#日本社会のしくみ
3割が支配する国――小熊英二『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』(講談社現代新書、2019)評
「いい学校、いい会社、いい人生」という言葉がある。受験競争を勝ち抜いて「いい学校」に通い、そこから「いい会社」に正社員(終身雇用・年功賃金)として就職すること。「いい人生」を送りたければ、〈いま・ここ〉の欲望は封印し、そうした先の目標のためにがんばらねばならない。多くの子ども・若者を加熱するおなじみのスローガンだが、それが該当するのはかつてもいまも人口の3割ていどにすぎない。
日本社会を生きる人