【エッセイ】寂しさと打撲の関係性、あるいはレモンサワーの安っぽさと孤独について

2021/1/15

 昨日の夜はなぜだかすごく寂しかった。寂しくて誰かに会いたくて、誰かと話したくて。音もなく降り積もる雪みたいに寂しさがつのった。かりそめの温もりと愛情を求めてぬいぐるみを抱きしめてみたけど、当然なにも言ってくれなかったです。

 アンパンマンに至っては黒目がちのつぶらな瞳で僕を見つめて、ニコニコ笑いながらアンパンチしてきた。とても痛かったよ、心が。

 だから、仕方なくお酒を飲んだんです。レモンサワー。安いお酒は安っぽい味がちゃんとして、今の自分に相応しいなって思いながら飲んでたらやっぱりすぐに酔っ払えました。

 酔っ払うとろくなことがありません。なので誰にもお勧めしないんだけど、みんな勝手に飲んで勝手に酔っ払ってるみたい。

 僕が酔っ払って何をしたかと言うと、タバコ2本に火をつけて咥えて「牙ー、ガオー」って一人でやったり、電信柱に戦いを挑んで足の甲にアザを作ったりしてました。

 ねっ?みなさん酔っ払っちゃダメですよ?

 それで今日、酔いも覚めた頭で考えてみました。寂しさってどこからやってくるのかって。胸の奥から、間違いない。脳が作り出した幻想。そうかもしれない。

 僕はそれなりに幸せな人生を歩めている方だと思います。あまり他人と比較とかってしたことないし、するつもりもないんだけど、平凡なりに幸せを感じて生きてます。それなのになぜ昨夜は急にどうしようもなく寂しくなったのか。しかもその寂しさは突然、交通事故みたいに理不尽にやってきたんです。なぜだろう。

 答えは、人間って結局孤独な生き物だから。一人で生まれて一人で死んでいく。どんなに愛し合った二人でも一人になれない。セックスしてる間だけは物理的に繋がっていられるけど、心が一つになるわけじゃない。そう考えるとセックスって二人羽織をしてるみたいだ。滑稽で笑えてきます。くすって感じで。

 だからこれからも僕は孤独と寂しさを抱えていきます。それが生きるってことだから。今日もレモンサワーを飲もう。今夜は手の甲にアザを作ろう。バイバイキン。

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