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午前、雨

晴天なり  14

少しばかりの時間がたったところで
店の奥から トシヤが申し訳なさそうに出てきた

トシヤ「どうかな・・」 
さやか「何が?」
トシヤ「借りた服で言うのも悪いんだけど」
トシヤ「ズボンが赤い半ズボンなんだよ」 
さやか「カワイイじゃんw」
トシヤ「これで家まで帰れないよ」
さやか「トシヤがピノキオになったw」
トシヤ「・・どうしよ・・」

さやか「しょうがないね 暖炉で服 乾かそ」

それから 店員さんにお願いをして
もう少しの間 お店にとどまる事になった

さやかはひとつ気になる事があった

トシヤの元カノの理奈の"復讐"の為に計画を練って 
仕組まれたデートを仕掛け

いわばトシヤをワナにはめたようなことをして 普通ならトシヤが怒るのも
無理はないと思えた

さやかは心に引っかかった小枝を引き抜くように
思い切って聞いてみた

さやか「トシヤ 私の事ウザくない?」
「ほんとに怒っていいからね 私の事」

トシヤは少し考えたようにして 言葉を発した

「理奈に会わせてくれてありがと ちゃんとお別れ出来なかった自分が悪いのであって さやかは全然悪くないから気にしないで」

さやか「ほんとに?無理してない?」 
トシヤ「大丈夫だよ ほんとの気持ちだから」
さやか「良かった ありがと」

さやかは思った トシヤはやさしい川のようだよ
心に刺さってた小枝を さやかは この川に投げこんだ

丁度 トシヤの服も乾きだした
ピノキオのズボンともお別れしよう。

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