旅のショックは旅で癒す① ハリファックス→トロント
11月3日から13日までの秋休みのお話。
本来であれば11月3日の飛行機でボストンに飛んでいたが、生憎悪天候でフライトがキャンセルになってしまったのでボストン旅行自体を中止。
(詳しくは前作参照↑)
まあそれはショックだった。これまでの人生でフライトが目の前でキャンセルになったことはなかったし、目的地はそう簡単には行けないアメリカ・ボストン。何週間も前から胸を弾ませて考えた旅程も全てがパーになった。
だがヘコんでばかりもいられない。11月7日には友人とトロントで合流する予定があったので、新たにハリファックスからトロントに行く手段を確保しなければならなかった。フライトがキャンセルになった3日、大学寮に帰ってすぐにパソコンを開く。
航空券を予約?
無難なのは当然飛行機。ハリファックスからトロントは直線距離で大体1,300キロ、2時間半の所有。7日中のフライトはまだ空きがあり、約$200。キャンセルされたフライトの返金分が$250あったので、これを充てようと決めかけた。
だがこの時点で7日まで中3日もある。急に予定が無くなった週末、平凡に過ごすにはあまりにもつまらなく虚しい。
何か面白い行き方はないか
ケベックシティーに行ったときに乗った鉄道を思い出した。
あの時は一番安いエコノミークラスを利用したが、帰国するまでに最上位クラスの寝台車に乗りたい、なんて思っていたところだった。
しかも鉄道ならトロントまで丸2日かかり、週末の虚しさも相殺できる。
これで決まりだ、カナダ国鉄のホームページを漁り、チケット購入画面まで急行する。
よしまだ空きがある、良かった。
だが次の瞬間に気を失いそうになる。
$711!?
当時のレートで日本円にして約78,000円。
ニコニコレンタカーで無保険軽事故を起こしたときの罰金より高い。
さすがにいくら乗りたくても8万円は気が引ける。ああやはりこれは無難に飛行機で行くべきか、週末は大人しくしておくべきか、諦めかけていた。
だがボストン旅行を敢行できていた場合の旅費は約8万円、幸いなことに先払いしていた航空券とホテル代は満額返ってきていた。
これボストン旅行費を全部充てたことにすればプラマイゼロじゃないか?
どこぞのカロリーゼロ理論よりは理にかなってる。決めた。
というわけでカナダに来てから最大級の買い物をすることにした。
ハリファックスからトロントまでは一度モントリオールで乗り換え。
ハリファックスからモントリオールは最高位クラスの寝台車、モントリオールからトロントは普通車にて移動することにした。
なんというワクワク感、ボストンのことなんてもう忘れていた。
乗車券を予約
ハリファックスを6日の13時に出発し、22時間後の7日10時にモントリオール中央駅に到着する。
3時間の乗り換え時間を挟み、5時間かけてトロントには18時半に到着する。
道のりは驚異の1,800キロ、合計30時間の超長旅。
これは東京駅から北海道の東端・根室まで鉄道で行くよりも更に100キロほど長い、もはやイメージが全く掴めない距離感。
位置関係
途中まではケベックシティーまでの道のりと全く同じ。
詳しくはこちら↓
いざ乗車日
ケベックシティーのときと同じように駅に向かい、乗車開始のアナウンスを待つ。
ただ前回と違ったのは食事券を渡されたこと。
そう今回は3食が付いてくる。日本では食堂車付きの定期寝台車はもう存在しないので、海外でしかできない貴重すぎる体験だ。
全30両近い車両の中で食堂車は2両のみ、さすがに定員に限りがあるので時間が2つに分けられていた。
ハリファックス駅の出発は13時だったので、ランチから始まる。お腹が空いていたので出発直後の13時を選択した。
ランチ
まずはランチの紹介から。一人で乗ったので別のお客さんと相席する形になった。相席食堂したのはトロント在住の女性。ハリファックスの妹を訪ね、さらにこの列車でモントリオールにいる娘を訪ねて、トロントに帰るそう。日本から留学しに来た、と言うと驚いたことに日本のICUに30年前留学していた、と教えてくれた。もっと驚いたのはその時に通っていたビジネススクールで楽天社長の三木谷浩史と同じクラスだったということ。物静かな人で数回しか話さなかったそうだ。
まさかこんなに日本にゆかりがある人とカナダの僻地を走る食堂車で出会うとは思わなかった。
という感じでいきなり度肝を抜かれたが、ランチの内容紹介。
まずはクラムチャウダー。↑
次にパスタとガーリックトースト。
味は、、、
かなりキツかった。この後2時間位気持ちが悪かった。
何と表したら良いのかわからないがとにかく自分の口には合わなかった。
この方も「前乗ったバンクーバー行きの食堂の方がおいしかった気がするわ……」
と言っていたので俺の舌が故障していたわけではなさそうだ。
最後に食後のコーヒーとデザートのケーキ。
これは文句無しで美味しかった。
という感じでとても楽しいランチタイムだった。
寝台個室
お待ちかねの寝台個室紹介。
寝台車特有の狭い通路を歩く。
今回のお部屋はドアに近いところ。
乗車前に渡された鍵を差し込んでいざ中へ
こんな感じ。
2人がけのソファーが備わっていた。
両端にある白い物体は枕、真ん中には2本の水とシャンプー類とバスタオル。
そう、この個室はプライベートシャワーとトイレが付いている。
右下がトイレ、左に鏡と洗面台がある。
あれただのトイレでは??
シャワーはどこ!?
アテンダントさんに聞いてみると、やはりこのホースみたいなやつがシャワーだった。
マジかよトイレの真上でシャワー浴びるのか…
ちなみに鏡の隣りにあるクリーム色のパイプ、1000円カットで最後髪の毛吸ってくれるやつみたいなもの、これがドライヤーだった。スイッチ押しても無反応だったので多分壊れてた。
シャワーに吊るされていた袋はバスタオル。やたらバスタオルがあった。
部屋内はざっとこんな感じ。
ディナー
19:30。
あっという間にディナータイム、先程の食堂車に戻る。
今回相席したのはノバスコシア州の北にある島に住んでいるお爺ちゃん。地元のモントリオールに帰る途中だと言う。そうつまりこの人はケベック出身の"ケベクワ"。母国語はフランス語で、食事のオーダーは全てフランス語で通していた。だが英語も同じくらい話すそうで、自分との会話はもちろん英語を介して行った。モントリオールの住み分け事情や、ケベックの方言などたくさんのことを教えてくれた。随分と博識豊かな方だな、と思ったら、かつてモントリオール大学で心理学を教えていたらしい。これまたすごい人に出会ってしまった!
会話の内容が濃すぎて肝心の料理のことはよく覚えてない。何だっけなこれ
デザートが美味しかったのは覚えている。
こんな感じ。
お爺ちゃんの面白いお話のおかげで楽しいディナーになりました。
就寝
食事を済ませ、後は寝るだけ。
自分の部屋に帰ると…
なんとベッドに変わってる!
さっきのソファーがベッドに、その上にもう一つのベットが下り、二段ベッド体制に。
一人で二つのベットが使えるVIP対応たるや。
どっちで寝ようか迷ったが上の段はエアコンの風が強烈だったので、下の段で寝ることにした。
こんな感じで一日終わり。
あまり長すぎてもアレなので起床後は次の稿で、おやすみなさい。
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