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オトンと自転車…そして

6月の「娘訪問介護日記」です!

オトンの大切な大切な愛車のロードバイク4台。私は汗だくになりながらピカピカに磨いた。

「今までありがとう。」

と自転車達に心の中で呟きながら。
どうか、その自転車達のパーツの、たった一つだけでも良いから、自転車好きの人が次にまた使ってくださいますように…と心を込めて。
・・・

耳が殆ど聞こえなくなってから、ずっと無気力で寝てばかりいたのに、ウキウキしながら楽しみにしているオトンとメダカが、先に我が家に来て同居が始まる。
「にゃんことぉ、3食ぅ、昼寝付きぃー!メダカとサボテンも一緒にね♪」
と言いながらニコニコのオトン。
「え?私の存在は?」←心の声。
月末までにオトンの家を引き払う。

・・・
オトンは学生時代からロードバイクが大好きだった。
私が子供の頃から、お仕事の休みの日には磨いてメンテナンスをしたり、お洒落で派手な自転車ウェアーを着て、颯爽と海や山へ行き、自転車仲間とのツーリングや島へ旅行、と幸せそうに乗っていた。

一番最初に書いた「娘訪問介護日記」の記事で私が描いたオトンの絵は、元気だった頃のロードバイクに乗ったオトンの写真を模写したものです。

本当に格好よくてキラキラしていたオトン
この記事から私は
ヘッダーに絵を描き始めました

オトンは朝4時に出発して、湘南の海でランチするのが好きだった。途中で出会った人達との交流、すれ違う動物達が可愛かったこと、自転車サークル仲間とのツーリングの楽しい話をしてくれていた。

10年前までは「いたずらされるのが嫌だ」と、毎日4階の自分の家まで担いで運び筋肉モリモリだった。

一番古いのは50年前に買ったロードバイクだ。何度も塗り直して修理してお気に入りだった。

耳が殆ど聞こえなくなってしまいロードバイクに乗れなくなってからも、大切に飾ってあったけど。
だいぶホコリを被り輝きを失っていた。

同居のための様々な引越しプランの中で、
「ロードバイクどうしよう…。」大きな大きな課題であった。私の家は狭くて飾れない。「もう乗れないし、処分していいよ。」と言うオトンの目は少し潤んで、とても寂しそう。

ただ単に捨てればいいじゃん?なんて、とてもじゃないがそんな気持ちにはなれない。

「おい!じゅんみはよ!どうにかしてオトンの愛車を自転車好きの人にバトンタッチさせるのだ!!」
「よーし、大好きなオトンのために私は頑張るぜ!!エイエイオー!」←私のひとりごと。
・・・

「おーい、オトン。今から行くよー!!待っててねー。」いつもの様に自転車立ち漕ぎではない。今日は雨だ。バスで行くぞ。

・・・
前日まで、いろんな自転車屋さんに電話して相談した。古いのでそのまま処分。と言われたり…。困った…。

あ!そうだ、オトンの昔の自転車仲間のお店はどうかな?
お友達はもう数年前にお亡くなりになられたけれど、息子さんがお店を継いで、とても良い自転車屋さんだったような。直ぐにHPで調べ、連絡してみる。藁にもすがる思いだ。
快く引き受けてくださった。本来はお店まで持ち込まなくてはいけないのに事情を説明したら、わざわざ4階の父の家まで取りに来てくださることに。
ああ、ありがたいなぁ。電話の後、私は泣いた。
・・・
細部までピカピカに磨いたロードバイク達は、輝きを取り戻し、今にも走り出しそう!!
オトンは自転車ウエアーに着替え帽子を被る。
写真を撮る準備をしていたところで自転車屋さんが引き取りに来てくださった。

ロードバイク一台ずつと、その前で腰に手をあて背中をピーンと伸ばして立つ凛々しいオトンの写真を撮った。4台全て積んだ車の前でも写真を撮った。お礼を伝えると「こちらで使えるパーツは全て使いますので!」私は号泣しながら「ありがとうございます。」深く頭を下げる。その横でオトンも頭を下げていた。

部屋へ戻ると、飾ってあった空間が広く感じる。「じゅんみはちゃんがそんなに泣くから、お父さん泣けないよ。」と笑いながらオトンも泣いていた。

ロードバイクも大切な家族だったんだよね。また大切に使ってくれる人がいる。本当に良かった。

今までありがとう!
また活躍してね

・・・

その前

我が家で既に準備してあったオトン部屋は、「今使っているベッドだけは持って行きたい。」(←大きい)とオトンが言うので、「そりゃあそうだよ、お気に入りのベッドで寝たいよね。」と、家中をいろいろ配置替えして、やり直しになった。

作業をしつつ引越し業者や粗大ゴミの手配などをやっていた。
息子もお仕事が休みの日には手伝ってくれる。
友人達も「いつでも手伝うよ!」と言ってくれたけど、みんな仕事や家のことで忙しい。なかなか頼れずコツコツ準備していた。
気分転換にと、プチ同窓会に行ったりしながら。

オトンが我が家に来てからは、私はオトンの家に通い、引上げのための作業が始まる。
そんなに焦らなくても良いのに、私は頭の中がいっぱいいっぱいになり、ある日「辛いんですー!」と泣きながら、お母さんの様に慕う人に電話した。
直ぐに「おいで。」と言ってくれて、お夕飯までご馳走になりながら話を聞いてくれた。
「じゅんみはは直ぐ一人で抱え込むんだから。みんなに頼りなさい!」
私が悩んでいたメダカの水槽運び(新しい水槽を壊さないように持って行き、メダカを移してから、どうやって運ぶか悩んでいた。全部自分でやろうと思っていたから)も手伝ってくれることになった。
オトンが同居してから、私がオトンの家の引き払い作業に行っている時のお昼ご飯を、去年の5月の記事「日替わり弁当はお父ちゃんお母ちゃんの笑顔の味♪」に書いた近所の居酒屋さんが、たった1つだけなのに、温かくて美味しいお弁当をオトンのために毎日届けてくださることになった。
肩の力がスゥーっと抜けた。

あったかいなぁ。優しいなぁ。

それからは休み休み作業をすることにした。三毛猫三姉妹も誰かしら側にいて見守って応援してくれている。
引越しも引き払い作業も、素直に手伝ってもらいながらマイペースにやろう。

週末、いよいよオトンが我が家に来る。

「オトン!待ってるよー!」
私も三毛猫三姉妹も待ってるよ。

オトンのハッピースマイル!大好きだ!

我が家で楽しく暮らそうね。

・・・
次回から「娘訪問介護日記」ではなく「娘同居介護日記」になります。

マガジン名はそのまま「娘訪問介護日記」にしておこうと思っています。

いつも通り、ゆっくりカメさんペースでの更新となりますが、これからもオトンと私のおとぼけ日記をよろしくお願いします。
「娘訪問介護日記」をいつも楽しみに読んでくださるみなさん。
そしてこの、長い長ーい記事を今、読んでくださったみなさん、本当にありがとうございます!
三毛猫三姉妹とスマホの前で頭をペコリと下げて感謝しております。

・・・
オトンがロードバイクの前で凛々しくポーズをとっている絵を描きました。





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読んでくださりありがとうございます! 嬉しくて飛び上がります♪ 私の心の中の言葉や絵を見て何か感じてくださればいいなと願いつつ。