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変化する時代に必要な2つの挑戦とその注意点

コロナによって時代が早回しになったという事は、色々な所で聞かれるようになった。時代がこれまでに無い程のペースで変化している。周期性の話で考えると、日本では大きな変化が200年周期で発生しているという説がある。鎖国の影響で、50〜60年ほど周期がズレた様だが、2015〜2050年という期間で大きな変化が起きる可能性は高く、求められるのは変化対応力。環境適応力だと感じる。

急速に変化するから必要な挑戦

日本で考えると、人口減少で超高齢化社会を迎える事は誰もが分かっていること。これからは成長ではなく、成熟する社会の中で、拡大する以外の目標や感性も合わせて持ち合わせる事が大切になる。誰もが経験した事が無い新しい時代へと、一気にシフトしようとしている。

正解が分からない時代で求められる事は、答えを自らが決める力である。これまでの成功事例が通用せず、新しい挑戦を繰り返しながら、自分なりの正解を見つける力が必要になる。過去の事例や前例踏襲型の発想は今すぐ捨てることだ。

お付き合いをしている経営者で、コロナ禍でも好調に業績を伸ばしている方に共通していること。それは”前例の無い新しい挑戦をしていること”にある。気をつけたいのが、無謀な挑戦ではなく、社長が責任を取れる範囲で挑戦をしている事だ。周囲に迷惑をかけず、失敗したら社長の責任の範囲ですぐに撤退できること。この条件を満たした中での挑戦は、とにかく実施すべきだ。

挑戦と同じく着手する事は、やめる事を決めることだ。これもある意味での挑戦である。これまで成功してきた方法。上手くいっていたやり方でも、時代の変化と共に、突然成果が出なくなる事がある。過去の成功が強ければ強いほど、その栄光に固執してしまい、変化のスピードが落ちてしまう。新しく挑戦をすると同じくらい、やめる事を決める事が重要になる。

新しい挑戦とこれまでの手法はやめるという挑戦。この2つの挑戦をする上で気をつける事がある。

・成功事例には要注意
・一般的に言われいる常識は疑う
・識者の伝える成功モデルを盲信しない

過去の成功事例はやめる挑戦の第一候補

成功事例という言葉には注意が必要だ。成功した事象には、当然その時代性や地域性、企業特性やタイミングなど、再現性を阻害する様々な要素が絡む事が多い。成功事例で参考にすべきは、手法などの枝葉ではなく、その本質にある。

例えば、価格が分かり難い業界において、価格を明瞭に示し、安心感を訴求して成功した事例があったとする。一定の成功を収めると、競合他社も同じような方法を真似するようになる。すると、どの会社も価格が明瞭で安心な環境となる。この成功事例から学ぶべき事は、業界に対する顧客の不安をどう解消したのか?という本質にある。決して価格を明瞭に示すという最終のアウトプットではない。

例えば、明瞭価格のチラシの反響率が落ちてきたとしよう。そうなれば、思い切ってチラシ自体を見直すという決断が必要になる。今の顧客は何を不安に感じているのか?競合他社がやっていない事で、不安の解消つながる事はないか?そこで大胆な挑戦しながら顧客の反応を分析するのである。

誰にとっての常識かを常に考える

常識とされる言葉には注意が必要である。そこで伝えられる事が、世の中の大半の考えや行動だと感じてしまう事がある。メディアで取り上げられる統計情報などは、刺激的な部分だけを抽出して伝えているケースも多い。その常識が誰にとっての常識なのか。冷静に見ていく必要がある。

例えば、ネット全盛の時代になると、ネット専業企業が業界を席巻してしまう様な錯覚を受ける事がある。確かに効率的で利便性が高いサービスが多く、顧客の多くは利用する可能性がある。しかし、日本は人口減少で超高齢化社会に突入する。特に都心を離れた地方に行けば、その傾向はより顕著になる。

65歳以上のシニア層が多くを占める町があったとしよう。一度その街で、どの程度の人がスマホを保有しているかをチェックして欲しい。また、都心の様に日常的にスマホを手にして歩いている人がどの程度いるかを見て欲しい。これから数年は、そうしたシニア層が中心になる町が増えていく。ネット視聴数がテレビを抜いたというニュースもあるが、地方のシニアでは、いまだにテレビが中心となっている所も多い。

時代がネット全盛なので、とにかくネットで。。と考えるのではなく、ネットではリーチできない層を中心に攻略しようという発想があっても面白い。特にシニア向けのマーケットを狙っている会社であれば、そうした視点で挑戦を繰り返していくと、次の時代の成功のヒントに出会える可能性が高くなる。

成功モデルにも背景やストーリーがある

新たな挑戦として、世の中で流行り始めた成功モデルを盲信して始めてしまう経営者がいる。これは多くの場合、失敗する可能性が高い。偶然に、その成功モデルが上手くいく要素を備えている場合は、奇跡的に成功するが、その確率は極めて低い。聞けば当たり前に感じる事だが、そのモデルが通用するには条件がある。その条件を満たした上で、そのモデルに社長が真剣に取り組めば成功する確率は高くなる。

ところが、成功モデルの裏側にある背景やそのモデルが出来上がったストーリーなどを無視して、モデルだけを信じてしまう人がいる。まずは背景やストーリーを確認し、自社の現状と照らし合わせて考える事が大切になる。

多くの識者は、複雑に絡まる事象を、様々な言葉を使って定義しようとする。それは”今”という時代を、大掴みにする事で単純化して理解しようと考える必要があるからだ。識者としては、そうした時代を象徴する出来事を単純な言葉で表現できる方が、自分の主張を理解させ易い。それは職業柄、仕方の無い行為だと感じる。

例えば、最終的な商品ではなく、その商品が出来上がるまでの過程やストーリーを見せる事が大切。。とするプロセス開示型のマーケティングが流行り始めている。私の理解では、それは成熟した市場で、顧客側に商品選択の主導権が完全に移行し、価格以外の刺激が通用しなくなった飽和している市場において、感性的な価値で差別化しなければ選ばれなくなったからだと考えている。これは、そうした条件を満たしている市場における、一つの成功パターンでしかないと感じる。

ところが、これからは過程を見せる事が成功に繋がるとして、それがこれからの時代の成功モデルだと盲信的に実行する人がいる。これは非常に危険な考え方だ。一般的に定義された言葉。識者がルール化した事象には、一定の成功要素が含まれている。ただし、それは決して万能ではない。この盲信型の挑戦はしてはいけない。自社の事業において、それが論理的に成功すると説明できない場合は、保留することをお勧めする。

これからの時代は、経営者が自らの力で課題を発見し、その答えを創造していく事が必要になる。そのためには、仮説を検証するための挑戦を繰り返すこと。そして、過去に縛られる事なく、大胆にやめるという挑戦を実行することが大切になる。コロナによって時代は急速に動き始めた。明治維新の黒船の様に、変化のスピードが急激になっている。今ほど経営者の力量が試される時は無いと感じる。とても面白い時代に突入している。

#経営者 #経営 #中小企業 #ビジネス #原理原則

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