小説「素ナイパー」第12話
待ち望んだチャンスや出会いは、いつも忘れた頃にやってくる。しかし後で考えてみるとその前にしていた行動や思考がまるでパズルの最後のピースのように、機会やチャンスを繋げる要因になっている時がある。
直哉は待ち焦がれていた再会が訪れてから数日経った今、あのマーカスの瞼を見て幼少の頃の記憶を蘇らせた事がその最後のピースだったのだろうと考えていた。自分を過去へと繋いでくれた最後のピース。
ニューヨークのバッテリーパークに忽然と姿を現した知子は直哉の記憶にあった知子とは少し違って