マールカフェの店長さん

ゲストハウスを探しに行って…

インスピレーションで始まったマールカフェ。

おかげで、無事に5歳になれました。
ありがとうございました。

マールカフェのコンセプトは
「地元に根付き、100年続くカフェ」でして

…残り95年となりました。

オーナーの
「オレ、このカフェは
100年しかやらないから！」

を最初に聞いた時は
頭の上に『ハテナ？』ってなりましたが、

今のところ順調です。

しかし、オープンした当初は、
もちろんこの五年も心配でした。

オープンするまでって本当に楽しいのですが、

いざオープンしてみると問題点山盛りという

開業あるあるに当然マールカフェも陥ります。

売上目標は

「ランチで五万、
お茶で五万、
ディナーで五万だ！」

と息巻いていた準備期間中も、
始まってみれば、

「お茶で500円」みたいな日が続いて、

このテンションのギャップに
心が折れそうになったりするあるあるですね。

当時マールカフェを担当していたのは、
オーナーと社員中川さんという
『鉄のメンタル』を備えたお二人様でしたので、
このあるあるには屈しませんでしたが、

ただ、焦りはあったようです。

マールカフェにかかってきた
問い合わせの電話に対して、

オーナーは、

「お電話ありがとうございます、
麻雀ポッチ友添です。」

と堂々とポッチのマニュアルで
受け取ってしまった後に、

受話器を置いてから
「あぶねぇ！」と宣ってみたり。

社員中川においては
もうごちゃごちゃになってて

「お電話ありがとうございます、
カフェ、マール、中川です。」

といった、とんちんかんなことを宣っておりました。

確実に焦ってますね。

それともう一つの問題としては、
社員さんは
三店舗経営を行ったり来たりしており…

一つの店舗の管理者として
固定されてなかったというのもあるでしょう。

この体制に限界を感じ始めた結果…

マールカフェに

ようやく

店長を置こうということになりまして…

白羽の矢が刺さったのが…

ところで、
皆さんはカフェの店員さんに
どんなイメージを持ってはりますでしょう？

シュっとした男性だったり、
なんかふんわりした女性だったり、

そんな
イメージがあったりしませんでしょうか？

僕はちょっとそう思っておりました…

そんな中生まれたマールカフェの店長は、

ベトナム空港に到着した瞬間、
バスの送迎の案内に立ってそうなこの男。

名は朝田。

趣味は麻雀。

特技はレスリング。

初めて付き合った女の子は、

ベネズエラ人のサブリナ！！

そんな彼でした。

理由はレスリングのエピソードを聞かされたこと。

彼は高校時代から麻雀を嗜む、
バリバリの帰宅部やったのですが、

高校三年の時の同級生が
レスリング部で部長をしており、

「ウチのクラスの朝田に
レスリングやらせられたら…
おそらく…レスリング部史上
最強のメンバーが出来ます…！！」

と、顧問の先生に打ち明けたのをきっかけで

アツいアツい顧問の先生の
アツいアツい勧誘が始まったのです。

アツいアツい先生に心打たれた彼は…

大会だけの入部を決意し、

入って三日で
部内で最強。

そして、
大阪大会二位。
近畿大会六位。

という帰宅部では
考えられない強さを発揮して

全国へと行きました。

しかし全国大会の壁はやはり厚く、

ベスト32まで勝ち続けたものの…

彼の体はすでにボロボロ…。

対戦相手にボッコボコにされている中…

顧問の先生が

涙を流しながら…

タオルを投げ込んで…

彼のレスリング生活を終えました。

その時の先生の一言。

「すまん！

お前はタオルを投げ込まなければ
いつまでもやる男やった。

試合中にどんどん強くなるお前に
期待をしてしまって…

判断が遅れた。

本当にすまなかった！！」

アツい！！

どっかの漫画の中のセリフとしては
もう手垢つきまくってるような一言でしたが、

これには朝田くんも

まるで三年間やり切ったかのような顔をして

涙を流さざるを得ませんでした。

大会前にちょっと参加してきただけのくせに。

というわけで、
マールカフェは店長の人選に
カフェらしさより『根性』を選んだわけです。

タオルを投げるまではヤメない男。

この後、
マールカフェはこの『根性』に救われます。

突然訪れる諸々の事件…

これによりオーナーはもちろん
社員中川もマールカフェを異動となり、
社員不在の店舗に。

加えて
タイミング悪くやってきた人材不足の波！

この事態を彼は『根性』で
乗り切ってくれました。

もしかして分身でもしてるんじゃないか？
という働きっぷりで

『シャカリキ店長』という
訳の分からないあだ名を付けられながら

マールカフェを
立派に切り盛りしてくれたのです。

さすがに「あれはしんどかったっす」と、
今になって笑いながら言ったりしてくれるけど…

しんどそうなの…知ってたよ。

でも、タオル投げんかったら
いつまでも戦い続けるのも知ってたから…。

ごめんね。

レスリングの話してくれてて…

ありがと。


そして、我々は、
マールカフェの店長を誇りに思ってます。

ですから…これには、
まるで三年間店長を勤め上げてきたかのような顔をしてくれても大丈夫ですよ。

30歳で急に口にピアス開けてきたけど。

30歳で彼女にフラれたけど。

30歳でアルバイトやけど。

それでも、誇りに思ってますよ。