【149.水曜映画れびゅ~】"Past Lives”~次の時代で、また会いましょう。~
"Past Lives”は、4月5日から日本公開されている映画。
監督のセリーヌ・ソンが全米監督協会賞の新人賞を受賞し、米アカデミー賞では脚本賞・作品賞にノミネートされた作品です。
㊗ アカデミー賞 ノミネート!!
あらすじ
24年振りの再会
ソウルで暮らす12歳の少女のナヨンと、同級生で幼馴染のヘソン。2人とも、お互いがお互いの初恋の人だった。
しかしナヨンは、両親の都合でアメリカに移住することとなる。"ノラ"というアメリカ名を付け、ソウルを旅立ってしまった。ヘソンには、ちゃんとした別れの言葉を告げることができなかった…。
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それから12年後。2人はフェイスブックを通じて再び繋がり合う。ノラは作家を目指してニューヨークの大学で、ヘソンはソウルの大学で勉強していた。
スカイプでビデオ通話しながら昔話に花を咲かせた。いつかニューヨークで、もしくはソウルで会おうと約束した。しかしその約束は果たされぬまま、気づけば連絡は途絶えてしまった。
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それからさらに12年後。お互いに36歳になった2人。作家となったノラはすでに結婚しており、ヘソンはソウルで働いていた。
ノラに会いに、ヘソンはニューヨークに来た。
24年振りの再会で、2人は”過ぎ去った日々”を語り合う。
セリーヌ・ソン、圧巻の長編デビュー作。
A24とCJエンターテイメントという強力なバックアップの下、アメリカ・韓国の共同製作で作られた本作。監督を務めたのは、韓国出身のセリーヌ・ソンです。
自身の経験を基にした、ある種の自伝的な作品として脚本を執筆したソン。その物語は世界を魅了しました。
長編作品としての監督デビュー作でありながら、圧巻の完成度でした。
特に何か大きなことが起こるわけではないのですが、だからこそノラとヘソン、そしてノラの夫であるアーサーの感情がじっくりと伝わってきました。"何とも言えない心の声"のようなが聴こえてくる感じがして、胸がいっぱいになりました。
そして、映像と音楽がすごく良かったですね。映像に関しては、こちらも派手さはないですが、なんてことのないニューヨークの風景をセピア風に映し出すことで、なんともノスタルジックな味わいを感じました。そしてそこに重なる音楽が、また良い!
次の時代で、また会いましょう。
本作のモチーフとなっているのは、タイトルともなっている"前世"。劇中では、韓国独特の考え方である"縁"として語られます。
初恋だった12歳。フェイスブックで再会した24歳。そして、お互いが自立した36歳…。
24年後に、2人が結ばれることはありません。しかし、そこまで2人が強く繋がり合えたのは、その時代に生を授かる前から、彼らにはイニョンがあったからでした。
今の時代では結ばれなくても、次の時代で、また会いましょう。イニョンがあるのなら、また必ず会えるから。
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相互フォローさせていただいているnote仲間のShinanoYamaさんも本作のレビュー記事を書いておられました。とても素敵な記事でしたので、紹介させていただきます。
ぜひ、こちらもお読みください。
前回記事と、次回記事
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これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!
次回の更新では、日本を代表する脚本家の山田太一の小説『異人たちとの夏』(1987)をイギリス製作で再映画化した作品"All of Us Strangers”を紹介させていただきます。
お楽しみに!