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午前、雨

反撃なる    9

約束の時間の20分前に 
さやかは着いた

こう見えて 遅刻は嫌いだ

時計台に向かって歩いて行くと
大きく手を振る人が見えた

トシヤだった

少し照れたのでわざと知らないふりをして
通り過ぎたら アレっ・・?て感じで

きょとんとしてたので
「うそうそ、ゴメン気づいてたから」
「来てくれてありがとう 待った?」

トシヤは「いや 今きたとこだから大丈夫だよ」
笑顔でそう答えてくれた

「今日は寒くない?」
私が言うとすかさず
「じゃ良かったらオレのこれ使う?」

カイロを私にやさしく手渡ししてくれた

「なんか初めてのデートみたいな感じだね」
「最近 公園にカフェが出来たんで行かない?」

「うん 行こう」

そう言って2人で歩いて行くと
真昼なのに薄暗い店内には

私とトシヤ そしてもう一人のお客しかいなかった。

ひっそりとした店内 静まった空間には
ジャズが流れ 2人には不釣り合いに思えた

そんな時 突然ひとりの女性が
立ち上がって こちらに歩いてきた

「どーも お久しぶりでーす」

トシヤはびっくりして固まってしまった

トシヤの元カノ 理奈だった

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