見出し画像

即今只今

未来のことを考えない
過去のことを振り返らない
いまを
目の前を生きる

それをあらためて意識するまで
これから先の日々に不安しかなく
これまでの思い出を慰めにし
まるで壺の中にハマってしまったように
動けなくなっていた

先日
すがるように訪ねた某寺院にて
法話を拝聴した

「即今只今」
という禅語だった

この世は思い通りにいかないことばかり
だからといって
過去に戻ってやり直すことも
未来に行って小細工することもできない

だからこそ
過去や未来に囚われずに
一日一日
その時その瞬間を精いっぱい生きなさいと
“いま” を大切にしなさいと
そういう
ありがたいお話だった

それからというもの
壺の中で固まっていた私の心は
ようやく少しずつ動き始めた

どれほど未来を不安に感じようと
この先に起こることが見えるわけじゃない
どれほど過去をなつかしもうと
いとおしいあの瞬間に戻れるわけじゃない

だから私は
“いま” しか見ない

ちょっとぜいたくに
日山の和牛こま切れ肉と
茅乃舎のだしでつくった牛丼をほおばり
あゝおいしいと全身で感じるしあわせ

会社からまっすぐ帰り
夜の時間を持て余しながら
身体に馴染んだ毛布にくるまり
あゝ心地よいと全身で感じるしあわせ

それでいいんだ

ひとりでも
何の予定がなくても
誰に必要とされなくても
私は私のしあわせを噛み締める

しばらくは
夢や目標を持てないけれど
一生のうちで
そういう時期があってもいいんだ

そんなふうに “いま” しか考えず
ひたすら目に見えるものにしか反応を示さない
私なりの修行は
続く