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自分の会社を俯瞰で見る方法!シンプルだけど使える経営のフレームワークのご紹介

経営者が自社を俯瞰して見る際に、意識した方が良いフレームワークがある。とてもシンプルな構造だが、経営者のご相談の際にはいつも意識をしている。前職のコンサルタント時代に教えて貰った考え方であり、今でも参考にしている。

型にはめて考えるというのは、あまり意識しないようにしている。マネジメントのあり方やその時々の経営スタイルなど、新しい言葉が時代と共に誕生している。それ自体は境目を決めて現状の自社のスタイルを分析する上で役立つことなので否定はしない。ただ、型や枠組みに囚われてしまうと、時流の変化による環境適応力が落ちてしまうと感じる。参考にはするが囚われてはいけない。

シンプルだが使える経営のフレームワーク

今回ご紹介するフレームワークは、シンプルな構造だからこそ、自社の現場を分析するのに非常に役立つものである。経営をバランスとして捉えて、どこに課題があるかを示唆してくれる。

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これがいつも意識している経営のフレームワークだ。会社は常に外部環境の影響を受けている。外部環境の変化を敏感に捉えていなければ正しい決断ができなくなる。まずは外部環境を把握しておくことが重要である。

そして中小企業の場合は特にそうだが、経営者の実現した夢が重要である。最近の言葉に置き換えると「パーパス(目的)」になるかもしれない。経営者が実現したいと考えている夢が経営の根幹となる。

その経営者の夢を実現するために会社としての行き先を示すビジョンがある。夢という曖昧な概念では組織を動かすことはできない。抽象度の高い夢を現実に近づける方向性を示すものがビジョンになる。経営者の大きな仕事の一つが、この経営者の夢である理念を定めること。そして、それをビジョンに落とし込んで組織に浸透させること。これが何よりも優先される仕事になる。

このビジョンを実現するために、ビジネスモデルと人と組織がある。ポイントになるのはビジョンを実現させるためのビジネスモデルであり、そのための人と組織であることにある。ビジョンが曖昧であれば、ただ稼ぐためのビジネスモデルや人手のための採用を繰り返してしまう。この根幹にある経営者の夢やビジョンが何よりも重要であることが理解できると思う。

さらに、ビジネスモデルと人と組織も関係している。当たり前と感じるかもしれないが、ビジネスモデルを支える人と組織が必要になる。例えば、もしもビジネスモデル自体が、ある特定の仕事を繰り返し行うことが重要であるとしよう。その際に求められる人材の層は「まじめ型社員」である。まじめに働く人を採用基準とし、組織構造や教育体系もそのまじめ型社員が最大限のパフォーマンスが発揮できる形にしていく。

(人と組織の考え方については、こちらにまとめているので、合わせてお読み頂きたい。)

つまり、ビジネスモデルが変われば人と組織は変わる。採用できる人材層や育成のスピードによってビジネスモデルは影響を受ける。経営者は、自社のビジネスモデルの成長のポイントがどこにあるかを常に意識して、人と組織のバランスを見ていく必要がある。

これらのバランスが整うことで最終的な結果としての業績につながる。もしも業績が予想よりも悪い結果となった場合、このフレームワークの中のどこかに不調の原因があるはずだ。外部環境は変化していないか。自分の夢はブレていないか。ビジョンの浸透が不十分になったのではないか。ビジネスモデルが機能不全を起こしていないか。人と組織が変化に対応できていないのではないか。業績という結果が、こうした要素のバランスの上に成り立っていると考えれば、どこに不足の要素があったのかを発見し易くなる。

フレームワークを意識すると見えてくること

経営者とお話をしている時、社員教育の話になったとしよう。まじめな社員ばかりで上を目指す意欲が不足しているという悩みがあったとする。それ自体は経営者としてとても憂慮している問題であるのは事実である。ただ、これはビジネスモデルとも関連があるかもしれない。先に示した様に、まじめな社員の方が最適なモデルの場合、その採用基準を変更したり、研修や評価の体系を変えてしまうとバランスが崩れて、業績が悪化してしまう危険性がある。

経営者が成長のスピードに不満を抱えているケースもある。もっと早くに成長したいと考えていたとして、その成長を支えるビジネスモデルになっているのか。また成長意欲を共感できる人と組織になっているのかを点検する必要がある。経営者のスイッチが突然ONになる瞬間がある。すると、それまでのスピードを一気にギアチェンジしたくなる。これは経営者の夢やビジョンが変わった事で、ビジネスモデルや人と組織を一気に変えるタイミングに来たことを示している。

ある会社の事例を紹介したい。この会社は人を中心としたサービスモデルを提供していた。その当時のトップは、人の能力を最大限に生かす事が会社を成長させるポイントだと考え、そのモデルに沿った人と組織を形成していた。採用では個人としての能力の高い人材を募集できるように工夫していた。

ところが、経営者が交代するタイミングとなった。次の経営者は、チームを優先する考え方を持っていた。個人の能力にフォーカスすると、どうしてもバラつきが出る。さらには社員全員が活躍できる会社にはならない。そこでビジネスモデルを、人中心からサービスという商品中心に変更した。ただ、社内には以前のモデルを支える人と組織の構造が出来上がっていた。それを3年で基盤を作り替えることに着手した。

ビジネスモデルを変えたことから、採用基準を変更し、評価制度を変更し、組織構造も変えてしまった。徐々にそれまでのモデルからスライドし、結果としては個々人の能力に依存しない新たなサービス企業を誕生させた。業績も新たな成長軌道に乗り好調に推移している。

成長を阻害する3つの壁

会社の成長を阻害する壁には3つのパターンがある。

 ・トップの壁
 ・ビジネスモデルの壁
 ・人と組織の壁

トップの壁とは、経営者の描く夢をビジョンや戦略に落とし込めない時に発生する。経営者がどんな世界を実現したいと考えているのか。その方向性と会社の戦略がアンマッチであれば、会社の成長は止まってしまう。

ビジネスモデルも成長を阻害する壁になる。それまでの成功モデルが、外部環境の変化によって逆回転することもある。また、ビジネスは常に市場規模と商圏に影響を受ける。簡単に言えば、どの分野を選択しても成長の上限は決まってくるということである。競合とのバランスもあるため、実際には新しいビジネスを付加して、次の成長モデルを描くタイミングである可能性もある。

人と組織も壁になる。人材層も一つだが、より大きな壁は人数の壁である。様々な考え方はあるが、3と7に壁が起きる境目がある。例えば、社員数30名前後で伸び悩むケースがある。単純にはビジネスモデルの限界という考え方もあるが、30名を超えるとそれまでのトップとその他大勢の鍋ブタ型の組織から階層構造の組織へと変化する必要があるなど、人数に応じた変化のタイ民がうある。人材層意外にも人数による変化の対応が遅れると、人と組織がボトルネックになって成長を阻害してしまう。

シンプルなフレームワークは単純化しているだけに深いと感じる。問題が発生するとどうしても細かな視点に目がいってしまう。まずは俯瞰で考えて、その傷んでいる部分が本当の患部なのかを見定める必要がある。自分の会社はどうなっているのか。一度見てみて欲しい。

#経営者 #経営 #中小企業 #ビジネス #原理原則

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