詩集 あまのがわ 山本純子

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バス停で会う男の子(小学二年生)。「おはよう」とかなんとかいいたくなるんだけど言わない(笑)シャイなのねーとアタシまでにやりとする。ところが、少年、急に大人の階段をのぼっちゃう。「どっち乗る?」なんて急展開!ほんの何日かの間にもこどもっておとなになるのね。(『バス停』)

温泉のカランの前に並んだ「おんなのせなか」。それに見とれているのがかっこいい。せなかって男のものだと思いがちだけど、おんなのせなかもまた。饒舌なせなか、寡黙なせなか。ぼんやり外を眺める一辺倒な私には見えなかった風景。(『あまのがわ』)

朝から続くミシンかけ。きれいにスクエアに仕立てられた文字の並びは、裁断する前の生地なのかも。「むすめのなつやすみの宿題」にぎょっとする。そうだ、私も母に一晩中ミシンかけさせたっけ。二度とするものかという恨み節はその通りになって翌年母は娘の夏どころか冬も春も宿題を手伝わず河をわたっていったのだけれど。「しゅくだいはいつかじぶんでやる/ようによのなかはできているらしい」。なるほど。(『よのなか』)

「日常の時の流れが/どこか遠くで流れているのを私は、スチール椅子のせにもたれかかって/首をかしげて眺めている」(『チャイム』)

2004年3月4日 花神社


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