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間違って使って失敗しちゃうスモールスタート!その本当の意味

おはようごございます!眼から鱗という会社で経営者の顧問業『あとおし』を提供している長島です。今日は”スモールスタートの本当の意味”について書いてみます。(今回から文章のテイストも大きく変えてみます。昨日までとは別人な文章かも。。ですが、お付き合いください!)

間違っていませんか?そのスモールスタート

”まずは小さな一歩から始めましょう。””スモールスタートですよ”大きな改革に着手する時に、スモールスタートという事で比較的ハードルが低い領域から始めるケースって多くあります。でも、本当は改革したい本丸があるのに、芯を食わない改革に着手するのは遠回りに感じませんか?もしも遠回りだと思っているなら、そもそもそのスモールスタートが間違っている可能性が大きいです。

この記事はニュースのザッピングをしている中で出会いました。改革の成功パターンをまとめた内容です。最近流行りのDX化で成果を上げた改革事例として取り上げられています。

この記事でも出てくる”スモールスタート”。こちらの事例では、社員のスケジュールが書かれていたホワイトボードを撤去してデジタル化に着手したことをスモールスタートとしています。簡単にできて社員にもインパクトがあって、導入編として最適な一手としてスタートしています。

ただ、記事を読むと”スモールスタート”と言いながら結構な改革をしています。PCが一人一台用意されていない環境だったので、まずは全社員のPCを揃えています。次に、社員がPCの使い方が分からないから使わないという状況を避けるためにヘルプデスク的なサポートを社長自らが徹底します。その環境を整えてから、スケジュールのデジタル化に取り組みますが、それでも新しい方法を毛嫌いして入力しない社員がいたので、最後にはホワイトボードを撤去して、入力しなければスケジュールを管理できない環境にしています。

そこまでして、やっとスモールスタートの一手をクリアしているのですが、これはスモール何でしょうか?記事の中に赤裸々に語られていすが、こうした改革を進めていく中で、ベテラン社員を中心に、変化に適応できない人が半数近く退職しています。改革に共感した恐らくは比較的若手の社員が残った結果として、社長が理想とした状況になったんだと推察します。

スモールスタートの正しい定義

”スモールスタート”という言葉から想像するのは、【簡単】【敷居が低い】【すぐにできる】という様なニュアンスが多いと思いますが、本当でしょうか?先の事例で考えると、PCを一人一台の環境にしたり、使い方が分からない社員のサポートをしたり。でも上手くいかないからホワイトボードを撤去したり。。その上で改革を進めたら社員半数が退職したり。これってスモールスタートという範疇を超えているって感じませんか?

スモールスタートという言葉を正確に定義するとしたらどうなるでしょうか?

大きな改革を行うための最初にできる一歩

これがスモールスタートの意味です。雪だるまを作る時、最初に核となる小さなお団子を作り、それを転がして大きくしていきます。芯が無いと雪だるまはできないので、どんな雪だるまも最初は小さな雪の塊です。最初から大きな塊を雪をかき集めて固めても、綺麗な丸のだるまにはならないし、そちらのアプローチの方が時間もテクニックも必要です。

小さな子供でも大きな雪だるまを作ることができるのは、小さな塊を転がして大きくするというスモールスタートがあるからです。ただ、雪だるまを作るには手袋などの基本装備が必要だったり、大きめの雪だるまを作るのであればある程度の積雪が必要だったり、低めの気温の状況が必要だったりと条件があります。芯となる小さな雪の塊は作れたとしても、自分が思い描く理想の雪だるまにするためには、そうした条件がクリアできていないといけません。帽子にするバケツや顔のための炭や石。手にする枝など、完成に向けてはさらに条件が加わります。それが準備できない環境だと、中途半端な雪だるましかできません。

ゴールに辿り着くための小さな一歩

スモールスタートを行うのは、大きな改革のための一歩目です。だからスタートを切る前には、改革後のゴールイメージが無いといけません。そしてそのゴールに辿り着くために、どの様な環境や条件が揃っていなければいけないかが整理されている必要があります。先の記事の事例で言えば、”一人一台のPC環境”や”社員全員が入力できる状態”は必要な条件です。理想的なゴールがあり、そのために最初にクリアしなければいけない条件や環境を想定して、そのために着手しなければいけない最初の小さな一歩。それがスモールスタートの本当の意味なんです。

スモールとは、改革全体から考えると比較的小さな一歩という意味であり、【誰もが、簡単に、まずはテスト的に、ハードル低く】行う一歩、という意味ではありません。ここを勘違いしていると、誰もができる小さな一歩だけど、本当にやりたい事とは無関係で今すぐできるなんちゃってな一歩に着手することになってしまいます。”簡単にできる”が重要ではなく、改革の本丸に近づくための核となる一歩の中で、比較的着手し易い一歩目がスモールスタートです。

先の事例でPCを配布したのは、社員側にお金面の負担はなく、また環境としては良くなっているイメージがあるため、会社として設備投資の余力があるのであれば比較的着手し易い一歩目になります。この一歩目の目的は、社員にデジタルの環境に慣れさせる。PCなどの機器への毛嫌いを無くして、当たり前の環境にするなどがあったかと思います。

それでも改革を推し進めていけば現場からの抵抗に合い、付いていけない社員を半数失うという結果になっています。それでも社長に改革のイメージがあったから、簡単に着手できる一歩目から歩みを止めずにゴールすることができています。

スモールスタートを成功させるためのポイント

デジタル化以外にも、会社には多くの改革を断行するタイミングがあります。そんな時、”スモールスタート”という言葉の落とし穴にハマってしまうことがあります。スモールとは改革に向けての小さな一歩であり、何でも良いからまずはやってみよう!の一歩ではありません。

・改革のゴールは明確にイメージできているか
・その改革を進める上で必要な条件は洗い出せているか
・核となるステップを定義できているか
 (最低限クリアしなければ次に進めない条件や環境)

何に向けてのスモールなのか。その一歩は理想の未来へとつながっているのか?スモールスタートの次のステップが明確になっているのか。何を実現できたらスモールスタートができたことになるのか。その事をイメージして、スタートを切ることができたら、改革の成功確率は引き上がります。

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