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(本)先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち

最近の若い人は、とか、女はとか・・そういう一括りにした発言が嫌いである。
若い人だってちゃんとしてる人はちゃんとしてるし、いい年をした大人だって、しょーもないやつはしょーもない。
と言っても、何かの雑学で読んだけど古代エジプト人も同じようなセリフを吐いていたらしいし、世代間で感じること時代に関係なく共通するものがあるのかも。

本書はそんな「若者たち」を扱った一冊。Audibleで無料配信をしていたので聞いてみたら、著者の筆の軽さもあってか、興味深く拝聴しました。

特に面白かったのが、最近の新入社員の傾向についての内容。
40代を目前にして、自分も若手を指導する立場にあります。
その時に大事にしているのが、「相手が考えて動く余白を残すこと」。
時間がない時は作業指示になってしまいますが、基本的には疑問なり気づいた点を投げかけ、共通の理解を持ち、自分で動いてもらう。そんなことを考えながら指導しています。
というのも、過去の自分を振り返ると、一番伸びたと思うのが先輩が抜けて自分で考えながら動かなきゃいけない環境になった時、だから。
例えば、書類を作ってもらうにしても具体的に1つ1つというよりは、まず素案を作ってもらって、内容を説明してもらう。で、自分が気づいた点をコメントしながらどうすれば指摘した課題を解決できるか一緒に考えていく、というのを繰り返す感じです。

で、最近も1名、入社3年目くらいの若手が自分の下につきました。
これまで通り、ここまでやったら声かけて、とか、わからないことあれば声かけてと伝えていたのですが・・・一行にできた、とも、わからないとも言ってこない。
痺れを切らしてこちらから聞きにいくと、やっぱり詰まってる。
そんなことが何回もありました。
「わからないことあれば、聞けって言っただろ!」というのはパワハラにあたりますし、もしかしたら自分が話しかけづらいオーラを出してしまっていたのか、など色々と考えてはみて、気づいた部分は改善したのですが、やっぱり話しかけてこない。

そんな疑問に答えをくれたのが本書でした。

「わからなくなったらいつでも聞いて」の罠

こんなエピソードがある。
上司が新入社員にひととおりのやり方を教えた上で、「わからなくなったらいつでも聞いて」と言い残し、ある業務を任せた。もちろん、ちょっと教えただけですべてサラサラとできる業務ではない。しかし、彼らは一向に質問に現れない。なぜか。 任せた業務のデッドラインが近づく。しびれを切らして席を立ち、自分は次のどちらかを演じることになる。
(1)「なぜすぐに質問に来ないんだい?貴重な時間を無駄にしてはいけないよ」(2)「君たちはできなくて当たり前なんだから、どんなことでも聞けばいいんだよ」
いい子症候群のリアクションは、次のうちのどちらかになる。
・次からあらゆることを聞きに来る(だってそう指示されたから)
・やっぱり何も聞きに来ない(だって質問の仕方に関する例題を授かってないから)
ここには、現代の若者たちの「行動の三原則」が働いている。
1:提示された例題はものすごく参考にする
2:例題の提示がなければ基本、何もできない(しない)
3:よって、参考とすべき例題の提示を強く望む
質問に現れなかった理由は、行動の三原則の1と2にある。彼らは、質問の仕方に関する例題を示してもらっていないのだ。

思い当たる節がありまくりで、こういう思考だったのか・・・と腑に落ちました。彼がこの通りの考えをしているかは、ちゃんと観察せねばですが。

本書を聞いていると、横並びの意識の強い若者が増加傾向にあることが数字の上でもみて取れます。これからの時代だからこそ、横並びではなくどんどん出る杭になって世界を良くしていってほしい、なんて思うのは自分がおっさんに近づいたから?

多分、自分達が若者だった時に方向は違えど同じように大人たちからみられていたのかな、なんて思ったりもします。
若手の部下を持つ方、若者と接する機会の多い年配の方は一読しておくと良いかと!

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