#3「お節介をする」という仕事

「お節介をすることが仕事なんだ」

あるフリースクールの先生が、こんな言葉を口にしていた。僕はこの言葉がすごく心に残っている。だから、少し掘り下げて書いてみようと思う。


ある朝、A君がフリースクールに到着した。A君は着いてからすぐにゲームを始めた。これがいつも通りのルーティンなのだろうと、僕は気にも留めなかった。

だけど、そのフリースクールの先生は「ちょっと今日はいつもより浮かない表情をしているな」と思ったらしい。それをタイミングを見て、他の先生にも共有していた。

それを見て、僕は

「人の心を読む」特殊能力でも持っているのか?

と思った。何かすごく言葉を交わしたわけでもない。雰囲気と表情しか、その子の心の中を察知するための道具がない。どうしてわかるのだろう。

気になって、「子供たちに対して違和感を感じたとき、子供たちは本当に何かしらの悩みを抱えているんですか?」と聞いてみた。すると、

「何もなかったら、それが一番いい。しなくてもいいお節介な心配かもしれない。だけど、私たちの仕事はそうやって子供たちの小さなサインを見逃さないようにすることなんだ」

という答えが返ってきた。特殊能力なんかじゃない。人一番、目の前の子供と向き合っているからこそできることだった。

他の先生にその小さな違和感を共有しているのもすごいと思った。共有することで、子供たちに対しての「お節介な目」が増えて、小さなサインをより見逃さないようにすることができるからだ。
このフリースクールでは、このようにチームプレーで子供たちと向き合っていた。

「お節介をする仕事」というのはつまり
「一人一人の子供たちと真正面から向き合う仕事」
ということなんだろう。

この言葉を僕は一生忘れないようにしよう。

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