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オードリー・タンって何者?

最近日本でも話題になっている、台湾のオードリー・タン氏。

35歳にして台湾のIT担当大臣になり、近年ではマスクマップの開発によって、台湾を新型コロナウイルスの猛威から見事に防ぎ続けており、日本でもよく注目されるようになっています。

いったい彼女はどんな人物なのか?(ちなみに”彼女”といっても、公式な性別は”無”とのことなので、”彼”も”彼女”もどちらも正しくはない)

色々と彼女のことを知りたくなったので、こちらの本からいくつか引用させてもらいました。

シビックハッカーとは

タン氏の業務上の役割は、「シビックハッカー」、「政策協働者」、「デジタル大使」、「マスコット」の4つだそうです。

シビックハッカーという言葉は初めて知りましたが、シビックハッカーとは、「政府が公に公開しているデータなどを活用して、市民(Civic)に使いやすいようなシステムやアプリを作る人たちのこと」らしいです。例えば、最近では新型コロナウイルスの感染者数推移や、各都道府県の病床状況マップなどは、シビックハック的なもの一例と考えると、わかりやすいかもしれません。

タン氏が、IT担当大臣として、シビックハックが行われた例がまさしくあのマスクマップの開発でありました。ちなみにマスクマップってニュースでは聞きますが、名前だけ聞いてただけで、実際どんなものか見たことがなかったので調べてみると、

この「藥局口罩採購地圖」というのが、そのことのようです。自分は、中国語が読めないので詳しくはわからないのですが(そもそもこのサイトであっているのかも自信ないですが)、薬局などをクリックするとマスクの在庫状況などがわかるようです。とても便利ですね。


元々は、台湾のシビックハッカーのコミュニティーではある「g0v(零時政府)」で、コンビニ版のマスクマップがすでに開発されており、その存在をタン氏が見つけ、範囲を拡大した薬局版マスクマップの作成を依頼して、このマスクマップが出来上がったそうです。タン氏は、役割でいうところの「政策協働者」の立ち位置ですかね。こういった、市民が欲しいものを、すぐに形にできる環境づくりが、タン氏のようなシビックハッカーでプログラマーが政界にいる利点でしょうね。


人に寄り添うこと

タン氏の印象について、とても人に対して寄り添う姿勢を強く感じます。特に、タン氏自身、相手の意見をよく理解することに努めているようで、

本書にも、タン氏の考えに関してこんな言葉が書いてあります。

異なる考えの相手に対してすべきことは、説得ではなく、相手の立場をより深く知り、その立場から別の人と口論ができるくらいまで全面的にその考えを理解することだ
徹底的に理解し、ゼロサム(勝者と敗者が存在する)を共和(両者が共に勝つ)にしなければ、互いに納得できる共通認識に達することは難しい

タン氏の考え方は、特にこの世界には境界など何もない、という印象を受けます。男性か女性かなどという2元論的考えは、ただの記号でしかないし、「男性らしさ、女性らしさ」、「男性はこうあるべき、女性はこうあるべき」などは、その方が多数派に近いというだけで、正しい・正しくないの問題ではない。だからこそ、性別で自分のすることに意味をつけて欲しくないから、トランスジェンダーという道を選んだのかもしれません。

また、勝者・敗者という概念も、境界を作るからこそ、その中で勝ち負けが生まれてしまいます。人は、この世に生を受け、産声を上げた瞬間には、すべての可能性が等しく存在しているはずです。しかし、そこから成長をするにつれ、いくつかのルートが知らぬ間に消えていき、だんだんとルートが少なくなっていく。そうして、何かしらの固定されたルートに乗ってしまうと、とたんにそのルートの中で、多数派・少数派の概念が生まれ、多数派が正しい、常識であるという空気感が生まれます。その結果、その正解沿って行動できる人間が勝者で、道を外れた人は敗者であると烙印を押されてしまう。その概念は、あくまでそのルートの中だけのことなはずなのに。

いかにして外の世界に目を向けられるかが、やはり大事ですね。


未来は今この瞬間に

タン氏の未来に対する考え方は、アメリカのSF作家のウィリアム・ギブスンの下記の言葉を引用して書いてあります。

The future is already here, it’s just not evenly distributed yet.(未来はすでにここにある、まだ均等に行き渡っていないだけだ)

未来を作るのは、全て今の行いの結果である。今があるから、未来が決まる。特に、テクノロジーにおいては、SF映画のような技術が出現するのは、何も、何十年も先の未来の話ではない。それは、すでに今この世界のどこかですでに誕生しているのかもしれない。少なくとも、未来に実現するテクノロジーは、その研究は何十年も前から行われているだろうし、限定的な技術ならすでに実験で立証されているかもしれない。我々が、それを新しいテクノロジーだと理解するのは、世界の人々にある程度普及し、例えば製品としてそのテクノロジーが我々の認識できる領域まで降りてきて、初めて新テクノロジーだと認識できる。ここまできた状態が、ウィリアム・ギブスンの言う、ある程度均等に行き渡った状態なのではないかと思う。

しかし、そのテクノロジーは世界に均等に行き渡った瞬間に出来上がったわけではなく、その大元はまさに今出現しているかもしれない。だからこそ、未来は未来にあるのではなく、すでにここにあるのだと。

これはとても良い言葉ですね。


ネット世界に貢献しよう!

とにかく、タン氏の生い立ちや行動理念、哲学などを読んでいると、モチベーションがすごく漲ってきます。とてもためになる考え方がたくさんあり、自分自身もまだまだ頑張らなければ、と思うばかりです。上記で取り上げた本は、タン氏について非常によくまとまっており、読みやすいのでとてもおすすめです。

最後にタン氏の名言の一つを引用して終わります。

ネットの内容をダウンロードするだけの人になるのではなく、自分の作品をアップロードして、ネットへの貢献者になろう!

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