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月間インクルーシブトーク:公開対話のアップデート

Motivator構想の一環で、2024年3月から始まったオンライン公開対話は、毎回異なる参加者の皆さんのもとで、私自身、毎回まったく違う体験をさせてもらっている。公開対話を始めるにあたっては、大きく2つの背景があった。一つは、障害者雇用に取り組む人たちが疲労困憊であるという現場の声があった。そして、もう一つは、「障害者雇用をより良くしたい!」というピュアな想いで、立場や役割をこえて、つながれる場が必要だと感じたからだ。そこで、公開対話のサブタイトルを「より良い障害者雇用を追い求める人、集まれ!」とした。

しかし、公開対話での参加者の皆さんの声に耳を傾けていると、公開対話で語られる話は、障害者雇用に限ったテーマではなかった。むしろ、多様な背景をもつ私たちが、どうしたら自分らしく働けるのか、という大きな問いに対する対話時間であったと思う。ゲストからの問いや、ブレイクアウトルームの顔ぶれによって、障害者雇用の現場で起こっているミクロレベルの話に留まることもあれば、当事者の方の語りから、新たな視点を獲得するような時間になることもある。

いずれにしても、公開対話の場は、障害者雇用に取り組む関係者だけが集う勉強会では出会えない人たちとつながる時間になっていた。だからこそ、「そうそう、同じ課題です。毎日、大変ですよね…。」では終わらない、「あぁそんな考え方、やり方があるんですね!」とか、「あぁ私も正直、XXXと考えていました。」といった学びや内省の時間から、「面白かったです!」、「時間が足りない!」、「新しい視点を得られました!」、「リアルに会いたい!」といった感想を寄せていただくことも増えてきた。

Motivator構想における「公開対話」の位置づけ

そこで、今一度、Motivator構想における「公開対話」の位置づけを考えてみたい。公開対話は、当初、「障害者雇用」に興味、関心、想いを持つ人たちの集まりを想定していた。しかし、これまでのゲストの皆さんやそこに集まる人たちの語りや想いに触れると、障害者雇用に限定した想いではなかった。言い換えれば、「障害者雇用をはじめ、多様な個が活きる職場づくりに興味ある人たち」が集い、よりフラットに、かつ普遍的な対話がされていた。

そして、そのフラットで、普遍的な対話のきっかけを与えてくれるのが、ゲストが提供してくれる「問い」である。ゲストの「問い」には、ゲストが歩んできたキャリアが背景にあり、その中で育まれてきたゲストの「想い」が強く影響すると感じている。だからこそ、ゲストの「問い」と「問いの背景」に耳を傾ける時間は、自分自身を内省する時間にもなるし、ゲストの想いに触れることで、いつもエネルギーを充填している。

つまり、公開対話とは、ゲストが立てた「問い」とその「語り」のもとに、仲間が集い、「想い」を伝播させながら、お互いのFeel(「感じたこと」・「思ったこと」等)を恐れなく発する場のこと、と言える。そして、ゲストの想いが、仲間に広く伝わるからこそ、みんなが考えたくなるし、語りたくなり、結果として、想いのエネルギーにあふれた場が作られる。

まさに、公開対話のゲストは、Motivator構想における「Motivator」に他ならないのだ。公開対話では、参加者の皆さんが、思わず「話したくなる」場づくりが、何よりも大事なのかもしれないと最近は思っている。その場を通じて、「私は”想い”なんて持っていないから…」と控えな姿勢を示しながらも、一途に頑張る潜在的なMotivatorの琴線に触れると思うからだ。

その琴線に触れる瞬間が、新たなMotivatorの誕生でもある。

そして、公開対話の積み重ねこそが、Motivator構想が目指す「障害」に対する社会の記憶を書き換えていくことにつながると思う。なぜなら、多様なフィールで活躍する人たちが、「想い」でつながり発信することで、社会に対して、「障害」への記憶をアップデートしていく必要性を問えるようになると思うからだ。「障害」に対する社会の記憶を上書きする為に必要な視点は、専門職や関係者、当事者だけの視点でもない。「多様な個が自分らしく活躍できる社会をつくっていきたい」という「想い」のもとに、自分なりに行動を起こす人たちの視点も忘れてはいけないだろう。

「障害者雇用をより良くしたい人、集まれ!」から、
「月間インクルーシブトーク-Monthly Inclusive Talk-」へ

よって、先月より公開対話は若干構成を変えてお届けしている。
最初に、ゲスト(Motivator)とオーガナイザーとの対話の時間を15分程度設け、対話の前提を揃えた上で、参加者の皆さんが「感じたこと・思ったこと」を共有するブレイクアウトルームを設けている。是非、障害者雇用に限らず、多様性やDEIに興味のある方々にもご参加いただきたい。そして、このような私自身の想いから、オンライン公開対話の名称を「障害者雇用をより良くしたい人、集まれ!」から、「月間インクルーシブトーク-Monthly Inclusive Talk-」と変更して、これからお送りしていく予定である。

【「公開対話」参加お申込み方法】
第5回「オンライン公開対話」:7月23日(火)12:00-13:00
https://online-opendialogue0723.peatix.com/


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