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マーケティング上の認知に関して。

こんにちは。中村です。
今朝ある記事を読んで触発されたのでNoteを1本書いてみることにしました。今回は認知についてです。

まずは以下の図をご覧ください。かの有名なウォーリーを探せです。これ私が小さい頃はすごく流行りましたが最近はどうなんですかね?

ウォーリー探してみてくださいね。

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参照:https://prcm.jp/album/pib1298178493/pic/31253229

さて、皆様見つかりましたでしょうか?どれくらいお時間かかりましたか?数秒ですかね?数分かかった方もいるかもしれません、直観的にすぐ見つけた方もいらっしゃるかもしれません。

人によって結構戦略が違うと思います。きっと慣れてらっしゃる方は白と赤のボーダーをとりあえず探していくという戦略を取られたかな。または画像をある程度6つか9つくらいのブロックに分けて順番に見られたかもしれません。

さて、ここでもう一つ質問です。実は先程の画像には船がいたのですが、何隻あったでしょうか?画像を見ずにお答えしてくださいね。

少し話は逸れますが、船といえば最近小型船舶免許2級取りまして月1のペースくらいで乗っていたりするのですが、あれ面白いですね。元々車の運転も好きなのですが、特に晴れの日など開放感が半端ないです。横浜ベイブリッジの下くぐる時とか感動しかないです。

画像2

(横浜港にて。筆者撮影)

閑話休題。戻しますとヨットが2隻、大型船1隻、もう1隻は小型船ですかね?計4隻でした。

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さて、皆様の中で何名くらいの方が正解だったでしょうか?多分ほぼ全員答えられなかったんじゃないですかね?(一部特殊能力の方はいらっしゃって一度見たものを全て映像のように頭の中で再生できるらしいです、羨ましい。。)

非注意によるチェンジ・ブラインドネス(inattentional blindness)

ここでお伝えしたいことは2つあります。
①「視るや聞く」は必ずしも「覚えていること」と一致しない
②人は見たいものだけを見て、聞きたいことだけを聞く。

こちらは非注意によるチェンジ・ブラインドネス(inattentional blindness)と言われる、言ってみれば人の脳の処理上起きるバイアスです。

「そんなの当たり前だよね?」と思われたマーケターの皆様、一度冷静になって、皆様の作ったメッセージや広告を思い出してください。本当に上記2点を考慮されていますか?皆様が作ったメッセージを、「全てを見て知っていただく」のを前提にしていませんか

さて、ここで冒頭の記事についてに戻ります。今朝ランダムに記事を読んでいて行きあたったものになります。AERAの記事です。東大ニューロインテリジェンス国際研究機構で研究を続ける脳神経科学者の大黒達也さんという方へのインタビュー記事です。そんな研究機構あるんですね。

面白かったなという部分は、脳は統計学習を無意識に行っている。というところですね。

「統計学習」とは、シンプルにいえば、私たちの身のまわりで起こるさまざまな現象・事柄の「確率」を自動的に計算し、整理する脳の働き・システムのことです。 
人間は、この脳の統計学習により、不安定で不確実な現象・事柄の確率を計算し、身のまわりの環境の確率分布をなるべく正確に把握しようとします。把握できれば、「次にどんなことがどのくらいの確率で起こりうるのか」を予測しやすくなるので、起こる確率の低い現象・事柄はスルーし、起こる確率の高い現象・事柄だけリスクととらえて、注意を向ければよくなります。(記事本文より。太字は筆者)
学校などでの学習が「意識的」に行われるのに対して、「統計学習」は、「無意識」のうちに「自動的に、勝手に、脳が学ぶ」といった意味に近いものです。(記事本文より。太字は筆者)

ふむふむ。なるほど。機械学習の話に近いですね。基本脳はキャパシティーもそれほど多くなく、負担をかけない方にバイアスがかかりますから、(中野信子先生曰く脳はサボりたがり屋)、そうするためにも常に無意識のうちに統計学習を通して最適化がかかるような状態なんでしょうね。そして、最適化がかかっている中でのいわゆる予測内もしくは予測誤差範囲内なら注意をしない、即ち脳に負担をかけないということが行われていそう、結果として注意を向けない・記憶しなそうです。

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実際に本文で大黒氏は以下のようにも述べています。

一方で、(3)の「思いがけずプレゼントをもらって嬉しかった」のように、予測と違った現象が、必ずしも悪いわけではありません。予測とはずれて、ガッカリすることもあれば喜ぶこともあります。いずれにしても、「統計学習による予測と異なる出来事が起こると、知識がアップデートされ記憶として残りやすい」というだけのことです。(記事本文より。太字は筆者)

この辺はデータ分析時にインサイトを探すには、外れ値を探すって話に似ている気もしますね。その辺は前に記事に書いたので興味があればこちらをご覧ください。

言い換えれば、自分たちのメッセージが、脳の統計学習の予測内や予測誤差範囲内である場合、人の注意を引くことができず、記憶に残すのも難しいということが言えるかもしれません。

こう考えると前職P&Gで学んだ良い広告基準の一つであるDistinctivenessは予測・予測誤差を超えるために必要だったのだなとようやく自分の中で腑におちました。

また、別の基準の一つであるSimpleというのも、チェンジ・ブラインドネスや脳への負担ということを考えるととても重要な良い広告の基準になると理解できますね。


まとめ

まとめると、より人の注意をもらい、記憶してもらう、結果ブランドやブランドメッセージを認知してもらうためには、

脳の統計学習の外れ値を狙うようにDistinctiveであること
脳の処理キャパを超えないようにSimpleなメッセージであること(意外とメッセージいっぱいの「自分が言いたいこと詰めすぎな」広告って多いと思います)今やTVですらながら視聴で注意を引くのが難しいので、よりSimpleでパワフルなメッセージが大事になりそうですね。
③人は見たいものを見、聞きたいことを聞くので、常に消費者の中で自分のブランドがどう認知されているのか(ブランド認知ではなく、メッセージ想起)を理解するのは重要。ブランドイメージ調査は有効。(認知だけでは足りないんじゃないかと思います)

ということが言えそうです。


以上朝読んだ記事から触発されてちょっと備忘録がてらまとめさせていただきました。朝から長文読んでいただきありがとうございます。何か一つでも参考になれば幸いです。Twitterでよくビジネス系の投稿していますので良ければフォローしてくださいね。(nakamuraj0521)。良ければ感想をTwitterなどでいただけたら嬉しいですし、励みになります。

追伸① 以下の記事は脳科学者の辻本悟史先生によるものですが秀逸だと思います。もしまだの方は読んでみてください。

追伸② こちら先年の年末に出た、本ですが非常にわかりやすかったです。(ゴールデンウィーク前に読んでいたら多分紹介本に入れさせていただいていました)。よろしければ読んでみてください。

ではでは。

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Junichi Nakamura
サポートありがとうございます。 何冊か書いてみてわかったのですが、note書くのかなりの熱量と時間がいるのでサポートは励みになります。