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鹿毛康司さんの「心」が分かるとモノが売れるは本質的なマーケターの心構えを問う本だと思うというお話。

とても不思議な本に出会った。私は読書は好きだけど、あまり感想文を書くことはない。でも、今回の本はいろいろと考え・思うきっかけになったので備忘録的にNoteに残しておきます。

その本はミゲルくんのCMの大ヒット含め多くの結果を出されてきたマーケター 鹿毛 康司 さんの『「心」が分かるとモノが売れる』。

「人は無意識で判断している」その上でどうインサイトを理解し、マーケティングフレームワークなども使いこなしながらビジネスを作るか。鹿毛さんなりの過去試行錯誤されて学んできたコツや想いが詰まったとても学べる良書。

ここまではいい。インサイト・人間理解とそれを起点にしたマーケティングという意味でも共通点はかなりありつつ表現が違うので学べたし、同時にクリエイティブへの転換方法や企業人格など新しい気づきもいっぱいある。

例えば以下のような名言がある。

既存のマーケティング手法を使ってお客様の心がどの辺りにありそうかアタリをつける。成功の突破口が欲しいとき、私は機能と情緒価値に加えて、「心の価値」を加えるように心がけている
物事には順序があり、一足飛びにインサイトを見つけようと焦ると思い込みに邪魔されてかえって真理が遠ざかる。
人は知らず知らずのうちにお客様を「生身の存在」ではなく、無機質なデータの塊に置き換えて理解したつもりになってしまう。お客様を自分たちの都合の良い存在として扱ってしまう。
 行動観察やデプスインタビューはお客様の潜在意識を知るきっかけでしかない。 観察や会話を通じてお客様の暮らしやその人生のありように入り込み「自分の心」も使いながらインサイトを探し当てる必要がある
予算を超える成果をあげられた秘密は徹底したお客様の心のツボに基づいた取り組み。
クリエイティブとはクリエイターによるアート作品ではない。マーケティング戦略を現実の施策に落とし込むツール。

でも、何かモヤモヤする。
鹿毛さんの言葉を借りるならば、心の周波数がズレている

実は私は鹿毛さんをお名前や評判しか知らない。すごい人だというのは他のマーケターの先輩からもお伺いしていたし、マーケティングの鉄人として富永さんと凄いセッションを繰り広げたのも知っている。でも、実際にお会いしたことがない。

鹿毛さんと心の周波数を揃えてみたい。そのためにいろいろ記事を調べてみた。Agenda Noteの過去連載を全て読み、徳力基彦さんの書いたBlogを読み、グロービスでの講演ビデオをYouTubeで見て、果ては高校ー大学時代の話をしていたWantedlyの記事も見た。鈴木会長の記事も読んだ。

そこには失敗があった。
そこには挫折があった。
そこには葛藤があった。
そこには出会いがあった。
そこから希望に変わった。
そこから信念が作られた。

きっとこの本は単なるマーケティングのノウハウ本ではないのだと思う。この本はご自身の生き様と強烈な挫折からくる信念を書き残した本なのだと思う。鹿毛さんの信念の表明なのだと思う

そう考えて読み直してみると全然違って見えてくる。
モノを売るのが目的ではないのだ。それはあくまでお客様に対する慈愛と励ましの結果なのだ。究極とも言える共感力やSTPや4Pは必要だけど方法論でしかないのだと思う。

不思議から始まり、知れば知るほどとても強烈な本でした。当人にお会いしたことはありませんが、少なくても私の脳の中に仮想の鹿毛さんが存在するようになりました。

ご本人を過去を知ることを含めおすすめです。特に若い人たちには是非読んでほしいマーケターとは誰かを問う本質的な1冊だと思います。

その他参考資料:


サポートありがとうございます。 何冊か書いてみてわかったのですが、note書くのかなりの熱量と時間がいるのでサポートは励みになります。