要素がいる。

その最高を求めてる人を見つけ、自分たちが最高だと知らせ、そして最高を届ける。

マーケティングは「最高しらせ」

マーケティングが「最高しらせ」だとするならば、テレビやネットの広告、新聞広告や折込チラシは筆頭だかそればかりではない。

営業マンもそうだし、お客様へ口コミ・紹介を依頼する事もそうだし、世間に「○○の街で○○と言えばあのお店」と浸透させる事もそう。

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この二つがビジネスの大きな両輪。
この二つがバランスよく機能していないと売上は上がらない。

よって、売上作りの公式は「客数 × 客単価」ばかりではなく「マネジメント + マーケティング」も重要なファクター。

しかしこの二つは組織の中で対立しやすい。
個人でもマネジメントタイプの人と、マーケティングタイプの人に違いがある。
なかなか両方どちらともバランスよく能力が備わっている人はいない。
どちらも出来るとしても、その能力や適性のバランスは6:4だとか、7:3という具合に、必ずどちらかに得手、不得手の偏りがある。

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●マネジメントタイプは一つの事を極めようとする。

マーケティングタイプは、極め込んだ深さよりも広がりにこだわる。

●マネジメントタイプは「お客様は店内 (館内、園内など) にいる」と考える。

マーケティングタイプは「お客様は市場 (商圏、対象の集まるサイト) にいると考える。

●マネジメントタイプは、今、店内にいるお客様には商品品質、時間空間の快適体験で「その時」の顧客満足が勝負。

マーケティングタイプは、店内の顧客満足は当然、店舗を出てゆかれてからの口コミ、そのお客様の先にまでお客様がいる事をけして忘れない。

●マネジメントタイプは自分で全ての事に精通しようとする。
理想は打つも投げるも出来る大谷翔平。何でもできるようになれ。

マーケティングタイプは自分の得意な事に集中しようとするし、人にもそうさせようとする。
何でも出来る必要はなく、OnePieceのルフィやサンジのタイプ。

「お前はお前のできる事をやれ!俺がお前の出来ない事をやる!」(by サンジ)

「海賊王に俺はなる。でも俺は料理も作れなければ、医者にもなれない。航海も出来ないし船を造る事も出来ない。だから俺が海賊王になるにはお前らが必要なんだ」(by ルフィ)

●マネジメントタイプは皆が同じルールと同じ思考基準、同じ行動をする「規格」を作る。

マーケティングタイプは季節や時流、何らかの条件に柔軟で人(お客様もスタッフも) や市場がどう動くかを企んで試す「企画」を作る。
そう「企画」とは字の如く「企み(たくらみ)」だ。

●マネジメントタイプは売れない言い訳を「営業が (マーケティング部署が)  売らないからだ」「いい接客やサービスをしないからだ」と言いがち、思いがち。

マーケティングタイプは売れない言い訳を「いい商品を作らねーからだ」と言いがち、思いがち。

※ 相手のタイプや責任と役割分担を理解して、対立を避けたり緩和する事は現代社会、もちろん必要。
ただ傾向的に「言いがち、思いがち」だという事を重ねて弁解しておく。

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ビジネスの両輪と言われるこの二つの機能、あるいは部署やタイプの人間。双方ともうまく調和を取れれば良い。
しかし学んだ当時でも、まず8割の組織で対立していると聞いていたし、実際に多くそう見てきた。

そしてその企業や組織の中で、No.2のポジションにどちらのタイプが居るかが重要。

マネジメントタイプなら、その組織はマネジメント重視となる傾向が強く、No.2がマーケティングタイプならマーケティング重視の傾向になる。
新撰組の土方歳三然り、キーパーソンはNo.2の人間だ。

起業家が一人で営業を頑張って、仕事を受注し続けた結果、発注だの請求だの顧客管理だのと作業が増えてゆく。
二人目の仲間にその手伝いをするマネジメントタイプを引き入れNo.2にしたら、その会社はマネジメント重視の会社になる。

同様に起業家が一人で営業を頑張って、でもまだまだ受注を増やせる!
まだまだ占有率を伸ばせる!
担当商圏を東西に分けて、一緒に営業を頑張る仲間を引き入れたい!
そう思って見つけた相棒をNo.2にしたら、その会社はマーケティング重視の会社になる。

「起業家」が「鬼退治に鬼ヶ島へ行くぞ!」と方向を指し示して向かってゆく「桃太郎」。

マネジメントタイプは「犬」

マーケティングタイプは「猿」

その為に、マネジメントとマーケティングの対立は文字通りに「犬猿の仲」となる。

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とはいえだ。
くどくなるが、この2つの機能はビジネスの両輪であり根幹。売上や利益を生み出す為には対立などしている場合ではない。

よって、この犬と猿の調和を計るタイプが必要になる。
その役割を担えるタイプも2種類いる。

1つは当然、トップ・オブ・リーダーの「桃太郎」

そしてもう一つが、犬も猿も、そしてリーダーの桃太郎でさえも含めて、三者の後を飛びながら俯瞰して付いてくる 「雉(キジ)」 だ。

犬がマネジメントタイプ、猿がマーケティングタイプ。
ではこの雉は何タイプかと言うと実は明確な答えはない。

強いて言うなら、チームの調整役だとか、ムードメーカーだとか。
役職や専門の技能、役割はなくとも、組織を俯瞰し調和を計れる人、である。

「この支店(営業所、部署)の事なら、あの人にきけば何でもわかるし、人間関係に摩擦が起きてもその人が大抵丸くおさめてくれる」という人で、それはパートのおばさんの場合とてある。

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桃太郎は自分の右腕、左腕として犬、猿と個々に親しくし、それぞれマネジメント、マーケティングにおいて協力を求め、またフォローもする。

雉もまた然りで犬、猿の良きサポーター。彼らの仕事の遂行に当たって協力し、時に相談者、時に雑談相手として交流する。
経営者とは異なる視点で「組織全体を見る目」を持っている調整役だ。

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そしてここでもまた、一つの傾向、そして課題が浮き彫りとなりがち。(これも弁解しておく。あくまで「なりがち」 だ)

それは桃太郎と雉が対立しがちという事。

わかりやすい事例は、キジ役が長年、現場に貢献してきたベテランで姉御肌のパートさんだとした場合などだ。

経営者は直接の生産性アップに関わる犬と猿は重宝する。

その生産の結果、発生する後方作業や準備などのオペレーションだけに関わっているパート、アルバイトを軽視などしてようものなら、経営者と彼らの溝は言わずもがな、深くなる。
(※もちろんこれも現在は、そんな考え方や見方はタブーであるが)

そしてどうしてもパートやアルバイトは、人件費とはいっても正社員とは異なり変動費。

経営者には、売上が芳しくない時はなるべく働かせたくないという潜在的本音がある。

また、バブル崩壊後やリーマンショックの様な大不況、災害・原発事故、パンデミックと、有事に近い状況が何度も押し寄せてきた時、非正規雇用から整理にかけられる事を、労使共に経験・学習してきた。

もしかすると小さな企業では、そのキジ役が現場であまりにも求心力や人望・人気があって、もしかすると社長さん自身が嫉妬の感情を抱かないとも限らない。

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ここまで4つの「タイプ」が登場してきた。

トップ・オブ・リーダーの桃太郎
マネジメントの犬
マーケティングの猿
調整役のキジ

だが、犬と猿、桃太郎とキジが対立構造に陥りやすい傾向にある事も説明した。

この知識(桃太郎理論)は、各自が知って自覚し合い、チーム内で協力し合う雰囲気を築ければ一番問題はない。

しかしこの知識を自分一人が知って、チームが現にそのような環境になっていたら、自分一人で改善しようとする事はなかなか困難だ。一筋縄ではいかないが、とはいえ、けして不可能でもない。

改善に当たる時に必要な要素。
抽象的に言えばもちろん情熱とか、執念とか、精神論は色々ある。
しかし相手も大人である。必要な要素ベスト3を挙げる。

第3位  具体的な改善策とそれにかける時間。

第2位  協力者

第1位  強烈なリーダー、及びリーダーシップ

ここで再び「リーダー」という言葉が現れる訳だが…

リーダーと言うなら既に「桃太郎」が登場しているではないか、という意見もよく聞かれる。しかも「トップ・オブ・リーダー」などと大層に。

桃太郎はチーム内の立場で言えば「起業家」
リーダーは部署ごと…支店ごとにいるかもしれないが、その上下関係のピラミッドのトップという意味でもあれば、「鬼ヶ島へ鬼退治に行くぞ!」と組織の方針を指し示す、ベクトルの大きさのトップという意味も持つ。
簡単に言えば、桃太郎の指すトップ・オブ・リーダーとは「立場上のトップ」「言い出しっぺのトップ」だ。

しかし改善の必要要素 第1位のリーダーとは、必ずしも桃太郎とは限らない。

犬でリーダーという場合もある。
猿でリーダーという場合もある。
キジの場合も当然ある。
それどころか、それらの場合だけではない。どのタイプでもないけど、リーダーだという者もいる。
犬や猿の部署の中で、ナンバー2やナンバー3だけどリーダーだという者もいる。

ここで言うリーダーとは、役職ではなくこれもその個人が持つ「タイプ」を指しているのだ。

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無論、桃太郎や犬、猿がリーダーであれば何の問題もない。むしろ企業は、その者にリーダー性はまだなくても、身につけて欲しいという期待を込めてリーダーという役職を与えるものだ。

ではここで言うリーダーとは?

簡単な話。字の如く、他者に先駆けてリードする人である。「ランする人はランにerを付けてランナー」同様に、リードする人だからリーダーだ。

これは肩書きではない。そのように行動や改革をしてしまう人は無意識に習慣として備わっていゆ。その「タイプ」を指している。

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リーダーは取り分け、改革から始める。
すぐ手をつけられる改革は「意識改革」だ。

何故なら行動するにも、出発点の意識、思考は重要なファクターだ。

別の記事でも書いたが、「言われたから行動はするが、どうせ失敗するだろう」だとか、「失敗すればいいのに」だとか、「失敗したらどうしよう」だとかの意識で行う行動が失敗する。

まずリーダーの意識には出来る、やれる、達成させる、しか頭にない。
その意識改革の源泉には、達成だとか実現、獲得、成長……それら目的・目標を見据える事以外ない。
手段が源泉ではないし、手段と目的の逆転も当然犯さない。

つまり「何月何日何時までに東京へ行く!」という目的があった場合、その目的がすべてだ。

ところが手段は様々だ。
自家用車、バス、新幹線、飛行機、ヒッチハイク……
「新幹線で行く」という手段に拘って、新幹線が運行停止したら、手段が目的だった人間はそこで足も思考も止まる。

目的に拘っていたなら、新幹線がダメなら別の手段を使えばいい。何月何日何時には東京にいなければならない、それだけは絶対なのだから。

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どんな組織にも必ず問題はあるし、人には悩みもある。それは理解しておく事だし、問題を改善したゆくからこそ仕事も人生も面白い訳だ。
むしろ問題のない場所を求めるなら、それは「あの世」しかない。

達成の為には、これらプロセスの各問題とももちろん改善しようと向き合うが、目標達成のための事以外は実は小さな事だ。リーダーはその位ドーンと構えていて欲しい。

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そしてリーダーと混同される役職名に「マネージャー」がある。
マネージャーが (タイプとして) リーダーであれば理想的だが、基本的にはリーダーとマネージャーも別物。

「何故、そういうやり方でやるの?こういうやり方でやるのが決まりでしょ?」と管理するのがマネージャー。(及びマネージメント)

「何故、そういうやり方でやるの?こうやつた方が早いし確実だよ。なに?決まりだって?
なら俺が責任持つから決まり変えるよ。今からはこういうやり方でやる」と改革するのかリーダーだ。
今、もう一つ、リーダーの重要なポイントも記されていた。
「俺が責任持つから」という事。

リーダーは、タイプという意味でも、実際の役職でも、全ての責任を背負える人でなければならない。

責任とは目標同様に「果たす」ものだ。「取る」「取らされる」という物ではない。
たしかに何かヘマをすれば「責められる」のだが、基本的には「任される」事、それか「責任」なのだから。

そして責任を果たしたその先に待ち受ける物…
それこそが信じて任される「信任」だ。
信任を得る為に、堂々と立ち向かい乗り越えたいものだ。

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以上が組織の「桃太郎理論」及び、プラスアルファで「リーダー」についての話だった。

筆者である僕には、この桃太郎理論を活用して、30年前は個人商店に毛が生えたような小さな会社を、地域で中堅企業に……「ちゃんとした会社」らしく成長させてきた足跡がある。
もちろん僕一人だけの力ではない。同じ志とこの知識、行動力を持ち、取り組んできた仲間がいて出来た話だった。

その会社も今はM&Aで、当時とはまったく違う社内風潮の会社に変わり、当時のメンバーは皆、僕も含めてその会社からはそれぞれ卒業したが、奇しくも僕は再び、更なる成長を目指す企業、事業に身を置いてこの命を使えている。

日本の全てのチーム…組織が業績を上げ、日本人が皆「失われた30年」と別れを告げ、また豊かな「今ココ」を取り戻せる日が来ると良いなと祈る。

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