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純子
2022年9月23日 14:34
エスカレーター雑踏よれたスニーカー白杖今でも、ふと思い出す。まだコロナ以前の夏のことだった。「どちらの方向に行かれるのですか? よろしければ少しだけでもご一緒しましょうか?」私は隣に立つ青年に思わず声をかけた。二十歳前後であろう青年は白杖を持っていたからだ。びっしり2列に並んだ上りエスカレーター。上り切ると、多くの人々が目まぐるしく行き交う駅前広場。盲人が一人で歩くのは