見出し画像

知るだけで未来が変わる?比例代表選挙の投票用紙に「個人名」を書こう

選挙で投票用紙を手にしたとき子供の将来を思い描きながら、私たち世代が抱える問題が解消され、先が明るい日本になってほしい——その願いを叶えてくれるだろう候補者の名前を書いている。
 
社会人になってから10年以上が経ち、結婚をして子供が産まれた私はちょうど働き盛りの世代であり、自分の住む日本の未来を作っていく世代だと日々の生活や仕事でとても実感している。しかし、これからの日本の未来をつくっていく私たちが生きやすい世の中なのかというと、正直なところ疑問に思うことはたくさんある。
 
コロナ禍でも、休園・休校判断からマスク着用・隔離の方法まで子ども、学生、現役世代のベストになっているのだろうか?という状況は多々あった。少子化と叫ばれているのに子育て世代の負担は大きく、スマホが当たり前の時代になかなかデジタル化も進まない。
 
私が書いた投票用紙に込められた願いは、もしかすると後回しにされていないだろうか。実際に「選挙に行って、世の中は良くなるのか?」という若い世代の声をたくさん聞く。それは票を入れた候補者が落選してしまったという単純な事実よりは、私たち世代が望む社会がスルーされ、ないがしろにされているように感じているからではないだろうか。
 
私たちはくじ引きをするように立候補者を選んでいるのではない。私たちの世代が社会で活躍でき、自分たちの子供にとって未来を感じる世の中になるような政策を掲げている立候補者を選んでいるはずだ。
 
私たち18歳から30代は投票率が低く「選挙に行かない」と言われている。しかし実際は、日本人口全体で見たときに、この層は人数が少なく、私たち世代の抱える問題を解決してくれる候補者を国会へ送り届けられていないのがリアルな問題なのだろう。
 
この夏には参議院選挙がある。どうにかして、私たち世代の声を託せる候補者を私たちの手で国会に送り出すことはできないだろうか。

数の少ない18歳~30代の有権者たちが、1票の価値を高める方法がある 

「若者の投票率」が低いと言われているのと同時に、私たちの世代は選挙という空間のなかではとても小さいのが現実だ。
 
人口が1300万人ほどの20歳から30代までの投票率は40%で520万票ほど。5000万人を超える60歳以上の投票率は65%で3250万票。同じ数になるために全員が投票してもまったく足りないのだ。ということは私たち若者の声を候補者に託したくても、国会に送り届けることが現実的に難しいことなのだ。
 
リアルな数字だからこそ、「やはり若者には政治は変えられない」のかと思った。そして、自分の子供が私と同じ世代になり、社会に出て、家族を持ち、子供ができたときに、結局は私たちがいま直面している問題と同じことで苦しい思いをするかもしれないと想像するととても絶望的になる。
 
どうにか、子供たちのためにもそれだけはなんとか変えることはできないのだろうか。
 
選挙制度を詳しくみていくうちに、「参議院の全国比例はもしかすると、そんな絶望的な状況をひっくり返せるかもしれない」と気づいた。
 
選挙で投票所に向かうとふたつの紙を渡される。自分の住んでいる地区の立候補者、比例で「政党」を書く2枚。小学校や中学校でも選挙の仕組みは学んだはずで、比例には支持する「政党」を書くことで、その政党が選んだ比例の候補者が順に選ばれていく。支持政党全体の応援にもなるのだと思っている人が多いと思う。
 
しかし、実はこの参議院選挙の全国比例候補の紙には比例の候補者の個人名を書けることを知っているだろうか? 

政党の名前ではなく、比例の代表として名簿にある候補者個人の名前を書くことで、政党でなく、特定の個人に投票したことになるのだ。そして、参議院では、その政党が選んだ候補者が順番に選ばれるのではなく、そうやって書かれた個人の名前が多い順番に当選していく。
 
さらに言えば、選挙区とは関係なく、全国どの地域からでも特定の候補者に投票することができる。むしろそのためにある選挙と言っても良いくらいだ。(実際のところ、「全国の郵便局を代表する候補者」とか「労働組合を代表する候補者 」が全国の組織に支えられて立候補し戦う選挙であるという実態もある。)
 
ということは、私たちの世代もこの仕組みを利用すれば、私たち世代が抱えている問題を解決してくれるだろう候補者を選び、国会に送ることもできるのだ。
 
自民党の例をあげると、2019年の参院選では1200万人の方が比例の投票用紙に「自民党」と書いている。一方で、比例代表の個人の名前での得票では13万票を獲得した候補者が当選をしている。「自民党」と書いている人のなかで100人1人、たった1%の人が特定の候補者の名前を書くことで、その個人を当選させることができる。
 
比例代表からの立候補者で私たちの声を代弁してくれる人を、自分たちそれぞれが住んでいる選挙区の候補者では当選させることが難しくても、「全国の若い私たちの世代を代表する候補者」を全国からの得票数で国会に送ることができるかもしれないのだ。

もうすぐ、参議院選挙がある。街中にある選挙ポスターだけでなく、ぜひ比例代表の候補者にも目を向けて欲しい。選挙の告示がされるとインターネットでも候補者が重点を置いている政策がわかるはずだ。
 
正攻法ではないのかもしれない。でも、この参議院選挙の比例選挙の制度を私たち世代で ハックしたら、私たちの声を国会に届けることができるのではと私は可能性を感じている。
 
私たちの世代は、災害、不景気、パンデミック、常に厳しい時代に生きてきたけれど、「失われた時代の人々」ではない。厳しい時代を、それでも大切な人たちと一緒に必死で生き抜いている世代なのだ。そして、これからの未来を作っていく、背負っていく世代だ。私たちの声をきちんと政治に届けるその一歩を私たちの手でつくっていきたい。


この記事が参加している募集

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?