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マーケッター向けの記事や書籍というのは

職業柄、インプットとして
次世代マーケティングの本や記事を
ちょくちょく読みます。

なるほど新しい消費トレンドやらカルチャーの芽生えを
予感させるような内容を、
主に海外の先行事例をファクトとして提示する。

これはこれで新しい情報として学びは多いのですが、
この手の本や記事を何年も読み続けて
少しモヤを感じはじめたのが
どういう読者を対象にしてるのかなー
ということ。

敢えてマーケティング用語を出すなら
マーケッター向けの読み物は、どういうパーセプションチェンジを狙ってるのかな、と。

ありていに言うと、
「また新しいキーワードで
新しい派手な取り組みの提案ですか?」

かつてはソーシャル、
デジタル、
そして今度はパーパスとか
サステナビリティですか、と。


非マーケティング部門の人間、
マーケティング部門を
コンサルティングさせたいただいてる人間として思うのが、

マーケッターの方というのは、
新しい施策、アクション、キャンペーンを打つことに
目が向きやすい印象です。

とにかく新しくてインパクトのあるアクションを取りたい。
それを実践している人たちが凄くて、偉いと考えている。

それはそれで大事なプロセスだし、
やっていて楽しいことではありますが、

アウトカム(成果)、抜け落ちてませんかね?その点大丈夫ですか?


非マーケティング部門の方、経営者含めて、
マーケッターに常に期待していることはシンプルで

「もっと自社製品を買ってくれるようにしてくれ」
ということです。

もう少し丁寧な言い方をすれば、
自社産業の関心層を増やし
自社製品の関心層を増やし
購買動機を作り
購入者にはよりファンになってもらう、
そういうマーケティング活動の必要性は認識しつつ、
どこまでいっても最終的には
「で、うちの利益にどれだけ貢献してくれるの?したの?」
ということです。

我が社をサステナビリティに資する会社だと
世に訴求するべき?
そのためにこんな取り組みをしてみるべき?
ええ、ええ、わかりますよ。
世の一大事らしいですね。
で、いくら使いたいの?
それ使った分、売り上げ伸びるんだよね?

マーケティング活動が、財務諸表上では
B/SではなくP/L上にのみ登場するのは、
そういう期待値なのです。
(販管費。事業の売上と利益に資するためのコストです)


野心的なマーケッターの方は
この捉え方にモヤモヤを感じているはずです。

なぜなら本来のマーケティング、
市場を作り、育むという
ダイナミクスのリードタイムは年単位。
10年20年かかる場合もある。

単年のP/Lで計上されて評価されて良いはずがない。
この取り組みは投資、資産として扱われてほしい。

賢明なマーケッターの方は、このキャズムと向き合っていて、ここを乗り超えたいと思っている。

にもかかわらず、マーケッター向けの処方箋なるものとして書かれる読み物は
昔も今も変わらず

「これから流行りのコンテクストはパーパスでサステナビリティだから、それに基づいたこんなキャンペーンをしましょう」
なのです。

これではマーケッターは救われない。
広告宣伝費の締め付けに対し、戦えない。

世の中や競合から劣後しない程度の取り組みしかさせてもらえないと感じていたとしたら、
ビジネスへのコミットメントがないから、
そのストーリーテリングが足りないから。

まだCSV(Creating Shared Value)とか学んだほうが得られる学びは多いと思います。

ただ、残念なことに、多くのマーケッターはそういうカネの話が好きじゃない。
もっと「クリエイティビティのあることがしたい(手触り感ある創作活動に関わりたい)」



営業部門は1円でも多く稼ぐために汗水流し
製造部門は1つでも多く、1円でも安く製造するために汗水流し
調達部門は1円でも安く資材を調達するために汗水を流し
経営者は1円でも良く評価される財務状況を作るために汗水を流してます。

マーケッターの方も、
そんな彼らと同じ土俵でプレーできるように
助けてあげたいと、思うのです。

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